KICK OFF研修実施について

2019年6月6日~7日に2019年度のKICK OFF研修を実施しました。
震災から9年目となった今、私たち財団スタッフ全員が東北に赴くのは実に3年ぶりです。
東北の現状や今後起こるであろうことへの理解を深めながら、これからの財団の活動方針考えるための場となりました。

研修の内容についてお知らせいたします。

KICK OFF研修概要

開催日程 2019年6月6日(水)~ 7日(木) 1泊2日
参加者 22名
訪問場所 宮城県石巻市、気仙沼市
はやまのふもと(気仙沼市唐桑町)
気仙沼 震災遺構・伝承館(気仙沼市波路上瀬向9-1)or
宮城県気仙沼高等学校(気仙沼市常楽130)
KICK OFF研修(石巻市多目的ホール)
KICK OFF総会(石巻市多目的ホール)
ワールドカフェ実施(石巻市中央2丁目11-17)
3.11みらいサポート(石巻市中央2丁目8-2)

研修経費について

今回の研修経費は、みなさまよりお預かりしているご寄付からの支出ではなく、一般財源より支出しております。

KICK OFF総会について

1日目の最後に、KICK OFF総会を実施しました。
立石代表理事と東家事務局長より「今後の方向性」「今期の運営方針」を発表。
その他、東北事務所スタッフより岩手県、宮城県、福島県の各県における活動状況を発表しました。

総会の様子1

立石代表理事からは、復興・創生期間の終了が来年と迫るなか、当財団はこれからも東北の子どもたちへの支援を継続することを改めて財団スタッフに伝えられました。

総会の様子2

東家事務局長からは、今期の運営方針を説明。
現時点の収支状況と事業別予算、重点事業について説明されました。

話の中で、現在進行している事業については、継続して支援していくものの、事業継続に向けた計画を支援先と検討していくことを話されました。

また、既存の支援に捉われず、いまも支援を必要としている人、団体、組織を積極的に掘り起こし、支援することなどスタッフへ再認識させる場となりました。

KICK OFF総会後の意見交換会

立石代表理事、東家事務局長からの今後の方向性が発表された後には、意見交換会が行われました。
本日訪問した施設を見て感じたことも含め、自分の意見・想いを他のスタッフと共有する場となりました。

意見交換会の様子

財団スタッフ所感

現地の空気感の中ならではのコミュニケーションもとれたように思う。
財団の今後の進むべき方向性について、グループディスカッションで膝を突き合わせて意見交換ができ、自分自身にもプラスになったと思った。

財団スタッフ所感

地域が求めているニーズと、必要だが認識されていない課題を可視化する活動が必要だと感じた。
自治体、住民などの意見も聞いて、我々が気づいていない支援先を探す必要があると思った。

石巻地域の活動団体とのワールドカフェを実施

石巻地域で活動するNPO団体と財団スタッフで「ワールドカフェ」を実施しました。
ワールドカフェとは、少人数に分かれたテーブルで対話を行い、メンバーをシャッフルし、それぞれの情報量を増やしながら話し合いを発展させていく会議の事を指します。

参加団体
一般社団法人イトナブ
特定非営利活動法人にじいろクレヨン
NPO法人こども∞感ぱにー
一般社団法人こころスマイルプロジェクト
ISHINOMAKI2.0
財団スタッフ

今回の議題は、「今、東北に必要なモノ」

石巻で活動している団体の視点と東京財団スタッフ、東北の財団スタッフの視点、さらには、参加者の出身地、経歴、生活環境、家族環境など、さまざまなバックボーンを携えながらの話し合いとなりました。
議題の「必要なモノ」は物的なモノに限らず、意識や考えなどの精神的なモノ、人材などのリソースなど多様・多角的なモノがみなさんからたくさんあげられました。

ワールドカフェの様子1

ワールドカフェの様子2

団体の方々からは石巻市の現状や課題も教えていただきました。
一つの議題をみなさんでじっくり話し合うことで見えてくるこれからの東北に必要なモノ。

最後は、それぞれの意見をまとめてテーブルごとに発表しました。
石巻のこれから、東北のこれからについて、目線を合わせて話したことにより、それぞれの立場で今すべきことが明確になったように思います。
また、このように、みなさんが認識しているものを改めて声に出すことはとても大切なことだと感じました。

石巻地域での課題も今回見えてきましたので、それら課題やいただきましたご意見を持ち帰り、今後の支援活動の参考とさせていただきます。

財団スタッフ所感

参加メンバーが他地域から移住した方が多かったので、次回は地元の自営業者なども入れてより現実的な取り組みや継続的な事業の話が出来たらさらに面白いと思った。

財団スタッフ所感

団体の方からは自治体との連携強化を求める声もあったので、財団がその橋渡しを意識した動きが取れると良いのではないかと思った。

今回訪問した場所

はやまのふもと(気仙沼市唐桑町)~唐桑地区の中高生の拠点を自分たち自身でつくる~

一般社団法人まるオフィスの加藤さんから気仙沼市唐桑地区の取組について説明いただきました。
加藤さんも他県から震災を機に移住されてきましたが、この唐桑地区で地域活性化、人材育成に積極的に取り組んでいます。

唐桑地区に限らず、全国では少子化が進み、過疎化が進んでいます。人口が少なくなるとコミュニティは衰退し、魅力が少なくなった地元からはさらに人口が流出します。
このスパイラルを打破するため、まるオフィスさんでは唐桑地区でのコミュニティ再生について取り組み、地元に定住したいと思える魅力を自分たちで自ら作ろうとさまざまな事業、イベントを実施しています。

はやまのふもともその一環です。大学生に呼びかけ、古くなった空き家をみんなが集まる場になるようリノベーション実施。
しっくいを塗ったり、床をフローリングにしたり、地元の大工の方々のアドバイスをもらいながらの作業。完成した場所は、子ども達が学校帰りに集まり、地域のことや、まちづくりについて考える場所になることを目指しています。
このように自分から何かをしたい、関わりたいという「実行力」を鍛えることは、多様な社会を生きていく上の糧になることを教えています。

はやまのふもと訪問の様子1

はやまのふもと訪問の様子2

はやまのふもと訪問の様子3

はやまのふもと訪問の様子4

財団スタッフ所感

震災直後からしばらくの間は、震災起因の問題が地域にとって大きな課題だったと思うが、震災から8年が経過し、被災地特有の課題にプラスして全国共通の課題(人口減少、少子高齢化はじめ)も大きく東北各地域にのしかかってきており、NPO関係者の活動も日を追って難しくなってきているのではないかと感じた。

宮城県気仙沼高等学校(宮城県気仙沼市常楽130)~世界で活躍するリーダーを気仙沼で育成~

2016年からはじまったスーパーグローバルハイスクール事業。
国際舞台で活躍するために必要な「コミュニケーション力」「思考力」「多様性・協働性・行動力」の3つの資質を「グローバルリテラシー」と名付け、海を素材とした「協働型学習プログラム」と「東日本大震災復興プログラム」を中心にグローバルリテラシーの育成を目指しています。

授業内容は、地元ならではのものから世界に向けたものまで様々です。
たとえば、「地域社会研究」では、海に面した気仙沼の特色も合わせた授業内容にすることにより、震災体験をみんなで振り返ったり、地元リソースの認識、理解度を高めたり、現状課題を論理だてて考えることを学びます。

また、気仙沼高校では、個々の多様性を重視する取り組みを行っており、30種類以上の部活動もその表れです。自分自身がやりたい事を多くの選択肢から選ぶことにより、将来の可能性を広げるきっかけにもなるそうです。

気仙沼高校訪問の様子1

気仙沼高校訪問の様子2

財団スタッフ所感

少子化や過疎化がスピードを増し加速するなかで、地域コミュニティを持続していくために子供たちを地域でどう育んでいくかという課題があることを再認識しました。そうした現実的な課題に対して、財団が何か取り組むべきことはあるのかもしれないと感じました。

気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館(気仙沼市波路上瀬向9-1)~“目に見える教訓”として残し、伝えていく~

死者1,152人※ 、行方不明者214人の甚大な被害を受けた気仙沼市では、震災で被害のあった気仙沼向洋高校旧校舎等を震災遺構として残し、伝承館として残すことにしました。
※震災関連死を含む

見学は、最初に震災時の映像を観覧します。8年前のあの甚大な被害をスクリーンいっぱいで見ると、改めて津波の怖さ、自然の中の人間の心もとなさが映し出され、見ている人に多くの事を訴えかけます。

そのあと、当時をそのまま残した校舎を見学するコースへ案内されます。
震災の直前まで使っていたであろう教科書やパソコンが散乱し、教室には車など学校とは無縁なものが混在していました。

震災遺構訪問の様子1

震災遺構訪問の様子2

財団スタッフ所感

震災から8年経ってもなお東北には更地が目立つと今回訪れて改めて思った。しかし、人口流出を止めるために、防災に重点を置いて地域を再生する取り組みがいま始まっていると感じた。地域再生にはまだまだ時間を要する。復興はまだ終わっていない。

3.11みらいサポート(石巻市中央2丁目8‐2)~石巻住民が語り部となり、震災の記憶を伝える~

震災当時は、「NPO・NGO連絡会」という事務局機能から、現在は震災伝承の連携を軸に活動してます。
震災で多くの犠牲者がでた石巻では、苦しかった経験を自ら発信し、教訓を伝えてくれる方々が多くいます。それは、もう二度とあの悲惨な経験を他の誰一人して欲しくないという強い思いからです。
津波の知識があれば、防災対策をすれば被害は少なくなります。3.11未来サポートでは、震災での学びを生きるちからにするため、「守る」「伝える」「支える」を3つの柱として活動しています。

私たちは、語り部の高橋さんからお話を聞かせていただきました。
高橋さんは、当時も普段から災害に備えていたこともあり、家屋は流されてしまいましたが、ご家族は無事でした。しかし、当初は家族の安否が不明でとても不安な日々を過ごされたとおっしゃっていました。
お話が進むにつれ、高橋さんは言葉に詰まりながら、涙を流しながら話してくれました。

「毎回あの時のことを思い出すのは辛いけれど、二度とあのような悲しい出来事を他の人に体験してほしくないので自分は語り部に入りました」

語り部を聞きに海外からも石巻を訪れています。石巻の街並みからは当時の事を想像することが難しくなってきている今、スマートフォンなどのタブレット端末を通して震災時の浸水状況をみる活動なども行っているそうです。

3.11みらいサポート訪問の様子1

3.11みらいサポート訪問の様子2

財団スタッフ所感

被災した方のリアルな体験を改めて伺えたことは、私たちの使命は何か、原点に返ることができ非常に有意義でした。

おわりに

「東北の子どもたちの支援」という大前提はそのままに、既存の考えにとらわれず、これからも次の世代が幸せに暮らす環境を実現するお手伝いをしていきたいと思います。

今回訪問をさせていただきました施設のみなさま、ワールドカフェに参加いただきました皆さま、ありがとうございました。

今後の具体的な支援などについては、財団の広報活動などを通じてご案内してまいります。
引き続き当財団の事業についてご関心いただけましたら幸いです。

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