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子どもサポート基金助成団体レポート

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特定非営利活動法人 海の自然史研究所

南三陸町の子どもたちへの、自然環境と水産業を中心とした地域理解の促進活動
南三陸町において、「自然観察会」「子ども自然史ワークショップ」「フードスタディ」の3つの活動を行い、子どもたちへの水産業や自然環境を主とした地域理解の促進を図ることで、今後の豊かな町づくりを担える人材の発掘と育成、および地域産業の振興を狙う。

基本情報

活動期間 2014年4月~2014年10月
活動地域 宮城県南三陸町  
支援人数 183名
活動人数 スタッフ2名、ボランティア42名
連携団体 南三陸ネイチャーセンター友の会
一般社団法人南三陸町復興推進ネットワーク
認定NPO法人大阪自然史センター

写真

  • スタディプログラム実施風景
  • 子ども自然史ワークショップ実施風景1
  • 子ども自然史ワークショップ実施風景2

活動の背景/内容

活動の内容

本事業の実施地域である南三陸町の復興や町づくりを進めるにあたって、町民が地域を理解し、もう1度その魅力を見つめ直すこと、そしてその資源を様々な形で持続可能に活用する工夫が求められる。特に、地域の主産業である水産業と観光業、そしてそれらの基盤となっている地域の自然環境について、その重要度はより高いと考える。そこで本事業を通じ、地域の人々が自然とふれ合い、もう1度地域の自然を見つめ直し、またその中で育まれる水産物とそれらを扱う地域産業について認知するとともに新たな事業を考える機会を創出することを狙った。これらを経て、町の復興計画にも明記される「自然と共生するまちづくり」および「なりわいと賑わいの再生」に寄与し、かつ町内外を問わない多くの市民の地域理解の増進と持続可能な資源活用の仕組み作りを目指した。

活動の内容
①「自然観察会」
5/31に南三陸町坂本海岸にて「磯の観察会」を実施し、地元の小学生38人が参加した。ガイド4人による解説のもと、地域の自然環境とそこにくらす生きものたちを観察し、それらと自分たち人間とのかかわりについて学んだ。
また、新たに南三陸町荒島での「森の観察会」を実施すべく、専門家を招致しての植生調査および解説指導、ガイドブックの制作、地域のエコツアー事業者等関係者7名による勉強会を実施し、プログラム実施基盤の整備を進めた。
 
②「子ども自然史ワークショップ」
6/14に“味わい”をテーマにしたワークショップイベントを実施し、町内外の小学生ら63人が来場した。地域の特産物であるサケやイクラなどの水産物を題材に、五感を用いて体験できるブースを5つ用意し、味覚学習・科学学習を行った。
7/21には“自然史”をテーマにし、町内外の小学生ら62人が来場した。地域の自然環境とそこにくらす生きものを題材に、工作やアートで体験できるブースを5つ用意し、自然史学習・科学学習を行った。
またフォローアップとして、共催団体の認定NPO法人大阪自然史センターによる「現場のための子どもワークショップ入門講座」に出席し、企画の反省と改善を図った。
 
③「フードスタディ」
6/7・7/30に、それぞれ“ワカメ”・“ウニ”をテーマにし、地域で生産される水産物を生きものとして科学的に学ぶ学習プログラムを実施した。地元の志津川高校自然科学部の学生を対象に、ワカメの遊走子(胞子)の観察実験と、ウニの代替としてヒトデの発生実験を行い、それぞれ8名・5名が参加した。
また、これに係る水産物の情報誌「海モンブック」を“ワカメ”・“ホヤ”・“ウニ”の3テーマで作成し、参加者を中心に配布した。
 
活動の成果
①「自然観察会」
「磯の観察会」は、震災以前から地域で実施されていたが、震災をきっかけに実施できておらず、平成25年度から復活し人気を博しているプログラムである。地域で継続的に行われていた自然体験活動を途絶えさせず実施できることに大きな意味があり、また地域からも求められていることが応募者数から伺える。今年度の実施にあたっても応募者多数により抽選となり、抽選漏れとなった応募者を対象に、急遽2回の実施となった。
「森の観察会」に関しては、専門家の招致により正確な知識を得てガイドブックという形でまとめ、これを利用し地域のエコツアー事業者や観光協会・林業者らとともに勉強会を実施することで、より質の高いプログラム造成に取り組むことができた。また、実施フィールドである荒島は私有地であり、地権者とともにフィールドを持続的に利用していく仕組みづくりを行い、勉強会において共有できた。地域内の他フィールドにおける今後のエコツアー・体験活動のモデルとして活用していきたい。地権者からも、ガイドブック等についてとても喜ばれており、また地権者自らもガイドとなり活動している。
 
②「子ども自然史ワークショップ」
2012年から継続的に実施しているイベントである。昨年度までは都市圏の大学生等によるボランティアが中心となって運営を行っていたが、本年度からは地域住民が中心となり実施することができた。特に、③フードスタディをきっかけにつながりが生まれた地元高校自然科学部の学生らがこのイベントの手伝いに参加してくれ、来場者のみならず、スタッフ参加することで地域の大人たち・高校生たちが学習する面も大きかった。
 
③「フードスタディ」
豊かな海の幸を有する町として、それらを食材としてだけでなく、生きものとして科学的に学ぶ機会の創出が必要であると感じていたが、今年度初めて実施することができた。これまでは小学生を中心とした低年齢の子どもたちに、イベントとして単発的に地域の自然に触れる機会の提供を行って来たが、本活動においては新規に、高校生かつ少数を対象に、大学から専門家を招致してより質の高い専門的なプログラム提供を目指し、挑戦することができた。

南三陸町は、震災以前から「自然と共に生きる町」を望んだ地域で、現在の復興計画にもそれが大きな柱として掲げられています。甚大な被害により海岸線の多くが破壊され、自然と触れ合える環境や設備が失われたことに加え、今後の造成工事等の影響で、町民と自然との距離が物理的にも心情的にも離れて行くことが予想されます。これからの町づくりを考えて行く今こそ、地域の子どもたちが豊かな町の自然と触れ合い、その魅力に気づいて行くことが必要と考え、今後も活動を継続していきます。

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