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子どもサポート基金助成団体レポート

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>2012年度第3期

特定非営利活動法人 やまがた育児サークルランド

避難家庭への子ども・子育て応援プロジェクト(主に福島県から避難した母子世帯のための子育て支援活動)
避難家庭の子どもとその保護者の子育てを支援するため、気がねなく集まって交流できる場を設置した。一時保育、親子サロン、子ども向けプログラム、就業支援等、長期化する避難生活に伴って出てくるニーズに迅速に対応できる地域での子育て支援体制を整え、今後の災害における避難子育て家庭支援のモデルをつくる。

基本情報

活動期間 2012年10月~2013年4月
活動人数 支援人数1,083名(山形でのサロン・福山ひろばの参加者)、スタッフ15名、ボランティアのべ約120名

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活動の背景/内容

活動の内容

<活動の背景>

大震災後2年が経過したが、山形県内には依然として9310人の避難者がいる(2013年5月9日現在)。山形・米沢では福島市からの自主避難者が多いが、山形だけでなく、東京都、新潟県、北海道他全国にわたり広域に避難しており各地での支援活動が始まってきた。特徴的なのは、仕事を持つ父親を福島に残してきた母子世帯が多いことだが、時間が経つにつれ、もとの居住地に戻る人、家族を避難先に呼び寄せる人、避難先で就職する人、離婚した家庭等、多様なあり方になってきた。避難生活が長期化しているため、当初のニーズであった「生活や子育てについての情報」や「福島県人同士の交流」等が変化し、孤立している家庭の存在や重篤なケースも現れた。

慣れない土地で幼い子を抱える生活では、孤立や経済的不安、夫婦の別居による不安定な家族関係によって今後児童虐待につながる危険性をはらむ。さらに、避難前の元のコミュニティとの関係はたいへん難しく、福島に戻るかどうかという悩みは深刻である。このため、孤立や虐待を予防し、悩みに寄り添う子育て支援を目指して活動している。

 

<活動の内容>

(1) 親子サロン開催

避難先での子育て生活がより豊かなものとなるように、情報や親子プログラムを提供するため、親子サロンを開催した。札幌市では、NPO法人子育て支援かざぐるまと連携し、市内で毎月1回開催した。新潟では上越市においてNPO法人マミーズネットと連携し、子育て支援拠点において開催した。東京・仙台では、NPO法人せたがや子育てネット・NPO法人せんだいファミリー・サポート・ネットワークと、原則隔月で子育て支援者の情報・意見交換会を行って支援方法や個別ケースについて検討した。

また、避難者が集中している山形市では、親子の居場所として山形市東原町に「福山ひろば」を常設して交流拠点とした。遊具や育児用品の常設など乳幼児に適した環境を整備し、居心地のよい空間づくりと、子どもの発育段階に合わせたコーナーを設定した。子育て支援スタッフやボランティアが、子どもをサポートして親の交流が進むよう活動した。このひろばでの交流をきっかけとして、1月に山形市立第四小学校と学校での交流会を実施した。

さらに、この拠点等を活用して、「ステップ(勇気づけセミナー)」を全9回、「ノーバディズ・パーフェクトプログラム」を全6回開催した。

 (2) 避難家庭による自主活動の支援

避難生活の長期化に伴い、自立へ向けて自主グループの立ち上げと運営を支援し、避難者同士が助け合う関係づくりと、避難先の近隣住民と交流を促した。「Mazaっぺ“わ”」(山形市)は小学生の母親達のサロンの参加者を母体として、感謝の気持ちを表わす刺しゅう入りの台布巾を作りながら交流の輪広げ、山形の人とも交流していこうというサークルである。原則毎週水曜日に活動している。「絆サークル」(上山市)は、これまで支援活動や避難者の集うサロンがあまりなかった地域で、当事者が声を上げたもので、立ち上げと運営全般を支援した。原則月1回上山市等で活動している。

 (3)子どもの見守り

保護者が安心して活動できるよう、全期間において、プログラムや学習活動、サロンやひろばなどでの交流時に、スタッフが子どもの見守り託児を行った。

 (4)避難者支援活動の情報交換とノウハウの共有

 サロンに集まってきて交流する親子についてはもちろん、地域で孤立している親子について、活動の情報交換や支援についての意見交換を行った。避難家庭の特徴と、時間経過とともに変化するニーズに適切に対応する方法を検討した。3月には、「福山ひろば」において、支援現場を視察検証しながら今後の支援活動について議論し方向性を探る研究会を開催した。

活動の成果

「福山ひろば」を開設することにより、これまで支援活動に参加したことが無く避難先での交流が無かった親子が足を運び、相談につながった。小学校の総合学習で連携したこと等、山形の親子との接点ともなり、ある程度親子の孤立を防ぐことができた。山形の母親からは、「たくさんの人が避難していると報道などでは知っていたが、知り合う機会がなかった」「子どもを遊ばせながらの出会いがあってよかった」などの感想があった。学習活動の参加者は「もんもんとひとりで悩むのではなく、みんなと話し合いながら学べるこのような機会があってありがたい」としていた。

3.11の前後の期間は、報道で多く取り上げられることもあり、子どもの新学期などライフステージが変わる新年度をひかえる時期であるため、母親達がかなり動揺した印象があり傾聴につとめた。今後も借り上げ住宅の更新時期・盆正月・年度末年度始め等の節目を意識した支援が更に重要であり必要になってくると思われる。

避難生活の長期化に伴い、避難家庭支援の母親からは「避難者同士で話し合えない個別の悩みが出てきた」「チック等が出て、子どもの成長が心配」「福島にいつ帰るか悩んでいる」と言った声があり、支援者が悩むことも多くなった。支援疲れやバーンアウトなども見られ、支援者同士が支え合うことの必要性が示唆された。

また、間接的な成果ではあるが、11月に行われた「第11回 全国子育てひろば実践交流セミナーinにいがた」の第3分科会(テーマ・減災の視点でみる「ひろば」について)において、全国の子育て支援実践者に対して避難家庭の現状について意識づけすることができた。

<寄付者へのメッセージ>

避難家庭支援の活動は、東北地方の一つの子育て支援団体だけでは取り組みにくい大きな課題だと考えております。この助成金を頂戴できたことで、ニーズに合った活動を実情に合わせて展開することができました。また、福島県・山形県等行政との連携事業につながる活動となり、ある程度継続的な活動とすることができました。心から感謝申し上げます。

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