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子どもサポート基金助成団体レポート

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南三陸ネイチャーセンター友の会

南三陸町の子どもたちへの、地域の自然環境理解の促進活動
子どもたちへの地域自然の理解促進を図ることで、今後の“自然と共に生きる”町づくりを担える人材の発掘と育成を狙い、また愛郷心を育むことを目指し、南三陸町において、「子ども生きもの調査隊」「自然観察会」「子ども自然史ワークショップ」の3つの活動を行った。

基本情報

活動期間 2013年5月~2013年9月
活動地域 宮城県南三陸町  
支援人数 202名
活動人数 スタッフ20名、ボランティア73名
連携団体 一般社団法人南三陸町復興推進ネットワーク
南三陸ホテル観洋
NPO法人大阪自然史センター

写真

  • 磯観察の実施風景
  • 子ども自然史ワークショップにて制作
  • ザリガニを観察中
  • ザリガニについての情報を整理

活動の背景/内容

活動の内容

本事業の実施地域である南三陸町では、東日本大震災の被害により、磯・干潟・砂浜など、自然体験の場となり得る海岸のほとんどが喪失し、また、これまでその指導者としての役割を担ってきた南三陸町自然環境活用センターも失われた。しかし同町は水産業や観光業が主要産業であることもあり、今後の復興や町づくりを進めるにあたって、地域の自然環境への配慮が必要であると考えられ、そのためには自然との接点やその理解が求められる。

そこで本事業を通じ、地域の人々が自然とふれ合い、もう1度地域の自然を見つめ直す機会を創出し、町の復興計画にも明記される「自然と共生するまちづくり」に寄与し、かつ町内外を問わない多くの市民の自然環境に関する理解の増進を目指した。

活動の内容

 

1.「子ども生きもの調査隊」の実施

8月17日に「子ども生きもの調査隊」を実施した。身近で手軽な調査対象として、また、外来移入種であるというトピックスを有するザリガニについて、知らないことを”調査・研究”する、という過程で、科学的なモノの考え方について学んだ。参加者自ら捕獲のための釣竿を工夫して作成し、実際に池でザリガニを採集し、スケッチや観察を通じてザリガニについての情報を整理していき、疑問に思ったことについて自ら研究のテーマ設定と仮説を立て、実験を通して結果を導く、という体験を行った。

 

2. 「自然観察会」の実施

5月26日・6月23日に町内の磯をフィールドに、潮間帯の生きものについて「自然観察会」を行った。9月16日には町内の森を対象に、自然植生についての「自然観察会」を実施する予定であったが、台風による悪天候のためやむなく中止した。磯に生息する様々な生きものについて観察を行うとともに、彼らの暮らしについて学ぶ紙芝居やパネルレクチャーを行い、その特徴についても学んだ。一般社団法人南三陸町復興推進ネットワークと共催により実施し、集客及び参加者送迎に力を借りた。

 

3. 「子ども自然史ワークショップ」の実施

7月28日・8月4日に、南三陸ホテル観洋ロビーにて「子ども自然史ワークショップ」を実施した。地域の特徴ある生きものや自然環境について、楽しく遊びながら学べる「マリンステンシルペイント」「海と森のモビールづくり」「影絵水族館」「カラフルぎょたく」「イヌワシはりえ」の5つのプログラムを用意した。それぞれのプログラムでは工作等の作業と、その間のスタッフからの語りかけにより自然について学び、また完成した制作物は参加者が持ち帰った。NPO法人大阪自然史センター・一般社団法人復興推進ネットワーク・また関東の大学生らがスタッフとして当日の運営に参加した。

またこれらに加え、町に招致しての、または仙台・函館に出向いての、専門家へのプログラム制作に関する相談を行った。

活動の成果

1. 「子ども生きもの調査隊」

他のプログラムよりハイレベルな内容で実施をしたかったため、高学年少人数で参加者を募り、4名の応募のうち3名が参加した。参加者はワークシートに記入していく形でザリガニの研究を進めて行き、ザリガニ研究シートを完成させた。自ら疑問を持ったことをテーマに研究を進め、仮設と結果の違いなどに驚きの声が上がっていた。疑問を書き出して、種類ごとに整理していく作業も行い、今後も日常に置いて様々なことに疑問を持つ、科学者の卵になってくれるのではと期待している。

 

2.「自然観察会」

当初1回の実施予定であった磯の観察会には、定員の倍数の応募があり、急遽再度の実施日を設け、2回実施した。参加者数は、各回32名・20名の計52名。震災後初の町内での磯の観察会であったため待望の声も多く、参加者数にも反映された。町外仙台から参加した家族の母親からは、「帰宅後、参加した息子が生きものの図鑑を熱心に開いていた。これまでには見られない姿だった。」との報告が届き、観察会を通じて、参加者の自然への興味・関心を引き出せた。また当日は、河北新報社・読売新聞社・特定非営利活動法人とめタウンネットから取材を受け、各発行紙に記事掲載された。

 

3.「子ども自然史ワークショップ」

2日間の開催で、各日93名・54名が参加した(自由参加制だったため、集計できた限りで)。町内の子どもたちや、昨年実施時も参加してくれた子に加え、ホテルロビーでの開催だったため、遠方からの旅行者も多く参加した。町内の誰もが知っており、駐車場や安全面の心配もない良い会場選択であった。参加者は各プログラムに熱中し、複数回参加する子もおり、滞在時間が想定より長かったように思われる。開催会場であるホテル観洋は、カモメの餌やり体験等、地域の自然についての体験プログラムにも力を入れており、今回のイベントの実施についてもとても喜んでくれ、また当団体との今後の連携も希望している。

 

本事業によって新しく制作されたプログラムが、当団体のプログラムメニューとして新しく定常化され、イベント後も複数回実施されたほか、南三陸町観光協会の新しい教育旅行パンフレットにも掲載される予定である。また、本イベントをパッケージとし、町外の博物館やショッピングモール等様々な施設にて実施すべく、営業活動を展開する。

被災地の海岸付近には、震災瓦礫等の危険物もまだまだ多く、これまで子どもたちにとって当たり前であった自然との触れ合いが失われつつあります。1次産業が主産業である三陸沿岸部では、暮らし・文化・産業などあらゆる面に置いて、自然に配慮した、自然と共に生きる町づくりが必要とされます。加えて、これからの復興に当たり、地域の大きな魅力である自然について、地域の市民に対するいっそうの理解が求められます。

また、私どもの活動地域である南三陸町は、震災以前から地域の自然を活かした観光事業にも力を入れており、その復活も課題となっています。被災地の視察や学習等で、町の交流人口は確実に増加しているものの、震災の話が風化してしまった時にその数が激減することを、町内の観光業関係者はみな恐れています。今、町を訪れる多くの人たちに、震災の話題に囚われず、南三陸町の本当の魅力を発信していくことが重要で、そのためには町の豊かな自然を活かしたプログラム等の整備が必要です。

こうした課題に当たり、本事業を通じ、町内外を問わない多くの参加者に向けて地域の自然について発信でき、その理解も促進されたように思います。

今後とも変わらぬご支援のほど、よろしくお願いいたします。

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