福島こども力プロジェクト「福島こども力プロジェクト」プログラム運営団体 独立行政法人国立青少年教育振興機構 活動報告インタビュー2013年度の活動について、福島こども力プロジェクトのプログラム運営団体に活動を振り返ってもらいました。
2014年06月27日
- 実施期間
2013/5/18~2014/3/23(主に土日に開催)
- 開催場所
岩手、宮城、福島、新潟、群馬、長野
- 参加者数
2,428名
活動概要
震災以降、国立青少年教育振興機構が独自に福島県の子ども向けにスタートした「リフレッシュ・キャンプ」をベースに、2012年度からは「ふみだす探検隊」として東日本大震災復興支援財団と共同で支援活動を開始。大自然を活かしたプログラムは、ただ楽しいだけでなく、子どもたちが互いに学び、成長できる機会の提供を意識して構成されている。2014年度は連休や長期休暇を中心にプログラムを計画し、より教育的効果の高いプログラムをじっくり体験できるようにプログラムの改良を図った。
独立行政法人国立青少年教育振興機構
プログラム担当者
独立行政法人国立青少年教育振興機構
平田 秀一 (ヒラタ シュウイチ)
昭和47年埼玉県生まれ。平成5年4月から東京医科歯科大学に勤務。平成11年4月から文部科学省(当時の文部省)に転任し、主に生涯学習関係(子供の居場所づくりやPTA関係等)の部署で勤務。平成23年4月から現在の国立青少年教育振興機構に勤務している。ふみだす探検隊の他、「体験の風をおこそう」運動や「早寝早起き朝ごはん」運動の推進し、子どもたちの体験活動の機会と場の提供や、規則正しい生活習慣の確立のため、さまざまな事業を実施している。
震災後からこれまでの活動について教えてください。
平田 :震災直後、被災地にある各施設では、5ヶ月以上通常の事業が行えない日々が続いていました。国立青少年教育振興機構の本部があるオリンピックセンターでも、帰宅困難者への対応や、福島県から避難された人工透析を必要としている方々への対応など、さまざまな対応が必要でした。
同じ頃、福島県では放射能の問題などで子どもたちの外遊びが制限されている状況が続いているという報道がありました。
そこで、「何かお手伝いをしよう!」という話になり、夏休みの期間中に子どもたちにリフレッシュしてもらうために「リフレッシュ・キャンプ」を実施しようということになりました。バタバタと準備をして、福島県教育委員会経由でチラシを配ってもらい、受付を開始すると、想像以上の応募があり、10分で予約が埋まってしまいました。運営する人員も当機構の職員だけでは足りず、文部科学省の職員にも応援に来てもらい、2週間ほど泊まり込みで対応してもらいました。そのような状況で、キャンプを7月末から8月末まで開催しました。
その当時を思い返すと、キャンプに来たばかりの子どもたちの表情は沈んでいたように感じました。そんな子どもたちもキャンプが進む中で笑顔が増え、キャンプを終えて帰るときには、みんな、涙・涙で帰っていきました。
「リフレッシュ・キャンプ」は多くのボランティアで運営されています。「福島の支援をしていきたい」というモチベーションを持って協力してくれているので、帰り際の子どもの笑顔や、別れ際の涙とかを目の当たりにすると、我々運営する側の達成感は、想像以上でした。
アンケート結果にも現れたのですが、キャンプに参加した子どもたちはキャンプ前後の意識に良い変化がありました。その結果を受けてすぐ、「秋も冬も、リフレッシュ・キャンプを続けよう」と決めて、長期休暇や土日を使って取り組みを始めました。
その頃から、当財団の「ふみだす探検隊」として「リフレッシュ・キャンプ」を実施していただくようになったんですよね。
平田 :そうですね。向かうおうとしている方向性が一緒だったので、お互いに協力できる関係になったのだと思います。
2012年度は、「ふみだす探検隊 リフレッシュキャンプ」として、毎週末に1泊2日のキャンプを実施していました。しかし、子どもたちにとってせっかくの機会なのに、キャンプ会場までのバスの往復時間で約1日を使ってしまい、プログラムの時間が十分確保できなかったという反省がありました。
そこで、2014年度からは「福島こども力プロジェクト」のプログラムとして「福島の未来を担う人材の育成」というミッションも加わったこともあり、短くても2泊3日以上のキャンプにプログラム内容を変更しました。じっくりと子どもたちが考える力や、積極性を養えるようなプログラムを取り入れようと考え、現在、夏のキャンプ開催に向け準備をしています。
キャンプに参加したことがない子どもたちに、積極的に参加してもらいたい
キャンプに参加する子どもたちの様子はどうですか?
平田 :「リフレッシュ・キャンプ」を始めて3年ほど経ちました。実は参加者のリピーター率が非常に高いです。リピーターが多いということは、プログラムが成功し、評価されているように見えると思うのですが、逆を言うと、まだ応募していない子どもがたくさんいるということですよね。広報の方法にも原因があるのだとは思いますが、まだ応募していない子どもがもっと積極的に参加できるような仕組みが必要なのかなと思っています。このままこうした機会に積極的に参加する子どもと積極的に参加しない子どもの二極化が進むと、もとから積極的な子はより積極性を持って、いずれはリーダー的な存在に育つのだと思うのですが、参加していない子どもたちにもきっかけを作って、成長の機会を提供していきたいという想いはあります。
子どもたちの保護者に活動を理解してもらえると、参加してもらえる機会が増えるかもしれませんね。
平田 :そうですね。初参加の子どもたちにもキャンプに来てもらって、さらに良いプログラムにするために、その子どもたちの変化もしっかりデータにして効果を検証していきたいと思っています。キャンプの開催場所となる、各施設においても「体験の風をおこそう」運動という大きなミッションがあるので、体験活動の良さをシェアして、リピーター以外の子どもたちにも積極的に参加してもらえるように、保護者へ働きかけていくことが重要だと考えています。子どもに参加してもらうには、まずは大人に理解いただくことが必要ですからね。
きめ細かな支援・厚みを持った支援へ
今後の活動と課題について教えてください。
平田 :これからも幅広く支援活動を提供していく、または各施設で培われたノウハウを他の団体などに提供するという間接的な支援という方法もあるかもしれません。一例を挙げると、全国の施設では、不登校やひきこもりなどの課題をもつ子どもたちのケアもできるよりきめ細かいケアの知識を持っています。そうした施設のノウハウを提供することもできるのではと考えています。このように考えるのは、現在、震災から3年経過したということを考えると、阪神淡路大震災の時と同様にPTSDの子が増えて学級崩壊が被災地で広がってしまう状況が起こってくることが考えられるからです。そのような状況になれば、それを見過ごすわけにはいかないですからね。 幅広く支援を続けていくというのではなく、きめ細かい対応で、課題性をもって個別に対応していくというのも、当機構の役割としてあるのかなとは思っています。いずれにしても、今後はより厚みをもった支援をしていきたいです。
最後になりますが「福島こども力プロジェクト」に今後、期待することを教えてください。
平田 :福島の子どもたちの人材育成がプロジェクトのベースにあることを前提として、まず参画している私たち運営団体が、もっと力をつけていかなければなりませんね。各団体が活動を実施するうえで、資金確保の仕方や他の団体との連携の仕方とか、そういった知識ややり方も獲得して、活動を続けていきたいですね。単一の活動では不足もあるけれど、みんなで力を合わせれば補い合えるともありますからね。そういった意味でも、団体を育てるプロジェクトとして、今後も継続してほしいプロジェクトです。
私たちがお話を聞いてきました
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