まなべる基金「まなべる基金」使途指定寄付の募集に関わる募金報告書(2017年4月〜2018年3月)

2018年06月29日

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高校生対象給付型奨学金「まなべる基金」への使途指定寄付(募集期間:2017年4月1日~2018年3月31日)について以下の通り報告いたします。
お預かりいたしました、寄付金総額「53,843,180円」は、「まなべる基金」の奨学金および付随する費用として使用いたしました。ご寄付いただいた皆様のご支援、ご協力に心より御礼申し上げます。
2018年4月1日以降も、高校生対象給付型奨学金「まなべる基金」の指定寄付金を継続して募集しておりますので、引き続き、多くの皆様からのご支援をお願申し上げます。

収支報告

収入

まなべる基金使途指定寄付金 53,843,180円
利息 316円
収入合計 53,843,496円

支出

第3期~第6期(2017年度前期/後期 のべ435人分として)※1 34,940,000円
送金時手数料 328,536円
支出合計 35,268,536円

※1 支給額の異なる3年制高校(月額2万円)および4年制高校(月額1.5万円)在籍生徒分をいずれも含みます。

次年度への繰り越し

繰越金(収入-支出)※2 18,574,960円

※2 繰越金については、2018年4月以降の奨学金および付随する費用として使用いたします。

「まなべる基金」について

公益財団法人東日本大震災復興支援財団では、東日本大震災発生を受け、2011年11月に高校生対象給付型奨学金「まなべる基金」を創設いたしました。
震災後、被災した学生向けにたくさんの奨学金制度が立ち上がりましたが、その多くは遺児・孤児が対象のものでした。
また同じ被災地でも、被災や失業による経済的な理由で進級・進学が危ぶまれる学生がたくさんいることも分かりました。

当財団は、そうした状況を被災地の皆様から伺い、返還不要の奨学金を、月20,000円、在籍中最長4年間(※3)給付する奨学金制度の実施を決定いたしました。

これまでまなべる基金では、第1期(2012年4月給付開始)では1,192人、第2期(2013年4月給付開始)では815人、第3期(2014年4月給付開始)では472人、第4期(2015年4月給付開始)では87人、第5期(2016年5月給付開始)では77人、第6期(2017年5月給付開始)では91人、第7期(2018年5月給付開始)では、76人を対象に(※4)支援を行っております。

また、2018年3月には、第1~6期の奨学生のうち、約80人が無事卒業し、それぞれの新しい道を進むことになりました。
「まなべる基金」を受給していた卒業生から、寄付いただいた皆様へメッセージをいただきました。是非ご覧ください。

※3 まなべる基金(第4期)からは3年制高校は年16万円、4年制高校は年12万円を給付しております。
※4 支援決定後の辞退などがあったため、発表時の人数と支援人数とは若干異なります。

まなべる基金 2017年度卒業生からのメッセージ

震災経験から学んだことを忘れずに、将来は釜石の地域医療に携わりながら地元を支えていきたい

震災当時のこと

 大地震が来た時、私は小学5年生で授業中でした。大きな揺れの後、先生の「津波がきた!」という大きな声で高台に避難しましたが、そこでは津波がくるのではという懸念があり、さらに高台にあるお寺に避難しました。避難した高台で幸いにも母と再会できました。その夜は避難所で過ごしましたが眠れず、両隣の街から震災によって起こった火災の火や煙の光景が窓の外に見え恐怖の中夜を過ごしました。
 震災から3日後、離婚し離れて暮らしていた父が、歩いて私たちの家族の安否を確認しに来てくれたときは、父の顔を見ることができ、本当に嬉しく安心しました。

 そうした一方で、私たちが避難していた避難所は、大変混乱していました。そんな状況の中でも、ある看護師の方が自身も被災しているにも関わらず体調を崩した方々に気丈に振る舞いながら看護に励んでいた姿を見て、幼心にも私も将来看護師になりたいという思いをもつようになりました。

高校生活で頑張ったこと

 進学先の高校では、勉強と部活動の両立はもちろんのこと課外活動として、ライフセービングという人命救助に携わる活動を頑張りました。震災前からスイミングスクールに通っていましたが、監督が震災で犠牲になってしまいました。多くの人の大切な物、命を奪っていった海が本当に憎らしく近づくのも嫌でした。

 そんな私に中学3年の頃転機が訪れました。防災期間の授業で指導に来ていた方に一緒に人の命を守る活動をしないかと誘われました。私は、海が怖く、迷ったものの、思い切ってライフセービングを始めることにしました。きっとその背中を押してくれたのは、水泳の監督だったのではないかと今思います。

 夏は、海の監視活動と練習、冬は雪が積もる中、水着で砂浜を走り訓練。辛いことが多かったです。しかし努力が報われ、高校1.2年生では、全国大会に出場することができました。

家族への思い

 私の母は、女一つで私たちきょうだいを育ててくれて、私立大学への進学も応援してくれました。「学びたいことがある大学に進学しなさい。私が頑張るから。」 といつも応援してくれました。 そんな母に私は、とても感謝しています。震災で経営していた美容室も流され再建した美容室は狭く、着付け室がなく困っていました。だから私は、夢である看護師になり、安定した収入を得て、将来は、母の美容室に着付け室を作ってあげたいです。

 父は母と離婚し、今は離れて暮らしていますが、何かあればいつも頼りになる存在です。いつも、遠くに連れて行ってくれて、たくさん笑わせてくれてたまにしか会えないけれど私にとって大切な存在です。そして、将来看護師になったらそんな父をいろんな所に連れて行ってあげたいです。

将来の夢

 私は、4月から進学先の大学で地域看護学を学ぶため1度地元を離れます。大学卒業後は、地元に戻り自分の手で地域の医療を支えることのできる看護師になりたいと考えています。震災で傷ついた地元が再生し、活性化するのを傍で見守りながら、多くの方の看護をしたいと考えています。災害を経験した私にしかできないことがたくさんあると思います。震災を通して学んだことと大学で学ぶ事を合わせて勉学に励みたいと思います。

震災から学んだこと、自分の変化

 震災から学んだことは、人の温かさ、家族の大切さ、そして、当たり前の生活の幸せさです。震災が無ければ、絶対に出会うことのない人にもたくさん会えました。震災でバラバラになった家族と出会えた時の幸せはこれから先絶対に忘れないと思います。そして、当たり前の生活、普段何気なく過ごす日常がどれだけ大切で、幸せかという事を震災は教えてくれました。支援してくださる皆様の支援のおかげで私は今生活できていますし、辛いことをこうして乗り越えられました。

 震災で失ったものは沢山あります。しかし得たものもたくさんあります。得た事、そして残された命を無駄にすることなく強くこれからも前を向かって生きていこう、と震災は教えてくれました。日々過ごしていく中で風化していく震災をどのようにして風化させないか大学生になる私には何が出来るか、しっかりと考えていきたいです。

まなべる基金と寄付者の方たちへの感謝の思い

 寄付者の皆様、今まで、温かいご支援ありがとうございました。まなべる基金から頂いた奨学金は、ライフセービングの全国大会のための遠征費や、参考書代に充てました。もし、この奨学金がなければ、今ライフセービングができていませんし、遠征をして全国に良きライバルであり友達もできませんでした。

 そして奨学金が無ければ、看護師という夢もなかったと思いますし、大学に進学する意欲もなかったと思います。無事に第一志望の大学に合格できたのも、充実した環境で学ぶ事ができたからだと思います。

 まなべる基金のおかげで、私は今、様々なことにチャレンジでき、夢に向かい頑張ることができています。3年間本当にありがとうございました。これからは震災を機にできた夢である看護師に向かって頑張ります。今できる恩返しは、夢に向かい努力する姿を寄付者の方々にお見せすることだと思っています。数年後国家試験に合格したら、改めてご報告できたらと思っています。今後も夢に向かい理想の看護師になれるように頑張ります。寄付者の皆様、これからもまなべる奨学生の応援よろしくお願いいたします。

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