まなべる基金「まなべる基金」使途指定寄付の募集に関わる募金報告書(2018年4月〜2019年3月)

2019年05月31日

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高校生対象給付型奨学金「まなべる基金」への使途指定寄付(募集期間:2018年4月1日~2019年3月31日)について以下の通り報告いたします。
お預かりいたしました、寄付金総額「49,904,327円」は、「まなべる基金」の奨学金および付随する費用として使用いたしました。ご寄付いただいた皆様のご支援、ご協力に心より御礼申し上げます。
2019年4月1日以降も、高校生対象給付型奨学金「まなべる基金」の指定寄付金を継続して募集しておりますので、引き続き、多くの皆様からのご支援をお願申し上げます。

収支報告

収入

まなべる基金使途指定寄付金 49,904,327円
利息 527円
収入合計 49,904,854円

支出

第5期~第7期(2018年度前期/後期 のべ394名分として)※1 31,480,000円
送金時手数料 297,864円
支出合計 31,777,864円

※1 支給額の異なる3年制高校(月額2万円)および4年制高校(月額1.5万円)在籍生徒分をいずれも含みます。

次年度への繰り越し

繰越金(収入-支出)※2 18,126,990円

※2 繰越金については、2019年4月以降の奨学金および付随する費用として使用いたします。

「まなべる基金」について

公益財団法人東日本大震災復興支援財団では、東日本大震災発生を受け、2011年11月に高校生対象給付型奨学金「まなべる基金」を創設いたしました。
震災後、被災した学生向けにたくさんの奨学金制度が立ち上がりましたが、その多くは遺児・孤児が対象のものでした。
また同じ被災地でも、被災や失業による経済的な理由で進級・進学が危ぶまれる学生がたくさんいることも分かりました。

当財団は、そうした状況を被災地の皆様から伺い、返還不要の奨学金を、月20,000円、在籍中最長4年間(※3)給付する奨学金制度の実施を決定いたしました。

これまでまなべる基金では、第1期(2012年4月給付開始)1,192人、第2期(2013年4月給付開始)815人、第3期(2014年4月給付開始)472人、第4期(2015年4月給付開始)87人、第5期(2016年4月給付開始)77人、第6期(2017年4月給付開始)91人、第7期(2018年4月給付開始)76人、第8期(2019年4月給付開始)63人、合計2,873人を対象に(※4)支援を行っております。

また、2019年3月には、約80人が無事卒業し、それぞれの新しい道を進むことになりました。
「まなべる基金」を受給していた卒業生から寄付いただいた皆さまへ御礼メッセージをいただきました。是非ご覧ください。

※3 まなべる基金(第8期)からは3年制高校は年17万円、4年制高校は年12.75万円を給付しております。
※4 支援決定後の辞退などがあったため、発表時の人数と支援人数とは若干異なります。

まなべる基金 2018年度卒業生からのメッセージ

震災当時から希望する進路に向かって

 震災当時、私は小学校4年生で、小学1年生の弟、3歳の妹、生まれたばかりの弟、両親、祖母の7人で近くの中学校に避難をしました。

 電気・水道が使えず、食べる物もない生活を送っていました。2、3日経って近所の小学校に移動し、そこでは少しの食料でしたがもらう事ができました。しかしながら、電気はなかなか復旧せず、津波で被害にあった自宅周辺は水没したままで、しばらくの間は家に帰れず、真っ暗な避難所で不安な夜を過ごす日々が続きました。

 震災から約20日経った頃、ようやく電気が復旧しようやく自宅に帰る事ができました。川の近くにあった自宅は、津波の影響でがれきや泥に埋もれてしまい玄関から入ることは難しく、隣家の屋根伝いに自宅2階の窓から入ったのを今でも鮮明に覚えています。自宅に戻り電気のスイッチを入れ、実際部屋に明かりが灯った時、私は普段何気なく使っていた電気のありがたさ、大切さを実感しました。

 中学3年になり進路について考えなければならなくなった時、このような震災での体験を思い出し、自分は電気の勉強や資格取得がしたい、そして、震災前から続けてきたバスケットボールを高校でも続けたいという思いから石巻工業高校電気情報科に進もうと決めました。しかし、船舶電機を営む父の会社の経営は震災の影響でとても厳しく、このままでは高校進学は難しい状況にありました。そんな時、中学校の先生から「まなべる基金」の奨学金制度を教えてもらい、応募することを決めました。

 まなべる基金の奨学金は、資格取得のための申し込み費用、テキスト代、高校の部活動で使用する用具やウェア、遠征費に使用させて頂きました。高校生活ではこの支援のおかげでやりたい事に熱中して取り組む事ができました。部活動でも、バスケットボール部のキャプテンを務め、地区大会を優勝し、県大会へチームを導く事が出来ました。また、第2電気工事士という国家資格を取得する事ができました。

 そのような学生生活の中で、あの震災から電気について考えるようになり、大切な電気エネルギーを人々に届ける仕事に就きたいという強い思いを持つようになり、高校卒業後は東北電力に入社しようと決めました。

 希望する進路に進むために、成績は常にトップを維持するよう日々の勉学に励みました。 また、入社試験を受験するに当たり、たくさんの先生とあらゆる場面を想定しての面接練習、その他筆記試験の勉強を行い、試験に臨みました。そして、その努力の結果、幸いにも希望していた内定を頂く事ができ、4月からは社会人となり東北電力の社員のひとりとして働くことになりました。

家族への思い

 私は4人兄弟にも関わらず、両親は私たち一人ひとりにいつも真っ直ぐに接してくれました。高校受験、就職試験の時も夜遅くまで一緒に面接の練習につき合ってくれました。部活動でも、試合の時は必ず応援にきてくれたり、遠征後は栄養のあるご飯を作ってくれたり、マッサージをしてくれたりと常に私を支えてくれました。上手くいかず、落ち込んでいる時も自信を持てるような言葉をかけてくれ、この18年間支えてくれました。私は今後一人前の東北電力の社員となり、今まで育ててくれた両親にたくさん親孝行をしたいと思います。

震災から学んだこと、自分の変化

 私は、震災の経験から、「当たり前」は「当たり前ではない」ことを学びました。電気や水が使える、暖かい家があり美味しい食事ができる事、これまで普段の生活にとって当たり前だったことは決して当たり前のことではないんだと強く感じました。世界にはこのように電気も水道も簡単に使えない、しっかりとした食事ができない国が多くあります。私は震災の経験を通して、当たり前だと思っている事に感謝しながら生きていこうと思いました。

まなべる基金と寄付者の方たちへの感謝の思い

 私が充実した高校生活を送る事ができたのも、まなべる基金のおかげだと心から感謝しております。ありがとうございます。

 充実した高校生活を送る事ができたのも、ここまで育ててくれ両親、3年間ずっと変わらず支えてくださった皆さまの支えのおかげだと心から感謝しております。

 私は電気を送る側の人間になる事ができました。支えてくださった方々のためにも立派な社会人になり、大きな自覚と責任を持ち、これから東北の人々に安定した電気エネルギーを送ることに力を注ぎたいと考えています。そして、今後色々な経験をして、たくさんの技術や知識を身につけ、さらに自分を成長させ、最終的には地元に戻り、電気を通して貢献していきたいと思います。

 たくさんのご支援本当にありがとうございました。

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