まなべる基金「まなべる基金」使途指定寄付の募集に関わる募金報告書(2020年4月〜2021年3月)

2021年06月08日

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高校生対象給付型奨学金「まなべる基金」への使途指定寄付(募集期間:2020年4月1日~2021年3月31日)について以下の通り報告いたします。
お預かりいたしました、寄付金総額「43,416,142円」は、「まなべる基金」の奨学金および付随する費用として使用いたしました。ご寄付いただいた皆様のご支援、ご協力に心より御礼申し上げます。

収支報告

収入

まなべる基金使途指定寄付金 43,416,142円
利息 951円
収入合計 43,417,093円

支出

第7期~第9期(20120度前期/後期 延べ245名分として) 20,761,250円
送金時手数料 188,100円
支出合計 20,949,350円

次年度への繰り越し

繰越金(収入-支出)※1 22,467,743円

※1 繰越金については、2021年4月以降の奨学金および付随する費用として使用いたします。

「まなべる基金」について

公益財団法人東日本大震災復興支援財団では、東日本大震災発生を受け、2011年11月に高校生対象給付型奨学金「まなべる基金」を創設いたしました。

これまでまなべる基金では、

第1期(2012年4月給付開始)1,192人
第2期(2013年4月給付開始)815人
第3期(2014年4月給付開始)472人
第4期(2015年4月給付開始)87人
第5期(2016年4月給付開始)77人
第6期(2017年4月給付開始)91人
第7期(2018年4月給付開始)76人
第8期(2019年4月給付開始)63人
第9期(2020年4月給付開始)48人
第10期(2021年4月給付開始)86人

を対象に(※2)支援を行っております。

また、2021年3月には、61人が無事卒業し、それぞれの新しい道を進むことになりました。
「まなべる基金」を受給していた卒業生から、寄付いただいた皆様へメッセージをいただきました。是非ご覧ください。

※2 支援決定後の辞退などがあったため、発表時の人数と支援人数とは若干異なります。

まなべる基金 2020年度卒業生からのメッセージ

震災当時、岩手県大槌町に在住していた奨学生

震災当時の話

 震災が起こった時間、私は帰りのホームルーム中でした。それまで聞いたことのない地鳴りがして、揺れが収まった後に、すぐ、校庭に避難しました。校庭に避難した後も何度も大きな揺れが繰り返しやってきました。恐怖で泣いている人もいましたが、私はその人たちを少しでも安心させようと、自分にも言い聞かせるように「大丈夫だよ」と連呼していました。

 しばらくし、海の方から砂塵が大量に上がるのが見えて、「津波だぁ」という声が聞こえました。私達は小学校の先生方の指示に従って高台まで避難しました。走って避難している最中は津波がどこまで迫っているのか分からず、見えない恐怖で腰を抜かしてしまい、上手く走れなかった記憶があります。

 様子をみて、高台から学校の避難所へ移動し、その夜は、時折くる揺れに怯えながら、体育館の隅で毛布に包まって夜が開けるのを待ちました。

 震災後も、親戚の家に泊めさせてもらったり、避難所を転々したりと、しばらく落ち着かない生活が続きました。住居を移動する度に、環境が変化したことによる気疲れからか、高熱を出していたことを今でも覚えています。そんな避難所生活を送るなかで、自分の中で記憶に残る出会いがありました。避難の際に怪我された方々や、車椅子で避難してきた方々を、理学療法士という職業の方が、親身になって介抱されている姿がとても印象に残り、将来、その方のような理学療法士という職業を目指してみたいという思いが生まれました。

高校生活で頑張ったこと

 高校では勉強と部活の両立以外にもボランティア活動に携わる機会を増やすよう心がけていました。植樹ボランティアや清掃ボランティア、また2019年に開催されたラグビーワールド日本大会では、釜石開催時には道案内ボランティアなど、多くのボランティア活動に参加し、学校では経験することのできない貴重な体験をすることが出来ました。

 また、2年生の時に生徒会長に就任したときには、生徒全体がボランティア活動に携わることができるよう、「夢団~未来へつなぐONE TEAM」を決起し、校内のボランティア活発化を図りました。

進路・将来への夢

 私は4月から理学療法士の資格取得のため、地元を離れます。勉学に励む事はもちろんのこと、実習では他生徒を先導できるよう努めたいと思います。

 学校を卒業後は地元に戻り、学んだ技術を地域へ還元したいと思います。震災で支えて頂いた方の多くには未だその恩を返せていません。なので、今度は私がお世話なった方を支える番だと思っています。

家族への思い

 私の両親は私が幼いときに既に離婚していて、母は父のつくった借金を返済しながら、姉と兄そして私を育ててくれました。いつも母は古着にエプロン姿で、自分のための贅沢などは一切せず、常に私達のことを第一に考えてくれました。私達が興味を持ち、学びたいと思ったものには協力を惜しまず、私達が望んだ道にすすめるよう、援助してくれました。まだ18年しか生きていませんが、これまでに母にもらった温情ははかり知れません。私ができることは、せめて母に誇りに思ってもらえるような人間になることだと思っています。初任給がもらえたら家族全員で函館にカニを食べさせに行きたいです。

震災後10年経ち思うこと (震災から学んだこと、自分の変化)

 震災から私が学んだことは、「人はその意志と関係なく忘れていく生き物」だということです。誰にも等しく深い傷を刻んだ10年前のあの日から年を重ねるごとに私の心象に占める大きさが小さくなっていくのを感じました。どれほど強く印象に残る記憶だったとしてもその時の感情は薄れてしまいます。だからこそ私達はそれを教訓として後世に語り継がなければならない。それが生き残った私達が唯一できる弔いだと思うようになりました。

自分の住む故郷に対して

 震災から10年が経ちましたが私の住む大槌町は復興し、震災前の町を取り戻すのではなく、それを超える町になったと感じます。それは利便性の向上という点のみならず、町全体の結束力が高まったと感じるからです。 震災で失ったものの多くは、帰ってきません。だからこそ震災前の日常を憂うのではなくこれからの明るい未来へともに歩いていこうと思っています。

寄付者の皆さんへ

 まなべる基金寄付者の皆様、これまでのご支援ありがとうございました。皆様に頂いた寄付金は通学費や部活の遠征費、参考書等の教材購入費に当てさせていただきました。

 皆さんのご支援がなければ私がこんなにも高校3年間を充実させることはできなかったと思います。勉強と部活、ボランティアへの参加、生徒会と大変な時期もありましたが、皆さんの応援があったからこそ、続けることができたのだと思います。本当にありがとうございました。私が皆さんにできる精一杯の恩返しは、これからの4年間勉学に励み、国家資格を取り、医療現場で活躍する姿を見せることだと思っています。理想の理学療法士になれるようがんばります。まなべる基金寄付者の皆様、これからもまなべる奨学生の応援を宜しくお願いします。

まなべる基金の奨学生の皆さんへ

 まなべる奨学生の皆さん、皆さんは日々勉学に部活にと励んでいると思いますが、どうか自分の可能性を自分で決めつけず、色々な事に挑戦してほしいです。失敗したり、辛くなったりすることは多々あります。しかし、私を含め、まなべる寄付者の方々、保護者、友達と応援してくれている人はたくさんいます。 皆さんが一所懸命に挑戦する姿を見せることが寄付者の方々への恩返しになります。どうか今しかできない事を精一杯取り組んでください。応援しています。

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