子どもサポート基金 子どもサポート基金一般社団法人チャンス・フォー・チルドレン

2012年11月08日

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被災児童・生徒への大学生サポーター派遣事業

・被災児童・生徒150名に対し、対人援助やグリーフケアなどの専門家から研修を受けた大学生サポーター(ボランティア)45名を派遣する。
・大学生サポーターが、電話や面談などで主に学習や進路に関する相談に応じることで、学習や進路面での不安を和らげる。

基本情報

活動期間
2011年10月1日~2012年3月31日
活動地域
宮城県仙台市
活動人数
スタッフ3名
ボランティア45名 ※2012年3月31日時点

写真

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    グルーピングサポート
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    大学生サポーター養成研修1
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    大学生サポーター養成研修2
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    電話面談

活動の背景・内容

活動の内容

 

■具体的な活動内容

【大学生サポーター派遣】

▶概   要

専門家による研修を受けた大学生が月に一度の面談又は電話で主に学習や進路の相談に応じる。

▶面談時間

・30分程度

▶支援対象人数

東日本大震災で被災した小学生~高校生 計150名

○学年別

・小学生5名(小3:2名、小4:3名)

・中学生95名(中1:9名、中2:27名、中3:59名)

・高校生50名(高1:8名、高2:16名、高3:26名)

○地域別

・宮城県84名、岩手県32名、福島県29名、千葉県2名、兵庫県3名

○住家被害状況

・全壊・原発被害142名、大規模半壊4名、半壊4名

○人的被害状況

・父死亡7名、母死亡8名

○失業

・父失業59名、母失業27名

▶大学生サポーター人数

計45名(東北大学6名、宮城教育大学10名、宮城大学4名、東北学院大学7名、東北福祉大学5名、

宮城学院女子大学3名、尚絅学院大学8名、仙台白百合女子大学:2名)

 

 

活動詳細

大学生サポーターが、月1回の電話や対談を通して、進路・学習に関する相談に応じた。

※サポーターの必要人数が不足していたため、当初予定して面談開始時期を2011年12月から2011年1月中旬に変更した。

◯子どもとの信頼関係作り

面談では、まずはお互いの趣味や学校での出来事等について話しながら、徐々に信頼関係を築いていった。趣味の話をする中で子どもの興味・関心を知り、そこから子どもたちの将来の夢や希望する進学先等に話を広げていく姿が見られた。特に子どもとの関係を作るうえで、養成研修で行った「傾聴訓練」での学びや気付きが役に立っていた。傾聴することで、共通の話題が見つかり、子どもとの距離感を縮めることができていた

 

◯学習方法や進路選択についてのアドバイス

初回の面談は少し緊張気味だった子どもたちも、2回・3回と面談を重ねるごとに、日頃の学習や進路に関する悩みを打ち明けてくれるようになっていった。大学生サポーターは、子どもの気持ちに寄り添いながら、よく話を聴いたうえで、自身の経験談(どのような観点で進路を選んだか、有効な勉強方法等)等を話した。また、特に子どもの進路については、情報を検索したり、定期研修の際に他のサポーターや講師に尋ねたりする等、事前に十分な調査を行い、次回の面談時に情報提供を行った。特に、受験生については、深刻な進路に関する悩みもあったが、子どもたちを励ましつつ、自身の経験を元に、具体的なアドバイスを行った。(受験生の進路結果の詳細については、P6~7に記載)

 

◯面談報告書の作成

大学生サポーターは、毎回の面談終了後、面談報告書を作成し、当日の面談内容を記録した。進路希望先やその日に話した印象的なこと、子どもの言動に対する自身の対応、次回面談の課題等を報告書にまとめた。また、報告書作成終了後、担当の職員とともに面談の振り返りを行い、子どもの様子、子どもとの関係を作るうえでの困り事や悩み、次回面談への課題等について共有し、次回の面談に備えた。大学生サポーターは毎回の面談が始まる前に、前月分のヒアリングシートを見返す等、十分な準備をしたうえで面談に臨んだことで、子どもたちと良い関係を作ることができた。

 

【大学生サポーターのための研修( 養成研修 / 定期研修 )】

対人援助や教育等に関連する専門家チームを構成する。心に傷を負った被災児童・生徒と関わる大学生が安心して活動に取り組めるよう、専門家が研修等を通じて、サポートする。

①新人研修(大学生サポーター養成研修)

▶概   要

専門家による対人援助、グリーフケア、進路・学習や奨学金等に関する講義やワークショップを行い、大学生サポーターを養成する。(2011年11月から12月にかけて3回実施)

▶活動詳細

講義・実習から成る2日間の研修を計3回開催した。その結果、計50名の学生が研修を受講し、その内45名が学生サポーターとして活動することとなった。

 

▶研修実施日

①11月 5 日・6日 ②11月19日・20日 ③ 12月10日・11日

 

▶研修スケジュール

◯講義(1日目)

講義1:「Chance for Children団体紹介/大学生サポーター活動の概要」(時間:95分)

チャンス・フォー・チルドレンの活動や今後のビジョン、その中で大学生サポーターが期待される役割について学んだ。

【講師】雑賀 雄太(一般社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事)

講義2:「子どもの貧困、貧困家庭の実状」(時間:50分)

特に被災地では、被災によって経済的に困窮した家庭が多いため、日本の子どもの貧困の現状やそれによる影響等について学んだ。

【講師】松本 幸子(社会福祉士/宮城県中央児童相談所元職員)

講義3:「被災した子どもの心理状態と支え方」(時間:60分)

災害時の心の反応、遺族の心理、喪失体験による心の動きなど、被災した子どもの心理状態を学び、どのように支えていくべきかについて学んだ。

【講師】佐藤 利憲(仙台青葉学院短期大学看護学科精神看護学助教)

講義4:「進学・就職・経済的支援制度について」(時間:50分)

高校入試、大学入試の諸制度や高卒での就職の実状について、また進学していくうえで活用できる経済的支援制度に関する情報等を学んだ。

【講師】松浦 智博(株式会社デュナミス取締役キャリア教育コーディネーター)

 

○実習(2日目)

実習1:「コミュニケーション基礎/実践」(時間:140分)

対人コミュニケーションにおける基礎的な知識、子どもとコミュニケーションをとる上で必要となるスキルについて実践を交えて学んだ。

実習2:「ロールプレイング」(時間:190分)

実際に子どもと面談する場面や電話で会話をする場面を想定し、子どもの役や学生ボランティアの役を演じ、実体験した。

実習3:「グループワーク」(時間:50分)

子どもと関わる際に大切なこと・ブラザー・シスターとしての役割について小グループで意見を出し合い、最後に参加者全員で共有した。

【講師】出村 和子(弘前学院大学客員教授 /仙台いのちの電話理事長)

※コミュニケーション基礎/実践、ロールプレイング、グループワークのすべてを出村和子先生が担当

▶研修実施会場

①仙台市市民活動サポートセンター / ②仙台市民会館 / ③個別教室のアップル 仙台駅前教室

▶研修参加者

総計:50名※内3名は部分参加

▶養成された大学生サポーター数

総計:45名※11月の研修にて25名、12月の研修にて20名が養成された。

 

②定期研修(グルーピングサポート)

▶概   要

2ヶ月に1回、大学生サポーターは被災児童・生徒との関わりで生じた悩みなどを専門家や他の大学生サポーターと共有し、専門家から悩みに対する助言や進路等に関する情報提供を受ける。(2012年2月実施)

▶活動詳細

2012年2月に学生サポーターと専門家チームのトレーナーで研修を実施した。

○仲間の大学生サポーターと不安や悩みを共有

学生サポーターは初回面談を含め、1回もしくは2回の面談を終えた時点での研修であったが、電話でのコミュニケーションの難しさを感じ、これからの活動に不安を抱いているようであった。具体的な不安としては、「今まで一度も会った子どもと何を話せばよいのか分からない」といった声も出ていた。しかし研修後は、「こうした不安が自分一人だけではないのだと分かっただけで少し安心した。」という声が多く出た。

○専門的な視点からの助言(スーパービジョン)

大学生サポーターが面談中、対応に困ったケースについては、専門家チームのトレーナーから助言をもらうことができた。子どもとの関わりに正解は存在しないが、大学生とは違う「専門家の視点」が入ることによって、より話し合いは活発化していた。また、このような専門家による後方支援があることによって、大学生が安心して活動することができていた

▶研修スケジュール(総時間:120分)

・グループに分かれ、面談における悩みや課題についての意見交換(時間:100分)

・各グループの意見を全体で共有(時間:10分)

・専門家チームの先生から研修を振り返っての感想やアドバイスをもらう(時間:10分)

 

■専門家チーム(トレーナー)

対人援助、教育(学習支援、進路指導、キャリア教育)、心理学、福祉、グリーフケアを専門とした大学教授、学術者、福祉系職員、NPO職員、塾講師、弁護士等で構成した。特に下記の専門家の皆様には、研修カリキュラム設計や、研修講師として学生サポーターのトレーニングにご協力いただいた。

・高橋聡美(仙台青葉学院短期大学 精神看護学講師)

・出村和子(社会福祉法人仙台いのちの電話 理事長)

・佐藤利憲(仙台青葉学院短期大学 精神看護学助教授)

・松浦智博(株式会社デュナミス取締役/キャリア教育コーディネーター)

・松本幸子(社会福祉士/宮城県中央児童相談所元職員)

 

■活動実施スケジュール詳細

2011年11月 5日・6日  :大学生サポーター養成研修(第1回)

2011年11月19日・20日 :大学生サポーター養成研修(第2回)

2011年12月10日・11日 :大学生サポーター養成研修(第3回)

2011年12月1日2~31日:子どもと大学生ボランティアのマッチング

2012年1月1日~31日  :第1回面談(電話)

2012年2月1日~29日  :第2回面談(電話又は面談)

2012年2月18日・22日  :第1回定期研修(以降、2ヶ月に一回実施)

2012年3月1日~31日  :第3回面談(電話又は面談)

活動の成果

 

■活動の成果

2012年1月~4月の月1回の電話または面談を通じて、進路や学習についてアドバイスを行った結果、以下のような成果が出た。

 

中学3年生/高校3年生の進路実績

○中学3年生(58名)

・支援対象者の100.0%が進学

内容

実数(名)

進学

58

100.0%

58

100.0%

 

・支援対象者の94.8%が希望する進学先に進学

内容

実数(名)

強く希望していた

38

65.5%

まあまあ希望していた

17

29.3%

あまり希望していなかった

0

0.0%

全く希望していなかった

3

5.2%

58

100.0%

 

○高校3年生(21名)

・支援対象者の76.2%が進学

内容

実数(名)

進学

16

76.2%

就職

0

0.0%

浪人

2

9.5%

決まっていない

3

14.3%

21

100.0%

 

・支援対象者の66.7%が希望する進学先に進学

内容

実数(名)

強く希望していた

10

47.6%

まあまあ希望していた

4

19.1%

あまり希望していなかった

2

9.5%

全く希望していなかった

0

0.0%

浪人

2

9.5%

決まっていない

3

14.3%

21

100.0%

 

■大学生サポーターからの面談のご報告※一部抜粋

・話をしていくうちに子どもの将来に対する意識が変化してきていることも感じます。ときには自分が子どもと同い年くらいのときには絶対に考えることのできないような将来についての展望を語ってくれることもあります。(宮城教育大学 教育学部4年)

 

・先日は、電話面談ではなく石巻まで行って実際に会って話をすることができました。始めてみたい習い事や、塾などについても一緒に考えたりもしました。電話の面談では触れたことがなかった話題(おきまりの恋愛などです。)も出てきたりしてとても新鮮でした。(東北大学 理学部2年)

 

・3回目の面談で初めて会った時もすんなり打ち解けることができました。電話面談の際に薦めたテキストがあったのは嬉しかったです。彼女は「保育士になりたい」という夢を持っているので、どんな道があるのかを色々と調べているところです。(東北学院大学 教養学部3年)

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