子どもサポート基金 子どもサポート基金一般社団法人プロジェクト結(ゆい)コンソーシアム

2012年07月30日

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東日本大震災で被災した子どもの学びと遊びを、非日常の場づくりを通じて支援する活動

被災地の学び・遊びに対するニーズと、賛同企業/団体/個人が持つプログラムやノウハウをマッチングし、日常ではなかなか経験できない非日常的な学び・遊びの機会を提供し、被災地の子供たちの成長を支援します

基本情報

活動地域
宮城県石巻市
活動人数
スタッフ30名、ボランティア100名

写真

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活動の背景・内容

活動の背景

本コンソーシアムは、「被災した子どもたちの学び・遊びの場を一日も早く復旧、さらには創造的に復興することで、主体性と希望を持つ、自立した逞しい子どもへと成長する機会を提供したい」そう考える個人・団体が官民の垣根を越えて集まり、結成されました。

プロジェクト結の活動は大きく3つに分けられます。
・日常支援:企業・学生ボランティア派遣による、放課後の時間の子どもの学び・遊びを支援する
・非日常支援:復興のために後回しになりがちな、子どもの成長を後押しする「非日常性の高いイベントや活動」を企画・実行する。現地のニーズに合わせて、活動のデザイン、現地との調整、実行、レビューまでを実施する
・住民参画の復興支援:住民主導のコミュニティの創造的復興のために、ファシリテーターとして対話・協働の場作りを支援する

今回の支援金は、主に②の非日常支援に用いさせていただきました。
プロジェクト結では、2011年4月初旬から、石巻市、南三陸町といった現地での活動を定期的に続けており、その中で非日常支援へのニーズを痛切に感じてまいりました。

被災地域では、震災の到来によって大人のリソースが定常的に復旧活動に充てられてしまい、平時であれば当たり前のように期待できた地域コミュニティ/生徒の家族からの支援が受けにくくなっています。たとえば、中学校の職業実習は、多くの現地企業が津波の被害に合い、実施の目処が立ちません。また、職業体験や部活指導なども、平時のように地域/家族からのサポートが受けられず(たとえば、部活動での遠征帯同/自動車の運転など)、先生方も定常的な業務に加えて震災に伴う雑駁な仕事が増えているため、これら非日常性の高いイベントや活動をフォローする余裕がない状況です。

こういった被災地の負担を吸収し、子供たちに希少性の高い非日常的な学び・遊びの場を提供したい。そういった思いの下、日常支援活動を通じて吸い上げた現地のニーズを、被災地支援を希望する様々な企業/団体/個人とマッチングすることで、複数のイベントを企画・実行いたしました。

活動の内容

今回の支援金は、以下の企画・イベントの費用に充てさせていただきました。

 

1.  アカデミーキャンプ2012夏

2.  横浜FC福島試合観戦

3.  大谷地小学校:音楽鑑賞会

4.  アスリート派遣(石巻ライノスラグビースクール)

5.  子どものまち・いしのまき

6.  開北小学校:スポーツ鬼ごっこ

7.  鮎川小学校:教室ペンキ塗り

8.  橋浦小学校:狂言ワークショップ

9.  石巻市子どもサミット

10.プロジェクト縫(手芸部)

 

1.アカデミーキャンプ2012夏
アカデミーキャンプは、東日本大震災や原子力発電所事故などにより、屋外で心おきなく遊ぶ機会を少なくしている福島県の子どもたちを対象に、「遊びと学び」に焦点をあてたプログラムです。「福島の子どもたちとその家族に笑顔を」という思いを出発点とし、様々な企業・団体の協力・ご支援によって実現しています。

アカデミーキャンプには、大きく3つの特徴があります。

・福島の子どもたちのためのキャンプであること
震災や原子力発電所事故によって、心身ともにストレスに晒されている福島の子どもたちに、「大自然の中で思い切り楽しい時間を過ごしてもらう」ことを目的としたキャンプです。

・「これからを生きていく力」をつけるためのキャンプであること
様々な困難の中を生きていくことになる次の世代が、集団生活の中で仲間を作りながら、自分たちで創意工夫して遊びと学びを体験することを通して、「これから生きていく力」を身につけていくことを目標に掲げています。

・最高の学びを体験する場としてのキャンプであること
プログラムの趣旨に賛同した多くの大学教員、企業人、アスリート、アーティストたちが、自身の専門的な知識や経験を子どもたちに対して真剣に向きあって伝えます。これは同時に、大人たちも子どもたちから学びます。また、大学生を中心とするグループリーダや看護リーダも、子どもたちと関わることを通じてリーダーシップを身につけ、未来を引っ張っていくためのトレーニングを積みます。すべての参加者が相互に学び合える、いわば「最高の学び」を体験する場です。

「アカデミーキャンプ2012夏」は、2012年8月5日~24日の期間に3期にわたって開催され、総計70人の福島の子どもたちに、普段とは違う環境で元気に・楽しく学び・遊ぶ機会を提供することができました。

プロジェクト結はアカデミーキャンプの実行委員会に加わっており、事務局長としてプロジェクト結のメンバーが運営に携わっています。

アカデミーキャンプHP:
http://academy-camp.org/

 

2.横浜FC福島試合観戦
横浜FCホームゲームの福島復興支援Jリーグ公式戦(9/23、VS徳島)に対してプロジェクト結は協賛活動を行いました。

この試合は、福島県(県営あづま陸上競技場)で震災後初めて行われたJリーグの公式戦であり、福島県内各地から約1,000人の子どもたちが無料招待されて行われました。しかし、広大な面積を誇る福島県において、南はいわき市、西は会津若松市から試合会場である福島市まで移動することは簡単ではありません。そこで、プロジェクト結では、いわき市から試合観戦を希望した400名の子供達の移動費用(バス8台分)に協賛し、多くの子どもたちがJリーグの公式戦を安全・安心に観戦する事を支援しました。

また横浜FC主導による上記400名の子どもの招待に加え、本年8月に開催された「アカデミーキャンプ」に参加した子どもたちとそのご家族、合計26名も招待しました。アカデミーキャンプ参加者にとっては、サッカー観戦に加えて、当日イベントサポートとして試合会場にいた「プロジェクト結」のアカデミーキャンプ担当スタッフとの再会の機会ともなりました。

当日はあいにくの悪天候でしたが、試合結果は1-0で横浜FCが勝利し、福島の少年少女に大きな力を与えることができました。試合前、試合中、そして試合後に選手を見た福島の子どもたちの口からは感動の言葉が溢れ、改めてスポーツが持つチカラが復興支援に大いに役に立つことを実感させられる機会になったと考えております。

 

3.  音楽鑑賞会(大谷地小学校)
大谷地小学校では、例年、音楽鑑賞会を開催し、生徒と地域に暮らす方々が音楽と触れ合う機会を提供していました。プロジェクト結は、今年度開催する音楽鑑賞会に支援団体として関わり、関西から震災経験のあるプロミュージシャン(Sugar Style Spirit(http://sugarstylespirit.com/))を招致することを支援しました。

10月5日に開催され音楽鑑賞会には、大谷地小学校の生徒たち、近隣に暮らす仮設住宅の人たちが大勢集まり、普段とは違う楽しい時間を過ごしていただくことができました。

 

4.アスリート派遣(石巻ライノスラグビースクール)
IBMラグビー部プロ契約選手である西山淳哉氏が、月に1回、石巻ライノスラグビースクールを訪問し、子どもたちの臨時コーチとしてラグビーを教えるプロジェクトを支援しました。

西山氏は、震災直後の5月から毎月必ず同スクールを訪問しており、最低3年、目標10年のプロジェクト継続を目指して現在も活動中です。プロラグビー選手によるコーチングが練習の活性化に繋がることはもちろんですが、西山氏の活動においては、「継続」に対するコミットメントがとくに重要になっています。「このコーチは、必ず、また来てくれる」そういう安心感・信頼感が、子どもたちとの間で「その場限りではない」深い関係性を構築し、結果的に人と人との関わりを通じて子どもたちが成長していくことを力強く後押ししています。

西山氏が自身の活動を綴ったブログ:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/junyanishiyama/

 

5.  子どものまち・いしのまき
「子どものまち」とは、子どもたちが公共機関や行政、お店など各種サービスを提供する会社をつくり、働き、お金を稼ぎ、遊んだり買い物したりする、教育機関では学べない実体験型の学習プログラムです。もともとはドイツ・ミュンヘンで開催された「ミニ・ミュンヘン」がきっかけとなっており、その後世界各地に広がっています。

今回の「子どものまち・いしのまき」は、子どもの参画による震災復興まちづくり活動の一環として位置付けられ、全国各地で開催されている「子どものまち」を、石巻の商店街を舞台にして開催しました。プロジェクト結は子どものまち・いしのまき実行委員会の共同開催団体としてイベント運営の支援をしました。

子どものまち・いしのまき公式HP:
http://ishinomakids.com/

 

6.  開北小学校:スポーツ鬼ごっこ
7月7日(土)、一般社団法人鬼ごっこ協会(http://www.onigokko.or.jp/)から講師の方を招致し、スポーツ鬼ごっこ大会を開催しました。

当日はあいにくの大雨のため、当初予定していた開北小学校校庭での開催はできませんでしたが、NPO法人石巻市体育協会の方々のご厚意により、総合体育館を借りることができました。大人・子どもが入り混じって行うスポーツ鬼ごっこは非常に盛り上がり、参加した小学3年生の男子生徒は「全国大会に出たい!」という張り切りようでした。

 

7.鮎川小学校:教室ペンキ塗り
プロジェクト結では鮎川小学校から教室リフォームの依頼をコクヨ株式会社と共同で受けており、その一環として震災で傷んだ教室のペンキ塗りを行いました。

9月27日と28日の2日間にわたって行われた2教室のペンキ塗りには、画家である高瀬きぼりお氏(http://www.kiborio.com/)らを招致し、子どもたちもボランティアと一緒になって、教室のペンキ塗りに取り組みました。

 

8.橋浦小学校:狂言ワークショップ
4月22日、橋浦小学校の総合授業のコンテンツとして、狂言師 三宅藤九郎氏(http://www.tokuro.com/index.html)を招致し、ワークショップを開催しました。

三宅藤九郎氏は、出張授業という形式で子どもたち向けの狂言教室を積極的に開催しており、三宅氏の意向と橋浦小学校の需要をプロジェクト結が結びつける形で今回のワークショップが実現しました。当日は限られた時間ではありましたが、狂言の魅力に触れることでワークショップに参加した6年生の子どもたちは普段とは違う考え方・ふるまい方を学ぶことができたのではないかと考えています。

 

9.石巻市子どもサミット2012
石巻市子どもサミットは、石巻市教育委員会主催、復興庁宮城復興局共催で開催された、石巻市立中学校の中学生と復興やまちづくりに関して意見交換会を行うサミットです。

当日は、石巻市内の20の中学校から生徒会役員ら40名が参加し、石巻市教育委員会が運営した第1部では「より良い学校生活を送るために」をテーマに、いじめ防止や学校生活の改善のため各学校で取り組んでいる事例を共有しました。また、復興庁宮城復興局が運営した第2部では、「未来へのまちづくり・私たちにできること」をテーマに熟議形式でグループワークを行いました。

プロジェクト結は石巻市子どもサミットの協力団体として、当日の議論のファシリテートを担当しました。

復興庁HP:
http://www.reconstruction.go.jp/topics/001207.html

 

10.プロジェクト縫(手芸部)
仮設住宅で定例的に手芸教室を開催しており(プロジェクト縫)、大人・子どもを問わず、とくに女性の皆様が気楽に参加できるレクリエーション機会として好評をいただいております。参加者の皆様が作った作品を販売した売上でイベント時の材料を購入するなど、持続可能な取り組みとなるよう工夫を続けています。

活動の成果

1.  アカデミーキャンプ2012夏
参加者:福島県の子どもたち70人(3期計)

2.  横浜FC福島試合観戦
参加者:福島県の子どもたち約1,000人

3.  大谷地小学校:音楽鑑賞会
参加者:小学校の生徒ならびに近隣で暮らす住民の方々

4.  アスリート派遣(石巻ライノスラグビースクール)
支援対象者:石巻ライノスラグビースクールの子どもたち

5.  子どものまち・いしのまき
イベント参加者:延べ1,000人以上

6.  開北小学校:スポーツ鬼ごっこ
参加者:20人程度

7.  鮎川小学校:教室ペンキ塗り
参加者:ボランティア延べ30人程度、鮎川小学校の子どもたち

8.  橋浦小学校:狂言ワークショップ
参加者:橋浦小学校6年生全員(17人)

9.  石巻市子どもサミット
参加者:石巻市の中学生40人

10.プロジェクト縫(手芸部)
参加者:各会10人程度

寄付者へのメッセージ

このたびは、プロジェクト結コンソーシアムの活動に皆様からの貴重な寄付金を使わせていただいたこと、厚く御礼申し上げます。 プロジェクト結コンソーシアムは、個人・NPO・企業・行政などが、官民や地域の垣根を越えたチームとなって、これからの創造的復興に、参加者それぞれができることやもの(人材・資材・資金・ノウハウ)を提供して活動している団体です。 今回、皆様の寄付金を使わせていただいたことで、我々の力だけではなしえなかったいくつもの支援を実現することができました。しかし、震災からの復興、さらなる発展のためにはまだまだ足りていないものが多くあることを日々実感しております。プロジェクト結では、これからも被災地の復興のために微力ながら尽くしてまいる所存ですので、引き続きのご支援を賜ることができれば幸いでございます。

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