2012年07月30日
岩手県大槌町での児童館施設(大槌子どもセンター)の運営
岩手県大槌町の子どもセンターで放課後の小学生支援を中心の活動を行った。同子どもセンターは町の要請で建設。12年3月末に完成し、4月には町に寄贈をしたが、被災地のため行政の体制が十分でなく、12月まで施設運営をサポートした。
・ 当会は2011年3月末より岩手県大槌町において、被災した子どもたちのために避難所での居場所作り、遊びと心理面・学習面でのサポートを継続的に行ってきた。
・ 土地が狭いうえに町内の50%以上が被災したため、大槌では子どもの遊び場や居場所がなく、引きこもる傾向が強く見られた。当会では大槌町内の幼稚園・保育所と小学校全5校において約900名の保護者を対象にニーズ調査を実施し、児童館的施設が必要だと回答した割合は80%を超えた。
・ ニーズ調査の結果を受け、また町長の要請により当会が町有地に児童館を建設し、2012年4月に「大槌子どもセンター」として正式オープンに至った。
・早期に町教育委員会に管理運営を引き継ぐ予定であったが、行政機能の立ち遅れ等もあり、12月まで支援期間を延長することで運営を軌道に乗せることができた。
・ 「子どもサポート基金」の支援による子どもセンターの活動期間は2012年4月1日から12月30日まで。その後も活動は継続している。
・ 子どもセンターは、月曜日~金曜日の10時~18時まで開所。主に、放課後の学童の居場所として小学生を中心に毎日30人以上が参加している。長期休みの期間も毎日開所している。また乳幼児と母親や地域住民にも利用されているほか、様々な理由で特別な支援を必要としている未成年者の居場所にもなっている。
・ 長期休みの遠足の他、季節やカレンダーに合わせて伝統遊びや調理など月に1-2回のイベントを実施。子どもたちがアイディアを出し、計画から準備、実施に積極的に参加して、チームワークや自立心なども促進している。
・ 子どもセンターの内装には子どもたちの作品を利用している。
・ 専門性と見識、技術の向上のため、スタッフには県内外の児童館施設等への見学や専門家を派遣した研修を行った。
主なイベント:
4月 新学期にあわせ放課後活動を開始。子どもセンターの落成式(4月22日)。移管後の運営について、町との協議を継続。地元出身の保育士、ならびに4名のパート保育者を雇用。
5月 子どもの日、ポケモンイベント、ダンボールハウス作り、フランスのNGOの訪問
6月 アートワークショップ開催
7月 夏休み体制、プール指導、遠野ふるさと村遠足、スタッフ研修など
8月 夏休み体制、流しそうめん大会、夏祭り開催、アートタイル完成
9月 大槌町教育委員会が管理運営を引き継ぐ、パートの保育スタッフが一新、パレスチナの歯科医を迎えたイベント
10月 風船バレー、焼き芋大会、ハロウィンイベント開催、スタッフ研修
11月 ホットケーキ作り、勤労感謝の日プレゼント作り、町の文化祭に参加、紙粘土作品展、スタッフ研修
12月 クリスマス会、スタッフ研修、保育士東京児童館訪問・研修、正月用コマ・凧作り
広報実績(一部):
・ IBC NEWS 2012年4月22日 大槌町に子どもセンター落成 被災地の子ども達に遊びや学びの場を提供
・ 朝日新聞デジタル 2012年4月23日 子どもセンターの完成を祝い 子ども達が七福神の舞を披露
・ 河北新報 2012年4月23日 子どもセンターが岩手・大槌に完成 NPOが町に寄贈
・ 復興計画WATCH 2012年4月23日 NPOが寄贈 大槌に子どもセンター完成
・ 岩手日報 2012年4月23日 大槌子どもセンター完成 完成を祝って踊りを披露する雁舞道七福神メンバーの子ども達
・ ポケモン with YOU 活動ニュース 2012年5月28日 大槌町の子どもセンターをPOKEMON with YOUワゴンで訪問
・ 大槌町広報誌8月号表紙写真「子どもセンターでの流しそうめん」など
・ 子どもセンターの開設により、子どもには安全な居場所、保護者には安心して仕事に望める条件を提供した。
・ 子ども支援を継続することで、大槌町の将来を担う若い世代が地元に根付く条件作りに協力した。保護者との信頼も醸成されている。
・ 子どもセンターは、小学校4校と中学校1校の合同仮設校舎のすぐ横であり、仮設の保健センターも隣にあるので、小学生はもとより乳幼児や親達も日常的にアクセスしやすい。利用を登録している児童数は200人以上。一日平均30人以上が利用。多い時は50人にもなる。
・ 地元出身の保育士とパートを雇用し、地域に密着した活動を推進できた。保護者や地域住民、関係者とも情報交換や良好な関係が形成され、地域での受け入れが進んだ。
・ 子どもセンターの活動を通して異年齢の子どもが集団で遊ぶことは、子ども1人1人が輪の中で体験的に協調性や思いやりを学んでいると思われる。それはコミュニティの強化に繋がっていく。
・ 喧嘩早い、多動など情緒の不安定だった子どもが、安定した遊び場を得て落ち着きを見せてきている。また被災により肉親を失ったなど心理的ストレスが強いと推定される子どもたちも落ち着きを見せてきた。
・ 発達障害など特別な支援を必要とする子どもたち(小学生とは限らない)の居場所にもなっていて、心理サポートの機能を果たしている。
・ 乳幼児と保護者も利用できるために、子育て支援の役割も果たしている。
・ 学校との関係も良好で、開設当初から下校途中にランドセルを背負ったまま来所することを学校が承認し、保護者にも周知してくれた。
・ 支援を継続できたことで、運営が軌道に乗り、教育委員会にスムーズに移管することができた。
・ マンスリーイベントや特別イベントは、アイディア、計画など子ども参加型のイベントにできた。
・ 研修の一環として遠野市児童館、釜石市児童館、ならびに東京都内の児童館を複数回見学し、知見を広め、また交流ができた。
・ 隣接する釜石の児童館のベテラン指導員による初任者研修を実施。
・東京から心理の専門家を複数回派遣し、同センタースタッフの他、町の他の施設の職員も対象にした研修を実施。発達障害を持つ子どもたちに対する対応や、保育者の抱える問題などが中心のテーマで、実践的だと好評を得ている。
皆様のご支援により、大槌町における子どもセンターの立ち上げと運営をすることができました。被災地の子どもたちの居場所となり、毎日多くの子どもたちがセンターに来ています。家族や家を失った子どもも多いですが、少しずつ笑顔を取り戻し、元気に遊んだり、学んだりしています。ご支援に心から感謝を申し上げます。
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