2013年11月29日
石巻地域の子どもたちによる情報発信活動|石巻日日こども新聞
石巻日日こども新聞は、石巻地域の子どもたちの取材活動により季刊で新聞を発行する取り組みである。東日本大震災の経験と気づきを、子どもたちの視点から地域の外に発信することにより、記憶の風化を防ぎ、地域の外とのコミュニケーションを図ることで防災意識を強化しながら、1000年に一度と言われる自然災害という経験を子どもたちの生きる力に変えることを目指すものである。 2012年3月11日に発創刊し、以降は季刊で発行。発行部数は5万5千部(第7号実績)。毎週土曜日に表現力を磨くためのワークショップを継続的に行い、平行して子どもたちの興味関心に応じた取材活動を行っている。北海道から九州まで、海外もあわせて150名を超えるサポーターからの応援を受け活動している。
時の経過とともに、東日本大震災被災地からの情報量が減り、記憶の風化が懸念される。来たるべき災害に備えるには、経験者自らがその教訓と復興の過程を発信し続け、「忘れない」ことを呼びかけることが大切である。一方で、被災地の子どもたちを支援したいという関心は、国内外ともに継続的に高い。震災を経験した子どもたち自身が、情報発信するスキルを身につけ表現活動を行うことは、この2つ課題を解決するために非常に有意義であり、情報発信のためのメディアを育てることが求められる。また、この活動により、未曾有の災害を経験した子どもたちが体験を生きる力に変えて未来に向かって歩むことを願うものである。
2013年4月1日〜9月30日、表現力を磨くためのワークショップを合計25回、取材を14回行い、6月11日に第6号(4万部)、9月11日に第7号(5万5千部)を発行した。参加した子どもたちの数はのべ273名。
創刊号から第5号まで、2万部の印刷を継続してきたが、第6号(6月11日発行)は4万部に増刷し、石巻市内の幼稚園〜高等学校の全生徒(約2万人)に配布した。第7号(9月11日発行)では、大阪青年会議所、宮崎県のNPOからそれぞれ5千部の要請があったため、5万5千部に増刷。活動を支援してくださる「こども記者サポーター」も半年間で44名増加した。読者数増加に加えて、読者との交流が生まれ、宮崎県の子どもたちによる県外避難者を取材するワークショップの開催(8月25日・26日、宮崎市にて)、北海道の立命館慶祥中学校2年生とのフォトエッセイ合同プロジェクト(発表は10月)、横浜市都筑区の子どもたちとの交流イベント(12月に開催予定)などが進行している。今回いただいた助成により、毎週土曜日のワークショップに、さまざまな職能を持つ社会人のみなさんにおいでいただき、子どもたちの表現力を磨き、社会参加への好奇心を高めるなどワークショップ内容の充実がはかれた。結果、こども記者たち参加意欲が目に見えて向上し、友人を連れて来るなどして参加者がゆるやかに増加している。また、表現力が多様化し、文字、写真、絵画といった新聞に発表できる表現方法のみならず、紙芝居劇、音楽、ラップ、立体作品のような紙面に収まらないコンテンツも登場してきた。この半年間のコンテンツの増加には目を見張るものがあるため、紙面以外での発表を検討していく。10月17日より、高校生記者・千葉拓人さん(東松島高校3年生)の写真展を開催(於;石巻ニューゼ)しており、地元テレビからの取材を受けるなど好評を博している。
子どもサポート基金のおかげで、この半年間安心して活動することができ、内容が大変充実し次への道筋をつけることができました。心よりお礼を申し上げます。石巻日日こども新聞の第6号・第7号は、おかげさまで、取材活動の幅を拡げただけでなく、発行部数が創刊当初からの2万部から、第6号は4万部、第7号は5万5千部と大幅に増え、多くのサポーターを通して読者にお届けすることができました。この活動の目的は、新聞を作ることだけではなく、東日本大震災をどのように記憶に残し伝えていくかの試行錯誤であると考えています。そのため、次の目標としては、取材ができる子どもたちの数と発行頻度も増やし、地域の内外と紙面を超えてつながることを期待しています。今後とも何卒よろしくご支援くださいますようお願い申し上げます。
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