2023年11月25日
被災地の障がい児と家族の心の支援と居場所の運営
震災後、生活困難に陥った障がい児と家族の交流拠点を運営し、社会の居場所を求める子供達の表現活動を通じた心のケア、心の育成をサポートする。また、被災各地で依頼が続く支援学校や障がい者団体をサポートする。
東日本大震災後、障がい児の心のケアは後手に回り、震災から2年後に保護者からの要請を受けて、障がい児者対象の応援活動を続けてきた。
大船渡、南相馬では、障がい児が気兼ねなく行ける場所、参加できる活動が不足している。
仙台では特別学級、特別支援学校の児童・生徒数は増加しているが、学校と家庭以外に子どもたちの居場所がなく、さまざまな体験機会や交流が制限されている。
■活動回数:10回
■参加人数:37人(54人*保護者含む)
■見学・体験:4組
今期のボーダレスアートクラスが新たにスタートした。継続の子どもたちに新規メンバーを加え、様々な障がいを持つ子どもときょうだい児が集まった。中学生以下のクラスは、一人一人にさらに丁寧に向き合うため、半分の人数にして、クラスの数を倍に増やした。
初回は緊張で不安定な様子も見られたが、コミュニケーションを深めるため大きな共同作品を制作すると、徐々に落ち着きが見られた。
■活動回数:12回
■参加人数:1,186人(南相馬活動50人+アトリエ42人+展覧会1,094人)
■ボランティア:18人
■見学・体験:3人
・コロナの影響で休止されていた南相馬の地域復興イベントが再開し、毎年多くの参加者を集めていた子どものワークショッブースを出店した。悪天により午後から中止となったが、午前中は大賑わいとなり、多くの子どもたちに楽しんでもらうことが出来た。地元の高校生たちもボランティアとして大活躍した。
・ボーダレスアートクラスは布でつくるオブジェのほか、自由な制作に取り組んだ。子どもたちの特性や相性に基づいて、一部クラスのメンバーチェンジを行い、心地よく過ごせるよう配慮した。
・コロナの影響により延期していた子どもたちの作品展は、仙台市の中心にある文化施設での開催により、多くの来場者に鑑賞してもらうことが出来た。会期中は自由に創作が楽しめるアトリエコーナーのほか、屋外でのバスのペイティング体験、パフォーマンスやライブ、トークイベントも行い、障がいの有無を越えて人々が集い、共に楽しめる場となった。
■活動回数:10回
■参加人数:39人(保護者含め51人)
■見学・体験:14人
・ボーダレスアートクラスは海外の絵本作家の作品にインスピレーションを得て、絵画、立体、陶芸と、さまざまな手法で作品制作を行った。3ヶ月目に入り、当初と比較して子どもたちも徐々に落ち着きが見られるようになり、創作に向かう時間も長くなっている。
・子どもの作品が外部から評価され、県外の福祉施設の印刷物のデザインに起用されるなど、作品を通して外とのコミュニケーションが広がっている。
■活動回数:11回
■参加人数:36人(保護者含め51人)
■見学・体験:10人
・ボーダレスアートクラスは、地域の七夕祭りへの参加に向けて、飾りの共同制作を行った。また、美術館で開催されるイベントから出店の声がけがあり、出品のための作品づくりに挑んだ。
・傘や時計など、初めての素材を使った制作に子どもたちは夢中になり、いつも以上の集中力が見られた。
・宮城県立聴覚支援学校のプログラムは、毎年リクエストをいただき継続している。早期支援クラスの幼児と保護者対象のプログラムで、子どもたちの体験機会の提供と、親子コミュニケーションの促進を目的とする。子どもが聞こえないことが分かり、戸惑いや不安を抱える保護者が、アート活動を通して子どもの新たな側面や能力を発見出来る機会になると、学校から期待が寄せられている。
■障がい児と家族のアトリエ:6日/11 回
■障がい児者の日中活動支援:11 日
■参加人数:47人(保護者含め 53 人)
■見学・体験:7人
■ボランティア:5人
・ボーダレスアートクラスは、共同制作した七夕飾りを鑑賞した後、陶芸、絵画、造形と、自由な制作を行った。陶芸熱の高まりを受けて、陶芸工房の新設を準備しており、子どもたちとペンキ塗りも行った。
・障がい児者の日中活動支援も定期的な利用がスタートした。支援学校の先生や生徒の見学や、引きこもりの障がい者の体験なども続いている。
■障がい児と家族のアトリエ/アートプログラム:7 日/11 回
■障がい児者の日中活動支援:9 日
■参加人数:109人
(保護者含め 142 人)
■見学・体験:2人
■ボランティア:9人
・ボーダレスアートクラスのテーマは「色のふしぎ」。海外アーティストの作品や絵本を鑑賞し、色をテーマに作品制作を行った。陶芸工房のペンキ塗りも継続している。
・障がい児者の日中活動支援のほか、支援学校に通う学生と保護者のオンライン見学会、引きこもりの障がい者の体験も行った。
・陸前高田で開催したアートイベントには100名の参加があった。毎年気仙地域の子どもたちを対象に継続している夏のイベントだが、障がいのある子どもと家族の高いニーズがあり、今回は障がい児と家族を対象に絞った。その結果、盛岡、一関、奥州、釜石、大槌など岩手全域と、気仙沼、仙台など宮城からの参加が集まった。コロナの影響によりゲストの来場が叶わなかったが、アンケートを実施したところ、高い満足度があった。
■障がい児と家族のアトリエ/アートプログラム:8日/12 回
■障がい児者の日中活動支援:16日
■参加人数:137人(保護者含め 147 人)
■見学・体験:6人
■ボランティア:13人
・ボーダレスアートクラスのテーマは「糸でぬう」。布を素材に、ペイントしたり縫い付けたり、帽子に仕立てたり、夢中に取り組んだ。
・障がい児者の日中活動支援も定期的な利用が続いている。軽作業とアートの時間を分けて、それぞれの創作に励んでいる。
また、来年度からの利用に向けて、支援学校在校生と保護者、進路指導の先生の訪問も絶え間なく続いている。コロナの影響により、ほぼ3年間支援学校へ登校出来なかった生徒が、社会へ踏み出す一歩として利用を検討しており、今後実習も予定している。
・南相馬で開催したアートワークショップには大勢の家族連れが訪れた。コロナの影響で休止となっていた地域復興イベントで、4年ぶりの出店となった。地元の高校生がボランティアとして活躍したほか、仮設住宅にアートの時間を届けていた時に出会った住民の方との再会もあり「当時はありがとう」と嬉しい言葉をいただいた。
・〈アートパラ深川〉での作品展示、授賞式への出席
大人クラスのスタジオアーティストが公募展で入賞を果たし、授賞式に出席した。作品は深川資料館で展示され、多くの来場者が鑑賞した。
■障がい児と家族のアトリエ/アートプログラム:6日/10 回
■障がい児者の日中活動支援:13日
■参加人数:49人(保護者含め 59 人)
■見学・体験・実習:10人
■ボランティア:3人
・ボーダレスアートクラスのテーマは「カットアウトを楽しむ」。海外の作家の作品を参考に作品を制作。ユニークな作品が生まれた。切り貼りする作業に、普段は多動の子どもが集中して取り組む姿が見られた。
・障がい児者の日中活動支援も定期的な利用が続く。来年度からの利用に向けて、支援学校在校生の実習も始まっている。
・仙台市との連携
市が主催する製品販売会に出店し、作品をデザインに起用したアートグッズを販売した。(会場:ララガーデン長町)多くの来客があり、団体の活動を広く一般に紹介する機会となった。
・他団体との連携
エイブル・アート・ジャパンからの依頼で、塩竈市杉村惇美術館で開催されたアートマーケットに出店した。また、仙台市民交響楽団(トヨタコミュニティコンサート)とエイブルアートの連携事業において、作品展示の依頼があり、子どもクラスに通うアーティストの作品を会場ホワイエに展示し、多くの来場者が鑑賞した。
・らんどくらぶへの施設貸し出し(コロナの影響による公共施設利用中止に伴う貸出協力)
■障がい児と家族のアトリエ/アートプログラム:7日/11回
■障がい児者の日中活動支援:12日
■参加人数:68人(保護者含め 90 人)
■見学・体験・実習:82人
■ボランティア:8人
・ボーダレスアートクラスのテーマは「クリスマスツリーや家をつくる」。
壁面に向かってみんなで大きな絵を描き、クリスマス衣装を制作したほか、陶芸の絵付けなどに取り組んだ。9ケ月が経過し、子ども同士のコミュニケーションも豊かになってきている。
・障がい児者の日中活動支援も続いている。支援学校在校生の実習も終わり、来期から新たな利用者の受入が決定している。
・地域との連携
昨年に続き、荒町小学校の校外学習で4年生3クラスの子どもたちを受け入れた。「障がい」と「アート」の学びの時間となり、子どもたちは興味津々にスタジオ内を見学した。
「障がいのある人たちが笑顔で活動する姿に驚いた、すごいと思った」など、子どもたちから嬉しい感想が寄せられた。
・一年ぶりとなった南相馬での活動は、成長を見守ってきた子どもたちとの再会の機会となった。いじめや登校拒否など、さまざまな問題を抱える子どもと家族が、心置きなく楽しみ交流出来る会となった。地元高校生もボランティアで活躍し、イベントを盛り上げてくれた。
■障がい児と家族のアトリエ/アートプログラム:7日/11回
■障がい児者の日中活動支援:22日
■参加人数:54人(保護者含め 62 人)
■見学・体験・実習:4人
■ボランティア:7人
・ボーダレスアートクラスのテーマは「変身」。衣装づくりや仮面づくりを楽しみながら、陶芸作品も多く制作した。墨を使った新しい作品も生まれている。来期に向けた見学や体験の希望も相次いでいる。
地域からの要望により、3月に開催する陶芸体験のプログラムには、多くの小学生が参加する。
・南相馬での活動
コロナによる自粛で活動が制限されている南相馬で、久々のプログラムが開催出来た。子どもたちの体験機会が狭まる中、ボランティアの高校生と交流しながら、夢中でものづくりを楽しんだ。県外からの移住者や不登校児が増加する中、のびのび楽しむアート体験が求められており、5月に屋外でのアートイベント開催が決定している。
■障がい児と家族のアトリエ/アートプログラム:8日/12回
■障がい児者の日中活動支援:36日
■参加人数:75人(保護者含め 105人)
■見学・体験・実習:6人
■ボランティア:5人
・ボーダレスアートクラスのテーマは「花束を描く」。画集や絵本を参考に、創作に励んだ。その他、自由な創作にも取り組んだ。新しい素材や新しいモチーフから、これまでにない作品も生まれている。学校でのストレスから生活が荒れがちな子どもが、創作により落ち着きを取り戻し、穏やかな表情に変化した。
・地域に向けた活動
陶芸工房の完成を記念して、地域に開かれたワークショップを行った。普段は出来ない創作体験として反響が大きく、子どもたちが夢中に取り組んだ。定員を大幅に上回る申込があり、3月は回数を増やして実施する。
・見本市出店
文部科学省と〈エイブル・アート・ジャパン〉が主催する「第5回 障がいのある人と芸術文化活動に関する大見本市」で、活動紹介や作品紹介を行った。
■障がい児と家族のアトリエ/アートプログラム:8日/10回
■障がい児者の日中活動支援:36日
■参加人数:91人(保護者含め 105人)
■見学・体験・実習:4人
■ボランティア:25人
・ボーダレスアートクラスのテーマは「コラージュで遊ぶ」。いつもと違う子どもたちの新たな創造性が発見出来た作品づくりとなった。
一年間のプログラムを通して、新しい表現が生まれたり、表情やコミュニケーションが豊かになったり、それぞれの成長を確認することが出来た。
・地域に向けた活動
子どもたち対象の陶芸ワークショップを行った。定員の6倍の申込があり、回数を増やして実施した。障がいのある子もない子も自然と交わりながら、創造力を存分に発揮して、夢中で創作に取り組んだ。作品は素焼きの後、4月に絵付けを行う。
①(目標)〈障がい児の日中活動支援〉
活動日数140日で利用人数1日あたり10人
➡(結果)活動日数155日で利用人数1日あたり1人
②(目標)〈障がい児と家族のアトリエ〉
年間84回の活動を行い、年間のべ360人が参加している。
➡(結果)年間120回の活動を行い、年間のべ439人が参加した。
③(目標)〈支援学校や障がい児サークル、地域の子ども対象のアートイベント〉
➡(結果)年間5回の開催で、のべ322人が参加している。
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