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子どもサポート基金助成団体レポート

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特定非営利活動法人 エンゼルネット

京都府における避難家庭の被災児童の無償保育 ~子どもを持つ被災者家庭に対する支援~
利用できる保育時間を増やし、通院時、リフレッシュ時の利用に加え、本助成事業の最終目標である避難者の自立(就労)に向けて、保育時間中に地域を知る為に近隣を探索、マザーズジョブカフェ(京都府が行っている子どもを持つ人たち向けのハローワーク)等を訪ねて頂きました。また避難者同士のコミュニティが単なる愚痴をこぼす会にならないよう地域情報、子育て情報、就職情報を提供し相談に応じました。

基本情報

活動期間 2012年10月~2013年3月
活動地域 京都市伏見区  
活動人数 保護者総数31名 子どものべ136名

写真

  • 12月 遠野まごころネットさまのサンタさんたちとクリスマス会を楽しみました。
  • 2月 おすもうさんと遊んで頂きました。
  • 4月 お花見 偶然仙台からの避難者ご家族 と出会い、新たな登録者が増えました。

活動の背景/内容

活動の内容

 

【10月】
第2期後半から無料保育情報が避難者さんに広まり、利用者が急増しました。短期のアルバイトが決まるなど、自立へ向けて一歩前進した避難者の方には、月に24時間以上の無料保育を実施しました。また就労を通じて地域とつながる事への支援ができました。

保育に関しての数は
一時保育登録者数=28名(平成24年4月~平成25年3月31日)
一時保育利用者
10月=18名、11月=20名、12月=27名、1月=12名、2月=30名、3月=29名

半年間で延べ136名の利用がありました。1ヶ月で23名平均の利用です。毎月27日~28日の保育日がありますので、日曜以外はほぼ毎日1名は被災児が登園していたことになります。

【11月】
来年春の認可保育所入所受付時期になり、就労を希望する人や介護をされている避難者さんに申し込みを促しました。しかしながら避難者さんに限ったことではないのですが、先に就労先を決めていないと認可の申し込みはしずらく、また申し込んでも落選の可能性が大きい事から、府のアンケート結果にも出たように、先に保育所を確保してから仕事を探したいという希望の方が殆どでした。この頃からエンゼルネットで平成25年4月以降、働ける分の無料保育をしてもらえないかとの希望が出されるようになりました。

【12月】
遠野まごころネットさまより協同でクリスマス会をしましょうとお誘いがあり、参画させて頂きました。私どもは被災者支援を専門とする団体ではなく、あくまでも日々の保育をどれだけ避難者さんの支援につなげられるかを考え実践しておりますので、派手なクリスマス会は予定しておりませんでしたが、お蔭さまで盛大かつ子ども達全員(通常保育の内部生も含む)が楽しめました。

また伏見大手筋商店街振興組合がエンゼルネットの活動に共感してくださり、年末繁忙期の商店での短期アルバイト情報を探してくださいました。残念ながら商店街内では就労に至りませんでしたが、他所からのお声掛けで短期バイトをした避難者さんがおり、その後の長期雇用へと実を結びました。バイトで帰郷費用ができたと喜んでおられたと同時に、地域とつながる事ができたという大きな成果がありました。

【1月】
12月半ばから1月いっぱいにかけて、殆どの避難者さんが一時帰郷されました。電話やメールではなかなかできない家族会議をされたもようで今後どうしていくか、結論は出なくてもきちんと話し合いを持つ事ができたようです。エンゼルネットからは、夫婦別居の長期戦は望ましくないので、二人一緒に現実を受け止めながらどのように子育てをしていくか考えてきてほしいと提案しました。

【2月】
一時帰郷の後、完全に帰られた方が数人おられました。
短期バイト及び親の介護がある避難者さんについては月に24時間以上の無料保育を行いました。

【3月】
京都府主催の避難者向けイベント「リラックスサロン」に子育て相談のコーナーで参加しました。京都に来てからイライラする事が多くなり、つまらない事で子どもに対して怒りっぽくなったという母親に対し、休む事とさぼる事は違うので少し休むように奨めたり、易学を採り入れて子どもの才能や育て方ワンポイントアドバイスをさせていただき、なかなか好評でした。

リラックスサロンにはまだ弊園の一時保育登録をしていない方も参加しており、その場で登録し、後日無料保育を利用されました。

3月初旬から「もう無料保育は続けてもらえないのか?」との問合せが、私どもだけでなく市民活動センターにもあったと聞き、第4期助成の結果が出るまで私どもにストレスが溜りました。私どもが自己負担で行える保育時間には限りがあり、多くの方に均等にとなると自力では難しいものがあります。うかつに「継続します」とは言えませんでした。

3月中旬に無料保育を継続できるかどうかはまだわからないが、継続の場合、今後は自立(就職)支援を中心に行うと発表しました。

厳しい事を言うようですが、先に保育所さえあれば働きたい人は避難者さんだけではなく一般の待機児童の保護者も同じです。その人たちにまで手を差し伸べられない現状がありますので、避難者であるという理由だけで無料というのは永久的な事ではなく、自立の為の踏み台に過ぎないことをはっきりと申し上げました。

勿論リフレッシュの為に無料保育を利用していただくのは構いませんが、第4期は就労できるだけの時間を無料保育しようと思っているため、単に幼稚園に行かせたいという理由の方が就労せずに無料だからと弊園の長時間長期無料保育を利用するのは少し考え方が違うと思います。就労する保護者とそうでない方の保育時間を区別する事を予定しました。(2種類のチラシを作成します)

エンゼルネットは、ただ単に「無料だから預けるところ」ではなく、「無料期間を利用して避難者さんたちが自立に向けて何かを始めるきっかけをつくるところ」という私どもの考え方がきちんと避難者さんに伝わったのが最大の成果です。

父親も京都に来て失業保険を受給していた方に京都市社会福祉協議会の採用情報をお渡しし、受験して見事に採用されたこと、短期バイトがご縁で、保育の場があるならと本採用になった方が出た事も大きな成果となりました。
エンゼルネットに集う避難者さんは「いつまでも只で利用しようとは思っていない、でも今は働いていないから保育料が払えない、まず無料保育を利用して、将来的には保育料を払える状態になりたい」と言われています。本助成によって、そんな皆さんへのひと押しができている事に深く感謝申し上げます。

<寄付者へのメッセージ>
小さい子を抱えての避難生活は本当に厳しい毎日です。でも周りの私たちが彼らを気の毒に思うだけでは被災者さんが前に進めません。まだ1歳2歳の子を大きくするのは普通でも大変ですので、普通以上に強くなっていただかなければなりません。皆様からの御厚意をエンゼルネットも形でお返しし、避難者さんたちも何か形にする事ができるように支援して参ります。御厚意を下さった皆様も一番喜んでいただけるのは「避難者さんの自立」だと思います。京都で頑張るにしても帰るにしても自立し、人間としてのスキルも上げて、人とのつながりを絶たないようにして頂く為に、時には厳しい事も申しますが、厳しい事を言う分、おひとりおひとりと向き合い、最も身近な「子育て支援」で寄り添って参ります。今後共宜しくお願い申し上げます。この度は本当にありがとうございました。

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