子どもサポート基金 2012年度第3期ほっとスペース

2013年06月24日

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宮城県石巻市における中学生・高校生の居場所づくり

毎週火~金曜11:00~18:00に開室し、家や学校以外の居場所を必要としている中高生の受け入れを行う。来室時には自主学習サポート、相談、遊びなどを行う。休日には料理イベントや地域貢献イベントなど、中高生を主体としたイベントを行う。

基本情報

活動地域
宮城県石巻市
活動人数
約50人

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活動の背景・内容

活動の内容

【活動の背景】
2011年4月より、被災地の子ども向けに学習サポートや居場所支援を行ってきた。その活動中に、子どもたちは震災により心に傷を負い、さらに安心できる居場所をなくしていることが分かった。また、未就学児や小学生向けの心のケアに関する支援はいくつか見かけるが、中高生向けの支援はほとんど無い状態であった。これにより、当活動では、被災地の中高生向けに、安心できる居場所をつくり、そこから日常に戻ってからも主体的に活動していける力を育むこととした。

【活動内容】
①居場所の提供
活動日時:平日(火~金):11:00~19:00、土曜日:10:00~17:00
活動内容:中高生の自主学習サポートや相談相手、遊び相手となる。活動に参加する子どもには、一日の予定と、日記を記入してもらい、主体的に考え行動する習慣をつけてもらう。支援者は1日の子どもの様子を記録し、週1回のケース会議により一人ひとりの子どもの支援計画を立て、それに基づき子どもへの支援を行う。

②調理イベントの開催
 活動日時:毎週土曜日
 活動内容:お菓子作りや、昼食作りなどを実施。子どもたちが自身で企画し、決められた予算をもとに材料の買い出し、レシピの組み立て、調理を行う。

③子ども主体の地域貢献イベントの開催
 活動日時:月1回の日曜日
 活動内容:仮設住宅の集会所へ行き、地域住民のためのカフェイベント(ほっとカフェ)を開催。会場レイアウトや接客方法、メニューなどを子どもたちが決め、当日の接客も子どもたちが行う。
④広報活動
 活動時期:毎月末
 活動内容:石巻市内の中学校・高校、行政機関を中心に訪問し、ほっとスペースのチラシを配布、活動を認知していただく

⑤専門家によるスーパーバイズ
 活動時期:月1回
 活動内容:臨床心理士等の専門家を定期的に呼び、居場所に来ている子どもの精神的なケア、相談業務及び、スタッフ、サポーターへの研修を行う。
⑥学校訪問、家庭訪問、関係機関訪問

 活動時期:随時、必要に応じて
 活動内容:居場所内の支援だけでなく、あらゆる社会資源へ多面的にアプローチすることで、効果的に子どもの学校復帰・社会復帰を促す。

活動の成果

①居場所の提供
【活動の成果】(述べ人数)10月:41人、11月45:人、12月:21人、1月:12人、2月:14人、3月:8人、4月:0人
【意見・感想】
・昨年度まで中学生だったメンバーが高校生になり、学校にも慣れてきたが、その中でうまくいかないこと・悩みなどをほっとスペースに来て話をする中で考えを整理している姿が見られた。また不登校の子どもたちの来所も増え、少しずつだが定期的にほっとスペースへ通うことができるようになり、生活のバランスが整ってきている様子が見られた。(サポーターより)
・ほっとスペースに来ることがきっかけになって、学校へ行くことになったと思います。(ほっとスペース利用者・中2・女)
・勉強の仕方とか、すごく分かりやすい。少しずつ出来るようになってるんじゃないかな?(ほっとスペース利用者・中2・女)

②調理イベントの実施
【活動の成果】調理イベント:計9回開催
【意見・感想】
・中学生や高校生の中には、家でも調理をよくしていたり手伝いをしている経験を活かし、調理や買い出しのときにリーダーシップを発揮する場面などが見られ、すごく輝いている姿が見られた。会話や普段の活動の中では自尊心が低い発言などが見える子でも、そういった強みを活かす一面が見られたことは、その子にとっても成長につながる良いきっかけになったと思われる。(スタッフより)
・昼食は自腹なんで、お昼をつくって食べることはすごく賛成です!(ほっとスペース利用者・中2・女)
・やっぱり、みんなでつくって食べるとすごく美味しいですね!(ほっとスペース利用者・中2・女)

③子どもたちによる地域貢献活動イベントの実施
【活動の成果】11/25開催:中高生3人、地域住民約20人 12/16開催:中高生2人、地域住民約15人 
2/24開催:中高生3人、地域住民約15人 3/24開催:中高生2人、地域住民約10人
【意見・感想】
・2011年より開催しているイベントのため、中高生メンバーも手慣れてきて、率先して準備や片付けなどを行う姿が見られた。地域住民の方からも「いつも楽しみにしてるよ~」「去年は他の団体さんとかたくさんいたけど、今ではほとんど(こういったイベントが)ない」という言葉があり、それを聞いた中高生自身の達成感や成長につながったと実感出来た。(スタッフより)

④広報活動
【活動の成果】11/9、12/7、1/11、2/1、4/10に市内の中学校6校へ訪問し、パンフレット等を配布する。
【意見・感想】
・各中学校へ訪問した際には、どの学校からも「こういった活動は大事ですよね」と共感をいただける。中には「実はこの学校にも不登校の子がおりまして・・・」と相談を受ける学校もある。今後の活動に向けて、学校と連携していく上での信頼関係やネットワークを、定期的に訪問することで構築できたのではないかと思われる。(スタッフより)

⑤専門家によるスーパーバイズ
【活動の成果】2012年11月~2013年4月までの間で数回スーパーバイズを受ける。
【意見・感想】
・普段の活動の中での課題や疑問に対し、整理し、アドバイスを受け、対応や知識を得ることにより、スタッフ自身のモチベーション維持にもつながった。また子どもたちにとっても、スタッフがスーパーバイズを受けた後の行動によって少しずつ変化や成長が見られた。(スタッフより)

⑥学校訪問、家庭問、関係機関訪問
【活動の成果】11/9、12/7、1/11、2/1、4/10に市内の中学校6校へ訪問。11/20市民相談センターとの会議、11/29スクールカウンセラーとの会議。
【意見・感想】
・不登校の中学生1名が、関係機関より紹介を受ける。他、中学生1名は、学校から渡されたほっとスペースのパンフよりほっとスペースにつながる。学校訪問や関係機関訪問を行うことで、徐々にほっとスペースの知名度や意義が伝わり、保護者や支援を必要としている子どもたちに伝わっていると実感できた。(スタッフより)

 

【寄付者へのメッセージ】
震災から時間が経ち、壊れた建物は取り壊されたり道路が修理されたりと、街の復興は進められていますが、震災により傷を負った人々の心の復興には、とても長い時間がかかります。また、震災以前から抱えていた子どもたちの課題が、生活が元に戻ることによって再び浮上してきて、さらに問題が多様化している場合もあります。ほっとスペースは震災後より子どもたちの居場所づくりを行ってきましたが、今後も長期的に子どもたちに寄り添い、より専門性の高い支援を提供し、子どもたちにとっての居場所となり続けたいと思います。子どもたちを支えるためのご支援をいただき、本当にありがとうございます。今後も長期的なご支援をいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

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