子どもサポート基金 2012年度第3期一般社団法人プロジェクト結(ゆい)コンソーシアム

2013年06月24日

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東日本大震災で被災した子どもの学びと遊びを、非日常の場づくりを通じて支援する活動

被災地の学び・遊びに対するニーズと、賛同企業/団体/個人が持つプログラムやノウハウをマッチングし、日常ではなかなか経験できない非日常的な学び・遊びの機会を提供し、被災地の子供たちの成長を支援します。第3期では以下を実施しました。 1.アカデミーキャンプ2013冬 2.職業講話  桃生中、北上中 3.西山淳哉ラグビー教室  4.石巻復興ソフトテニス大会 5.手芸部  (プロジェクト縫)

基本情報

写真

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    アカデミーキャンプ
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    西山淳哉ラグビー教室
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    石巻復興ソフトテニス大会
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    職業講話  桃生中、北上中

活動の背景・内容

活動の内容

①.アカデミーキャンプ2013冬
アカデミーキャンプは、東日本大震災や原子力発電所事故などにより、屋外で心おきなく遊ぶ機会を少なくしている福島県の子どもたちを対象に、「遊びと学び」に焦点をあてたプログラムです。「福島の子どもたちとその家族に笑顔を」という思いを出発点とし、様々な企業・団体の協力・ご支援によって実現しています。

2011年8月から合計7回開催してきた、福島の小・中学生を対象とした保養プログラム「アカデミーキャンプ」を2月9~11日に実施し、45名の子どもたちと15人の学生・社会人ボランティアが集まりました。

②.職業講話 
現役の職業人から「職業」に関する話を聞くことで、生徒の職業や進路に対する関心や理解を深めることを目的として開催されたもの。プロジェクト結は、昨年に引き続き桃生中学校・北上中学校からの依頼を受け、それぞれ講師の手配と交通(必要に応じて宿泊)のアレンジメントとプログラムのコーディネートを行いました。このキャリア教育セミナーは、校長先生が生徒に「もっと社会のことを知ってもらいたい」「社会の中で役割を果たせる人間になって欲しい」という思いから3年前から始めた特別授業です。このセミナーの後に、生徒の発達段階にあわせて、1年生は職業調べ、2年生は職業体験、3年生は進路決定を行っていきます。

講師はプロボノ集団であることの強みを活かして外資系コンサル、キャビンアテンダント、起業家、外務官僚、NPO主催者など、多士済々をアレンジ。子どもたちの興味・選択肢の幅を広げると同時に、学校関係者と参加講師達が職業講話参加を通じて被災地で過ごす時間を共有することで生まれる新しい関係性にも期待し、その試みは生徒ならびに参加講師の感想コメントからも一定の成功を見たと考えております。

③.アスリート派遣(石巻ライノスラグビースクール)
IBMラグビー部プロ契約選手である西山淳哉氏が、月に1回、石巻ライノスラグビースクールを訪問し、子どもたちの臨時コーチとしてラグビーを教えるプロジェクトを支援しました。

西山氏は、震災直後の5月から毎月必ず同スクールを訪問しており、最低3年、目標10年のプロジェクト継続を目指して現在も活動中です。プロラグビー選手によるコーチングが練習の活性化に繋がることはもちろんですが、西山氏の活動においては、「継続」に対するコミットメントがとくに重要になっています。「このコーチは、必ず、また来てくれる」そういう安心感・信頼感が、子どもたちとの間で「その場限りではない」深い関係性を構築し、結果的に人と人との関わりを通じて子どもたちが成長していくことを力強く後押ししています。

④.テニス講習会・大会
震災後、校舎が使えなくなり、他の学校を間借りしている学校が増え、それに伴ってテニスコートが使えなくなっている中学校も少なくはない。また、市内のソフトテニスコートのほとんどに、仮設住宅が建っており、中総体などのソフトテニス大会も、石巻市内で行えない状況がある。

講習会は女子向けと男子向けで2日間実施し、男女共に約150人、合計で約300人の中学生が参加し、日本代表レベルの選手の指導と、全国大会レベルの大学生に習うことができた。

3月の大会には、石巻市内で唯一使用できるソフトテニスコートを借り、男子と女子に分けて2日間実施した。石巻市と東松島市の全中学校が参加し、団体トーナメント戦を行った。

⑤.手芸部  (不定期)  
仮設住宅の集会所で開催している、放課後の遊びと学びの場「みんなの場」に、大人も気軽に遊びに来てもらえるよう、手芸素材を持って行ったのがきっかけです。大人も子どもも、その場にある素材で工夫して作ったり、お互いに見せあったり、教え合ったりする和気あいあいとした雰囲気が好評です。

平日午後の「みんなの場」と、1,2ヶ月に一度、土日にも手芸をメインにしたイベントを行っています。これまで8ヵ所の集会所と小学校2校で開催しました。内容は羊毛フェルト、布雑貨、牛乳パックの椅子などや、地元の方に藁と飾る田んぼを提供していただき、かかし作りもしました。

参加者の多くは中高年女性で、普段遊びに来ている子どもたちや小さなお子さんを連れたお母さん、男性もいます。人数は集会所の規模にもよりますが2人~100名くらいです。毎回、初めて参加される方や転入したての方、別の仮設住宅から自転車で参加された方などもいらっしゃり、交流の場にもなっています。

手を動かしながらおしゃべりする中で、時々子どもたちの話題になることもあり、集会所で思い切り体を動かして遊ぶ姿に、近隣への音が気になる仮設で暮らす不憫さを語る方もいらっしゃいました。

最近参加者から耳にするのは、「だんだん集会所で手芸や料理などの催しが少なくなり寂しい」という声です。その他「部屋にこもっていると暗くなるので、集会所に来て誰かと会うだけでもいい(ほっとする)」「様々な素材の色や質感に触れるのが嬉しい」「決まったものを作るのではなく自由に作るのが楽しい」「買ってくるより、工夫して好きなものを作って飾れるのがいい」などの感想があります。

活動の成果

①.アカデミーキャンプ2013冬
今回の舞台は横浜。2012年夏の東京開催に続く“都市型アカデミーキャンプ”。また今までのアカデミーキャンプは、4泊5日もしくは5泊6日で実施して来ましたが、今回は2泊3日のコンパクトな日程になるため、テーマを絞ったプログラム構成としました。

メインプログラムは「横浜デジタルオリエンテーリング」。約150年の歴史を有する伝統的な姿と、みなとみらい地区に代表される新しい文化が共存する街を、参加者が5つのグループに分かれ、オリエンテーリングの要領で探索して行きました。各班は主催者が準備したスマートフォンを持ち歩き、街ナカで発見した様々なことをTwitterで報告し、そのTweetの面白さで点数が加算されていくのが主なゲームの仕組み。

初日にはこのスマートフォンを貸与していただいた日本マイクロソフトからスマートフォンの使い方や、撮影した写真がインターネット上に記録されるクラウドについての説明があったり、最終日はWindows 8のパソコンを使ったプレゼンテーションづくりにも挑戦しました。

オリエンテーリングを通じて子どもたちのデジタルリテラシーを高めるとともに、横浜で養った“街を見る目”を今度は地元の福島・郡山に戻ったときに活用してもらい、未来の街づくりを考える一助になれることを期待しています。

②.職業講話 
講師はプロボノ集団であることの強みを活かして外資系コンサル、キャビンアテンダント、起業家、外務官僚、NPO主催者など、多士済々をアレンジ。子どもたちの興味・選択肢の幅を広げると同時に、学校関係者と参加講師達が職業講話参加を通じて被災地で過ごす時間を共有することで生まれる新しい関係性にも期待し、その試みは生徒ならびに参加講師の感想コメントからも一定の成功を見たと考えております。

今年度も再々度のアレンジメント要望をすでにいただいており、当団体ならではの強みを生かして学校運営サポートに継続関与する成功例となっています。
※学校長ならびに学生より、感謝状・感想文を受領

③.アスリート派遣(石巻ライノスラグビースクール)
石巻ライノスラグビースクールに所属する50名弱の小、中学生を対象に、ラグビーのスキルの向上と、関東圏内のラグビースクールとの交流を目的とし、石巻が孤立せず、忘れ去られないために、ラグビーという1スポーツのカテゴリーをハブとして、多方面に活動を発信して行くことを継続中。

2012年8月には、石巻ライノスラグビースクールを、千葉県松戸市の松戸ラグビースクールに招待し、1泊2日の交流会合宿を実施。陸上自衛隊松戸駐屯地の協力を得て、自衛隊施設に宿泊、松戸市長本郷谷氏が表敬訪問、松戸市商工会議所のゲストとして、松戸花火大会に招待。

この第一回交流会を経て、2013年、6月2日に石巻ライノスが松戸ラグビースクールを招待し、第二回交流会を石巻にて実施予定。当日は、大学ラグビーの名門の対決、早慶戦を予定しており、その前座試合として石巻ライノス、松戸ラグビースクール両チームの子供達がグラウンドを走り回る。

※以下、西山氏コメント
「子供達のあこがれの存在である、大学ラグビーの選手達の前で試合を出来るという夢の舞台を創る事が出来たこと、そして定期的、継続的に通い続ける私が縁のある、石巻と松戸の両チームの交流が始まったこと。今後、石巻ライノスの子供達が高校、大学と進学し、ラグビーを続けるとき、両チームの子供達がどこかで同じチームメイトになる日が来るかもしれないという近い未来の可能性を期待しています。そして、2019年ラグビーW杯日本開催に彼らの中から日本代表選手が選出されるのを「夢」として継続的に活動して行こうと心に決めています。」

④.テニス講習会・大会
部活そのものの継続が難しく、休部を選択する中学校も出てきている中、子ども達のモチベーションが下がってくるのをサポートしたり、震災後テニスの試合に参加できる機会が減ったことに対してひとつでも機会を増やす意味も込めて、石巻市内の全中学校が参加できる大会を去年から始めた。

また、その大会に向けて2月に、ヨネックスの講師(無償)と東北福祉大学のソフトテニス部の学生によるテニス講習を実施した。

大会は年度末という時期であるため、部員にとっても1年の最後の試合となり、来年度に向けて頑張るきっかけともなる試合として位置づけている。

課題としては、顧問の先生方にもっと運営に関わって頂けると、より良い試合となると考える。来年度も実施できるように動いていきたい。
 

⑤.手芸部  (不定期)   
参加者の多くは中高年女性で、普段遊びに来ている子どもたちや小さなお子さんを連れたお母さん、男性もいます。人数は集会所の規模にもよりますが2人~100名くらいです。毎回、初めて参加される方や転入したての方、別の仮設住宅から自転車で参加された方などもいらっしゃり、交流の場にもなっています。

手を動かしながらおしゃべりする中で、時々子どもたちの話題になることもあり、集会所で思い切り体を動かして遊ぶ姿に、近隣への音が気になる仮設で暮らす不憫さを語る方もいらっしゃいました。

最近参加者から耳にするのは、「だんだん集会所で手芸や料理などの催しが少なくなり寂しい」という声です。その他「部屋にこもっていると暗くなるので、集会所に来て誰かと会うだけでもいい(ほっとする)」「様々な素材の色や質感に触れるのが嬉しい」「決まったものを作るのではなく自由に作るのが楽しい」「買ってくるより、工夫して好きなものを作って飾れるのがいい」などの感想があります。

 

【寄附者へのメッセージ】
これまで、継続的に当方プロジェクト結コンソーシアムの活動に皆様からの貴重な寄付金を使わせていただいたこと、厚く御礼申し上げます。わたくしどもの力・資金力だけではなしえなかった取り組みが、今回も有意義に実施できたものと心より感謝しております。

わたくしどもプロジェクト結コンソーシアムは、個人・NPO・企業・行政などが、官民や地域の垣根を越えたチームとなって、これからの創造的復興に、参加者それぞれができることやもの(人材・資材・資金・ノウハウ)を提供して活動している団体です。

震災から2年2ヶ月。東京に住む「非被災者」として「支援活動」を続けています。今の石巻の子ども達(特に被災した20の小中学校の生徒達)の生活は、2011年の11月(仮設住宅への入居がほぼ終わったあたり)からあまり変わっていないな、という印象です。

もちろん「がれき」は片付いてきたし、被災した住宅の撤去も進んでいます。被災した学校も仮設校舎での学校生活を送っています。でも、「本当にこれでいいのかな」と思います。プレハブの家、プレハブの校舎。安全に遊べない場所、疲弊する大人、傷ついた心を持て余す時間。本当にこれでいいのかな、と思います。

震災からの復興、さらなる発展のためにはまだまだ足りていないものが多くあることを日々実感しております。プロジェクト結では、これからも被災地の復興のために微力ながら尽くしてまいる所存ですので、引き続きのご支援を賜ることができれば幸いでございます。

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