2013年12月11日
「ビヨンドトゥモロー 米国サマープログラム2013」 東北被災地の学生のための米国でのリーダーシッププログラム
2013年8月に米国にて開催された「ビヨンドトゥモロー 夏季グローバル研修 米国プログラム2013」の事前研修を、2泊3日の合宿形式で開催。岩手県・宮城県・福島県出身で東日本大震災を乗り越え、東北復興および日本・世界の未来を牽引すべく主体的な役割を果たすことを志す学生を選抜し、米国研修をの意義を高めるべく、米国の時事問題や自分たちが米国に伝えたい東北の姿について議論し、プレゼンテーションの形にまとめた。
東日本大震災から約2年以上が経ち、緊急支援のフェーズを経て、中長期的な観点から復興を考えていく必要がある。東北が本当の意味で復興するためには、震災前の姿に戻すのではなく、ゼロから東北を『造る』ことが求められる。継続的且つスピード感を持って復興が進められていくためには、広い視野を持って、中長期的に東北のまちづくりを牽引するような若い人材の育成が急務である。このようなコンテクストにおいて、米国リーダーシップについて東北の若者が学ぶ機会を提供することは、東北の復興を促進する上で大きな意義がある。
この重要性を鑑み、2013年8月に米国において『ビヨンドトゥモロー 米国サマープログラム2013~アメリカで学ぶ、社会変革(ソーシャル・チェンジメーカー)~』を開催し、被災地の学生たちが米国2都市を巡り、フィールドワークやリーダーとの対話を通して、米国の社会変革におけるリーダーシップを学ぶ機会を提供した。※1
当財団では、前年度である2012年夏に『TOMODACHIサマー2012ビヨンドトゥモロー米国プログラム』を実施し、その経験から、海外経験の少ない東北の高校生が米国での短期プログラムから多くを学ぶためには、事前研修における入念な準備が重要な役割を果たすということが明らかになった。
よって、『ビヨンドトゥモロー 米国サマープログラム2013~アメリカで学ぶ、社会変革(ソーシャル・チェンジメーカー)~』は下記の通り、海外研修の前に事前研修(3日)を開催した。
① 事前研修(7月13日~15日)
東北発のリーダー候補として渡米し、東北復興に活かす事例を学ぶことの意義を問い、アメリカで学ぶ事柄に関する基礎知識を体得し、また、基本的なコミュニケーションスキルを学ぶ。
② 米国研修(8月の2週間)
サンフランシスコ・ニューヨークを訪問し、米国における社会変革の事例およびその過程でリーダーたちが果たした役割について学ぶ。※2
本助成においては、①の事前研修を助成対象とし、申請した。①の開催は、②の米国での学びを単なる一過性のものに終わらせず、参加学生の中長期的なキャリアに立って意味のある学びの機会とするための準備を、学生たち自らが行うことゴールにし、3日間の事前研修を通し、下記3つの目標の達成を狙った。
① 米国に行くことの意義を問い、東北発のリーダー候補としての自覚を高める
参加生徒は、東北被災地出身の彼ら自身が米国に行き、社会変革やリーダーシップについて学ぶことが、東北復興や社会問題の解決においてどのような意味を持つのかを考える。
② 課題の整理・基礎知識の習得
米国プログラムでの学びをより深めるために、参加生徒は東北復興の課題を整理し、米国の社会変革事例や時事問題について学ぶことで、米国の社会変革のどのようなことが東北復興へのヒントになり得るか検討する。
③ 米国に伝えたい東北の姿を考える
米国において参加生徒は、東日本大震災やその後の復興、そして米国に対する感謝の気持ちを伝える役割を担う。米国で何を伝えるべきなのか、本事前研修でディスカッションし、英語でプレゼンテーションを作成する。
※1プログラムのテーマは申請段階では「建国とリーダーシップ」であったが、「アメリカで学ぶ、社会変革(ソーシャル・チェンジメーカー)」に変更となった。東北被災地の学生がリーダーシップを学ぶ上では、米国の過去の歴史における建国よりも、現時点で起きている社会変革のほうがより意義のある学びになるであろうという考えの下にテーマを変更した。
【対象者】
東日本大震災(2011年3月11日)の時点で、岩手・宮城・福島のいずれかの県に居住していた高校生及び大学生12名※2。書類選考によりリーダーシップポテンシャルを評価し対象者を選抜。被災度の高い生徒は優先的に配慮した。
【アプローチ】
既述のプログラム期間中の目標3点を達成するために、本プログラムは下記3点のアプローチを採用した。
① 米国事情の専門家との対話型セッション:
米国の特徴や、時事問題、社会変革事例、日米関係などについて、専門家とインタラクティブなセッションを行い、米国プログラムに必要な予備知識や思考力を養う。
② ディスカッション
東北復興の課題、米国で学びたいこと、米国を訪問する意義、米国で伝えたい東北の姿などについてのディスカッションをする。
③ 発信
①、②で学び議論したことを学生たち自らが取りまとめ、英語で発表し、ウェブサイトを通して発信する。
【プログラム内容】
7月13日(土) |
オリエンテーション ワークショップ① 昨年のリフレクション・海外研修の概要・今年にむけた決意・チームチャーターの作成 ワークショップ② 東北アンバサダーとして伝えたい東北の姿 ワークショップ③ 英語ワークショップ (杉山大輔 株式会社インターリテラシー代表取締役社長) |
7月14日(日) |
レクチャー① 世界への挑戦(スピーカー: 山崎直子 宇宙飛行士) レクチャー② アメリカにおける社会変革(スピーカー:茅野みつる 伊藤忠商事執行役員) ワークショップ① 海外研修テーマ&派遣先オリエンテーション ワークショップ② 海外研修での学びを、東北にどう活かすか プレゼンテーション練習 |
7月15日(月) |
プレゼンテーション準備 クロージングプログラム(プレゼンテーション) フェアウエルランチ |
【事前課題】
参加学生たちは、事前研修参加の前に、下記の課題に取り組みました。
今回の研修で達成したいことや実現したいこと、自分だからこそできることを300字で記述
「社会変革」のテーマに沿った本や記事を読み、その学びをもとに当日ディスカッション
英語による自己紹介原稿および東北アンバサダーとして伝えたい内容の作成 |
当初設定した、活動の目標の達成評価は下記の通り。
① 米国に行くことの意義を問い、東北発のリーダー候補としての自覚を高める
12名の参加者は、チーム毎に「チームチャーター」を作成し、東北被災地を代表して、米国研修において達成したい目標を明確化した。
② 課題の整理・基礎知識の習得
参加学生たちは2つのチームに分かれ、「米国で何を学ぶか」を整理し、最終日のクロージングプログラムにて発表した。1つのチームは、東北で仮設商店街が活性化していない現状を取り上げ、米国での社会事例を学ぶことで、東北の産業を活性化させるヒントを学びたいと考えた。もう一方のチームは、シリコンバレーやニューヨークの両都市がダイナミックなビジネスを惹きつけていることに注目し、いかに東北の都市をビジネスにとって魅力的なものにできるかを学ぶという課題設定を行った。
③ 米国に伝えたい東北の姿を考える
学生たちは、研修中のワークショップを通して、自己紹介や東北復興で何を成し遂げたいかを英語で表現できるようになり、また、米国の人々に知ってもらいたい現在の東北の状況を英語でプレゼンテーションにまとめ、チームで発表する準備を行った(本プレゼンテーションは、実際に米国訪問の際に使用し、多くのアメリカの人々の前で発表した)。
貴財団からのご支援のおかげで、ビヨンドトゥモローにとって第二回目の開催となる米国サマープログラムを成功裏に終了することができました。海外研修を単なる旅行に終わらせることなく、リーダーとなるための意義ある研修プログラムとするためには、事前研修は不可欠です。目的意識を定め、英語での発信準備を行い、また、チームが一丸となることで、その後の米国での海外研修がより大きな意義あるものになったことは疑いようがありません。関係者の皆様のご支援に心より感謝すると共に、今後ともぜひご指導・ご協力のほどお願いいたします。
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