2013年12月12日
被災地の子供たちに楽しいお芝居を届けよう!
全身と言葉を使った呼びかけは、本県沿岸や内陸の子供たちには新鮮な興奮であり、明 日への活力になる。23、24年度に訪問して絆を深め、再会を約束した陸前高田市、久慈 市、山田町で25年度も公演する。これが円滑に実現できるため、公演先の選定と調整、交 通、宿所の手配と援助などを行い、公演者と被災地の支援をするものである。
岩手県沿岸の被災地は、地域によって被害の軽重はあるものの、文化的催事を行う施設の復興は不十分と感じています。陸前高田市は津波により市街地の大半が破壊されました。山田町は津波には残りましたが、その後の火災により灰燼に帰してしまいました。久慈市は、施設は残ってはおりますが演劇などを催す安定感を取り戻していないように感じています。
こうした中にあっても人々は生きており、子供たちは日々成長しています。
過酷な体験は、子供たちに相応の強靭な精神力を身に着けさせると信じたいのですが、一方で豊かな心の潤いも健全な発達のためには不可欠だろうと思います。
東京在住演劇集団「お芝居デリバリーまりまり」から、被災年度23年の早い時期に、被災地での公演活動を通して子供たちや仮設住宅に住む方々を励ましたいとの意向が寄せられました。この年は私ども胆江ゆめネットワークの仲間は様々な震災対応に追われ、「まりまり」のご好意に甘えざるを得ませんでした。ので、24年度にはボランティアの志はいただくとしても、交通や宿泊については支援できないものかと願い「いきいき岩手支援財団」の単年度限りの助成を得て活動しました。
震災後2年7ケ月が経過した被災地では文化の復興は泥むことが多いように感じております。私たちは25年度も子供たちとの「またきっと会おうね!」の約束を大切にして、継続公演活動訪問を行いました。
貴東日本大震災復興支援財団「子供サポート基金」からの助成金なしではこの活動は継続できなかったと心からの感謝を申し上げます。
子どもたちの心は、言語と体験で作られます。私たちは子育てで、また、これまでの「読み聞かせ活動」を通じてそれを実感してきました。23年・24年度の2年間「お芝居デリバリーまりまり」の3人が、ボランティアとして陸前高田市・釜石市・大槌町・山田町・葛巻町・久慈市などを訪れ、東日本大震災の被災地で暗くしずみがちだった子どもたちに笑顔と明日への気力を与えてくれました。言葉と全身を使った子どもたちへのメッセージは、「桃太郎」や「くつやの小人」のような、誰もが知っている話がさらに新しい世界として表現され、子どもたちには新鮮な興奮であり、辛い体験を忘れる一時であり、元気になるきっかけの一つとなったように思われました。この事業はこうした子どもたちの心を育むことが大きな目的です。
このことは私たちばかりではなく、その場に同席した先生方、父母、仮設住宅の方々からも多く寄せられた感想で、今年度もまた要望のあったところにはできる限りお芝居を届ける努力をしました。
また、被災地沿岸地域にこだわらず、これまでの絆を大切にし、昨年度久慈市を訪問した先の校長先生が定期異動された花巻市の新堀小学校を訪問するなど、被災県である岩手の多くの人々を元気づけることも私たちにできる「復興」へのお手伝いであると考え、今後も継続活動をしていく考えです。
・実施期間 平成25年9月24日(火)~9月30日(月)の間の5日間
・実施地域 沿岸被災地 他 3市2町 (陸前高田市・久慈市・花巻市・山田町・葛巻町)
・参加対象者 岩手県内の保育園・小学校の子供たちや近隣の仮設住宅に住まわれている方々。
・内 容 「被災地の子どもたちに楽しいお芝居を届けよう!」お芝居支援公演活動。
活動日程一覧
月 日 |
午 前 |
午 後 |
備 考 |
9月24日(火) |
花巻市立新堀小学校 |
陸前高田市に移動 →泊 |
|
9月25日(水) |
山田町立船越小学校 |
山田町立大浦小学校→泊 |
*スタッフ6人同行 |
9月26日(木) |
山田町日台きずな保育園 |
葛巻町へ移動 →泊 |
*スタッフ8人同行 |
9月27日(金) |
葛巻町立小屋瀬保育園 葛巻町立小屋瀬小学校 |
久慈市立山形小学校 |
|
9月30日(月) |
陸前高田市立竹駒小学校 |
|
*スタッフ9人同行 |
・公演に係る謝金は、無償のボランティアでお願いし、東京から奥州市までの往復旅費など交通費、宿泊費について支弁しました。(宿泊費については公演地に係るものだけに限定、他は奥州市内のスタッフ宅に泊まっていただきました。)
・スタッフは沿岸被災地まで借り上げマイクロバスで移動。(9月25日・26日・30日の3日間、延べ23人が同行しました。)
3年目になる被災地支援公演活動には幼児・小学生、それに被災地の各小学校に隣接する仮設住宅に住む地域の方々など、400名を超える皆さんにお芝居を届けることができ、みんな一緒に笑顔で楽しい時間を過ごすことができました。
下記はいただいた感謝の手紙です。
1) 葛巻町立小屋瀬小学校(抜粋)
・国語で勉強した「大きなかぶ」がおもしろかったです。顔の表情や声の大きさがよかったです。
また来年も見たいです。(1年女子)
・衣装や道具を使わなくても上手に表現できるんだなということが心に残りました。11月の発表会では大きな口を開けることをまねしたいです。(6年男子)
・とても表情がよくて、表情筋の使い方に興味を持ちました。「三保の松原のはごろも伝説」のお話で
は、本当に羽根が見えたような気がしました。(保護者)
・子供たちと保護者のみなさんは「お芝居デリバリーまりまり」の特別な衣装、舞台を使わずに、表情、声、体の動きだけで表現する形態に驚き、その圧倒的な表現力に感動していました。(校長)
2) 久慈市立山形小学校(学校通信掲載)
・9月27日午後からまりまりのムッシュ、たまちゃん、ともちゃんが、昨年度に引き続き山形小学校にやってきました。胆江ゆめネットワークさんのご厚意による「被災地の子どもに楽しいお芝居を届けよう!」の事業によるものです。
今回の昔話は「桃太郎」「くつやの小人」「さだ六とシロ」「貧乏神と福の神」の4話。
舞台装置も衣装もありませんが、ナレーション、台詞、動きなどから、情景が目の前に広がります。年女子と「くつやの小人」の中の歌とダンスを一緒に踊って楽しみました。10月の学習発表会を前に、いろいろな表現の仕方を学ぶことができました。
3) 山田町立大浦小学校(校長からの便り)
・今年度もまたお芝居デリバリーまりまりの皆さまによる昔話メドレーの公演を実施していただきまして、誠にありがとうございました。子供たちや地域の方々が、この公演を今か今かととても楽しみに待っていました。10月半ばには、本校の学習発表会が行われます。子どもたちは「見せていただいたものを参考に思いきり演技するぞ!!」という決意を新たにし、日々練習に励んでいる次第です。
本当にありがとうございました。
4) 山田町立船越小学校(校長からの便り)
・胆江ゆめネットワークの皆さん、先日は本校の子供たちに楽しいお芝居をみせるためにご尽力くださり、ありがとうございました。子供たちはお芝居に引き込まれて、とても楽しい時間を過ごすことができました。ここ山田にも秋が訪れてきています。「胆江ゆめネットワーク」の皆さんもお体に留意されてお過ごしください。ありがとうございました。
それぞれの訪問先からの感謝の手紙や電話が届き、胆江ゆめネットワーク一同、今年度もこの活動が無事に終わり、またとても充実した時間を過ごせたことに胸をなで下ろしながら、さらに来年度に向けての準備を始めようと話し合っています。3年目になるこの活動では当初1年生だった子が3年生になっていました。その意味はとても大きく、また今回一番驚いたことの一つに、これまでの2年間に上演されたお話をどの子もしっかり覚えていたことでした・・・。
この度は私たち「胆江ゆめネットワーク」の被災地支援活動への助成金をいただき、誠にありがとうございました。おかげさまで3年目の活動になる「被災地の子どもたちに楽しいお芝居を届けよう!」をテーマにしたお芝居支援公演活動が無事に終了いたしました。心より感謝申し上げます。
私たちは岩手県南内陸地域の、地元の乳幼児や学齢期の児童生徒に「読み聞かせ」活動をするボランティア22団体と個人から構成される組織で、「ネットワーク」としての「会費」徴収や、読み聞かせを行った団体からの謝金等は受け取っておりません。一例ですが、ここ3年間奥州市内全中学校の朝読書の時間に依頼され、述べ570人が、述べ17,909人の中学生に読み聞かせを行ってきましたが、全てボランティアとしての活動です。自己資金は個人からのご寄付など長い間の小さな収入によるものです。
「同じ県に住むものとして何かお手伝いがしたい」という会員皆の気持ちを一つにしたこの被災地支援活動の趣旨をもう一度見直し、話し合った結果、今年度は初めて廃品などを持ち寄ったバザーを2回開催し臨時収入を得ることができました。このバザー開催を聞きつけた県内外からの支援の品がたくさん届き、皆で感激しました。今後は助成金だけに頼らずに、自分たちにできることは何でもやってみようと話し合っております。
本当にご支援をありがとうございました。
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