2013年12月12日
保原と横浜の7つの小学校児童の交流活動
伊達市立保原町の小学校5校と横浜市立矢向、新鶴見小学校2校が、交流活動により親睦と友情を深めるようにする。今年度は放射線量の低い会津地区での活動と、線量管理により産業や生活を復興させている伊達市での活動からなる内容で実施する。鶴ヶ城見学や城下町フィールドワーク、そして本来の伊達市でのホームスティや桃狩り体験を再開させた。
交流は13年前から行われ、隔年ごとに互いにホームスティをしてきたが、平成23年度は東日本大震災及び福島第一原発事故の影響により実施を見合わせた。昨年度より再開することができたので、さらにこの交流を発展させ、福島の復興や理解や人材育成を目指して継続していきたい。今年度は横浜の子どもたちに福島で生活している現状や復興の状況を正しく伝え、福島での体験を互いに共有し交流を深めることで、復興への希望を持ち、目標を持って進める子どもの育成を図りたい。
昨年「子どもサポート基金」の支援をいただき、復興へ向けての歩みの一つとして、横浜との交流を再開させた。昨年は横浜で交流したが、今年は保原での交流である。実行委員会ではホームスティ先が広がるよう働きかけをし、参加を募った。実行委員を中心に、各小学校PTA役員の方には、歓迎会、桃狩り、見学時の児童の世話や引率をお願いした。
交流会の様子をリーフレットにして配布している。
8月3日(土)
・歓迎会(保原小にて)・・・学校紹介、グループ(ホームスティ)顔合わせ、自己紹介
・桃狩り(斎藤果樹園へ)
・自宅(ホームステイ先)へ横浜の児童を案内
8月4日(日)
・伊達市役所出発 福島飯坂IC~東北道~磐越道~磐梯河東IC
・会津日新館着 館内見学 弓道体験
・鶴ヶ城会館にて赤ベコ絵付け体験
・鶴ヶ城見学
・飯盛山フィールドワーク
・国立磐梯青少年交流の家着 交流会
8月5日(月)
・お別れ会
・国立磐梯青少年交流の家発 伊達市役所到着
今年度の交流を終えて、子供たちの成長を感じた点をいくつか挙げてみます。
1 交流会初日の歓迎会で、保原の子どもたちは、震災後の学校の様子や現在の様子を、自分の言葉で横浜の子どもたちにきちんと伝えることができた。また、グループの顔合わせでもはっきりと自己紹介をしていた。
2 震災後、桃狩りはおそらく子どもたちも初めてだったのではないかと思うが、桃畑に入り、自分の手で桃をもぎ取り、桃の美味しさを横浜の子どもたちとともに味わった。横浜の子どもたちに喜んでもらえたこともうれしかったようだ。
3 伊達市保原でのホームスティは1泊であったので、自宅で横浜の子どもたちと一緒に過ごす時間は、とても貴重であったようだ。横浜の子どもたちは保原の夜の星の美しさや緑の田んぼに感動している。
あるホストファミリーは「横浜から来た子どもたちとの会話の中で、自分の住んでいる緑豊かな環境の良さを子ども自身再確認できたようだ。」と語っていた。保原のよさを改めて知るきっかけにもなったようである。
4 二日目の会津若松では日新館や鶴ヶ城を見学したり、弓道体験や赤ベコ絵付け体験をしたり、飯盛山フィールドワークを行ったりすることで、歴史や伝統の重みを実感していた。
5 二日目の交流会では、2日間で感じ取った楽しかったことを、みんなの前ではっきりと話すことができた。
6 この3日間の交流は、ホームスティのメンバーをもとにした6人のグループを単位として活動してきた。このことはホームスティのペアだけではなく、他の子どもたちとも親睦と友情を深める事ができたようである。子どもの感想では「昨年よりもいっぱい友達ができたと思います。たぶん国立磐梯青少年交流の家でお泊りをしたから、家に来た人以外とも仲良くなりました。」「横浜の子以外に保原の違う友達の子がいっぱいできてよかったです。」とある。横浜との交流ではあるが、保原の5校の子どもたち同士もこの交流で友情を育んだようである。
7 横浜の引率者の言葉(「7校交流の思い出」の文集)から
『第一日目、到着後に歓迎会がありました。震災後に建築された保原小学校の講堂で行われました。その中で、震災後、外で遊べない、プールにも入れない時期を経て、今は除染も進み、普通に遊べるようになったという保原町の児童の言葉がありました。バスの中から、震災の時間で止まっている時計や取り除いた土を入れた袋が山積みされている様子を見たばかりだったので、その言葉がうれしく、ひとりの日本人としてうれしく感じました。 また、バスで桃の農園に行き大勢で桃狩りをしましたが、農場主の齋藤さんの笑顔も印象的でした。 私には、桃の木も喜んでいるように見えました。
二日目に会津若松市を見学しました。NHK大河ドラマ「八重の桜」の影響もあってか観光客が多く、震災や放射能問題の影響を全く感じませんでした。 ~略~ ここでも、風評被害に負けず、懸命に頑張っている福島の皆さんの様子がありました。やはり、ひとりの日本人としてうれしさを感じました。』
この言葉にあるように、福島の今の現状を伝えることができたと思う。また、この「7校交流の思い出」の文集からも、子どもたちは希望を持って前に進もうというエネルギーをいただいたにちがいない。
8 今年度は中学生1名が参加してくれた。その姿を見て再来年横浜の子を受け入れるときに「中学生なのでボランティアをしたい」という子もでてきた。
また、以前にこの交流会に子どもを参加させた保護者の方に、今回手伝ってしていただいたが、その子が(高校生が)ボランティアとして参加したいそうだ。このように、子どもたち自らの力を今後の交流会に活かしていけるようにしていきたい。
交流会後のアンケートの結果、子どもたちの反応はもちろんだが、保護者の方々からも「親子とも、貴重な経験をさせていただき、大変良い思い出になりました。この事業が今後も継続していけるよう願っています。役員のみなさまのご尽力に感謝いたします。ありがとうございました。」との言葉をいただきました。これは、東日本大震災復興支援財団からの助成がなければできない交流でしたので、感謝の気持ちでいっぱいです。来年度もこの交流を継続していきますので、また、よろしくお願いいたします。
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