2015年01月09日
福島県新地町仮設住宅の子どもたちがつくる《マイタウンマーケット》を地域の文化行事として継承していくための支援活動
新地町小川公園仮設住宅に「手づくりの町」をつくる文化行事《マイタウンマーケット》に2011年5月から取り組む中で、子どもたちは「わたしの町」について等身大の感性で考え表現してきた。仮設住宅から復興住宅への移転がはじまる転換期の2014年度に、現代美術家と地域住民が恊働して子どもの想いを引き出し表現するサポート体制をつくり今後も子どもの創造力を尊重する文化行事として本活動を継承する基盤をつくる。
福島県相馬郡新地町は、被災三県のなかでも復興に向けた町の事業が比較的早く進み、2014年度初め頃からは仮設住宅から新たな住宅へと移転がはじまる移行期にはいった地域である。この福島県相馬郡新地町で2011年5月からはじまった 《マイタウンマーケット》は、現代美術家の北澤潤氏が発案し新地町災害ボランティアセンターの生活支援プログラムとして人が集まる機会を生み、大人と子どもが一緒にイベントを企画実施することで仮設住宅の生活に賑わいを創出してきた。さらに、「一日限定の手づくりの町をつくる」というマイタウンマーケットの独特なテーマに反応して発想された地域の子どもたちのアイディアを元に、地域の大人も一緒になって、カフェ、スーパー、コンサートホール、映画館、博物館、銭湯、プラネタリウム、道場などたくさんの「町のパーツ」を仮設住宅の中に手づくりしてきた。それらは新地町に元からあるものもあれば、なかったものも、また震災によって失われてしまったものもある。それらを身近な素材と簡易的な造作でつくりあげる一日限定の《マイタウンマーケット》は、町の過去、現在、未来を想う気持ちを表現する場となることで、関わる人びとの「心の復興」を促し、恊働作業を通して世代を越えた新しいコミュニティ、「マイタウンマーケット実行委員会」をつくりあげてきた。地域の大人が子どもたちに寄り添い共に「マイタウンマーケット」当日に結実させていく体制を築きながら、仮設住宅の住民だけでなく町内外から人が集まる文化行事として定着していった。
仮設住宅から新たな住宅地への移行期がはじまる2014年度には、マイタウンマーケットの担い手となっている地域の大人たちは新居に関わる動きに追われ、順次仮設住宅から離れていくため現在のコミュニティが離散することが懸念されていた。マイタウンマーケットとそのコミュニティの継続が難しくなる局面でありながらも子どもたちはマイタウンマーケットで自分の力で表現する事の楽しさを知り、続けていきたいと願っていた。町全体の現状としても移転先のコミュニティをどう構築するかという仮設住宅入居当時と同様の課題が再燃している中で、マイタウンマーケットを継続していくための体制を変化させながら子どもたちの思いに応えながら、コミュニティ再建の一助としてマイタウンマーケットの継続的な地域での実施に向けて取り組む必要性があると考えた。
運営の外部支援者がいなくとも運営が持続できる体制づくりをすすめていく必要があると考え、マイタウンマーケットに関心を持つ仮設住宅外に住んでいる地域住民や子どもたちが活動の運営や企画に参加できる体制をつくった。2014年春から活動をはじめ、長らく続く移行期を乗り越えていくための仕組みを構築することを目標としながら、相互の話し合いや外部支援者である北澤潤氏らによる活動サポートのノウハウの伝授を行った。特に、町内の女性たちによる復興活動団体「えみくる」のメンバーにマイタウンマーケット運営のサポートメンバーとして加わってもらいながら、活動の中心となっている仮設住宅の子どもと大人を運営面で支える体制づくりに取りくみ、8月には活動の集大成であり新たな一歩となる仮設住宅で最後の「マイタウンマーケット」を開催することができた。
また、しばらく続く移転期を経ても「新地町の文化行事」として認識され町の自慢となってゆくようPR活動を行い、2014年度グッドデザイン賞とキッズデザイン賞を受賞した。
2014年8月に開催した「第11回マイタウンマーケット」では、これまで活動をつくりあげてきた仮設住宅に住むメンバーと、新たに活動に参加した町内に住むメンバーが協力して300人を超える来場者を迎え本イベントを成功させることができた。8月の開催に向けて共に活動を行ってきた仮設住宅外のメンバーの支えによって、大人は移転の準備で忙しくなる中だが、振り返りの活動など子どもたちとの活動を継続して行うことができている。
また、本年度受賞したグッドデザイン賞とキッズデザイン賞の波及効果によって、地域内でも本活動を継承し続けてゆきたいという想いが強まっている。
皆様の気持ちが寄付となって活動を支えてくださっているのだと思うととても心強く、身の引き締まる思いで緊張感を持って活動に取り組むことが出来ました。寄付者の皆様に支えられ、私たちマイタウンマーケット実行委員会のメンバーは新地町の現状に寄り添った丁寧な活動を展開することができ、これからの新地町をつくる新しい一歩を踏み出すことができました。皆様と共に支援に携わらせていただけたことに深く感謝しています。本当にありがとうございました。
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