活動レポート ~活動実績のご紹介~
子どもサポート基金助成団体レポート
子どもサポート基金の助成先団体の活動レポートをご紹介しています。
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特定非営利活動法人パクト
- 陸前高田市内における子どもの居場所づくり活動『みちくさルーム』の実施
- 市内4地区(広田町、気仙町、矢作町、小友町)における、小学生を対象とした「遊び場」「居場所」づくりの活動。大学生のボランティア協力のもと、遊びや人との交流を通じて、震災の影響による心身のストレスを軽減することを目的とする。
基本情報
活動期間 | 2014年4月~2014年9月 |
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活動地域 | 岩手県陸前高田市 |
支援人数 | のべ619名 |
活動人数 | 常勤スタッフ3名、非常勤スタッフ2名、ボランティアのべ334名 |
連携団体 | 聖心女子大学、神奈川大学、上智大学、岩手大学、東北大学、日本赤十字北海道看護大学 TTT(Through The Tunnel) |
写真
活動の背景/内容
岩手県陸前高田市の子どもたちは、震災により、家族や家、多くの遊び場を失いました。震災から3年以上経った現在も、学校の校庭には仮設住宅が建ったままで立ち退く見通しがたたず、昼休みや放課後、休日に使うことができません。市内に分散した仮設住宅に住んでいる子どもも多く、登下校も徒歩からスクールバスになるなど、限られた時間枠で生活しており、思い切り遊んだり、学校外で友達や人とふれあうことが少なくなり、運動不足やさまざまな体験の機会が奪われています。
道路には復興工事車両が行き交い、浸水区域や危険な場所が多く、多くの保護者も子どもだけで外出することを心配しています。また、低所得で共働きの家庭が多く、親も子どもと向き合う時間が十分にないうえに、震災復興の長期化による様々なストレスを抱えているため、子どもは家族や周囲の大人に心配をかけないように気を遣いながら生活しています。
このような状況の中、子どもたちは無意識のうちに「我慢すること」が増え、子どもらしい当たり前のことができずにいます。時間の経過により、自宅再建できた家庭と未だ仮設住宅で暮らす家庭、保護者の就労状況の変化、地域活動の再開など変化が見られますが、家庭環境による格差が出ています。
上述のような現状から、子どもたちが震災の影響による心身のストレスを和らげ、のびのびと遊べる遊び場、安心して自分らしく過ごせる「居場所」が必要とされています。
・子どもの集まり『みちくさルーム』は、2011年10月に陸前高田市内2地区で開始し、2013年より地域のニーズを受けて4地区で定期実施しています。原則5歳以上の子どもなら誰でも参加できるオープンな場で、土曜日・日曜日の午後の2時間、それぞれ月に2〜4回のペースで活動しています。地域の公民館などの公共施設を使用し、地域ごとに決まった大学にご協力いただき、子どもたちと一緒に様々な遊びや体験活動、自習のサポートなどを行っています。
・ 毎回の活動の内容は、体を動かす遊びや工作など、子どもの年齢や要望、環境によって大学生とともに検討し、様々な取り組みを行いました。ボール遊びや鬼ごっこなどの日常的な遊びや、年齢関係なく安全に遊べるストラック・アウト、屋外で思いきりはしゃぐことができる水鉄砲ゲーム、ペットボトルを利用した工作、絵本の読み聞かせなど、多岐にわたります。子どもの好奇心をかき立て、子どもが主体的に取り組めるよう、遊びの事前準備や、実施時の子どもへのきめ細かなサポートを心がけました。
・ 普段の活動に加え、様々な特別行事を実施しました。5月はより広い環境で体を動かすイベントに参加、7月は地元住民による案内で地域を歩いて自然や文化を知り、子どもが撮影した写真で地図をつくる「おさんぽマップづくり」、9月は遠足行事で屋外のレクリエーション施設にバス引率し、広い自然の中で五感を使いのびのびと遊びました。また、『みちくさルーム』のつながりで、震災前より行われている地域の子どものお祭りに、地元青年部より恊働開催の依頼を受けて、継続参加している協力大学とともに4月より時間をかけて企画し、8月に開催しました。
・ 今期の新たな取り組みとして、7月に臨床心理士によるスタッフ・ボランティア向けの第一回目の研修を実施し、活動の内容や流れ、子どもに接する上でのアドバイスを受けました。ほか、子どものグリーフサポートに関する支援者向け研修にスタッフが参加し、震災による子どものストレスケアの知識を得ながら、活動現場で実践しました。
広報活動にも注力し、毎回の活動の様子を団体ホームページやFacebookで報告するほか、新たにパンフレットを作成・配布しました。また、会員制の「みちくさサポーター制度」を新設し、年会費をいただきながら会員とコミュニケーションする仕組みをつくるなど、現地の情報を広く発信しながら、長期的に活動を継続できるよう努めました。
皆様のあたたかなお気持ちのおかげで、子どもたちがのびのびと「遊ぶ場」、自分らしく過ごせる「居場所」を継続することができ、誠にありがとうございました。復興のスピードよりも早く成長していく子どもたち。「未来」を語られることの多い子どもたちの未来のためには、「今」が重要と感じています。まだまだ変わらない現状の中、震災により失われた「当たり前の日常」の中で、日々小さな体験を重ねて成長していく姿を、今後も長く支えていきたいと考えています。どうか今後とも、東北の子どもたちにお心を寄せていただけますよう、よろしくお願いいたします。