活動の内容
2014年度は、①法律相談・講演等、②被災者支援のための調査研究、③原発事故子ども・被災者支援法に関する情報発信および政策提言の3事業を軸に活動を展開しました。各事業の主な実施内容は以下の通りです。
①法律相談・講演等
被災当事者や支援団体と連携し、法律家による法律相談、講演、学習会を実施しました。
【主な法律相談、講演、学習会等】
■「3a!郡山」と連携した法律相談開催(2014/4/21、5/14、6/24、7/29、8/26、9/16、10/21、11/11、2015/1/20、2/17、3/17)
■SAFLAN議員立法連続学習会⑤「子ども被災者支援法」開催(2014/4/10)
※講師:谷岡郁子さん(前参議院議員。学校法人至学館理事長、至学館・同短期大学学長。)
■原発被災者の住宅確保を求める院内集会(2014/5/14)
※SAFLANの柿崎弁護士がコーディネーターを務めました。
■eシフト セミナー「原発事故子ども・被災者支援法」と「避難の権利」(2014/5/26)
※SAFLANの丹治司法書士が講演しました。
■SAFLAN議員立法連続学習会⑥「過労死等防止対策推進法」開催(2014/8/27)
※講師:寺西笑子さん(「全国過労死を考える家族の会」代表世話人。)
■シンポジウム「専門職による原発事故被災者支援」(2014/11/13)
※SAFLANの丹治司法書士がコーディネーターを、柿崎弁護士がパネリストを務めました。
■「原発事故子ども・被災者支援法-健康調査・住宅支援・保養を動かそう!院内集会&政府交渉」参加(2015/1/29)
■「保養と移住の相談会」ブース参加(2015/2/22)
■「子ども・被災者支援議員連盟総会」参加(2015/3/19)
②被災者支援のための調査研究
福島の子どもたちとその親が現在どのような状況にあり、どのような不安や課題を感じているのかについて、法的な観点から聴き取り調査を行いました。
【主な調査研究】
■研究者、ジャーナリスト、広域支援団体等と連携し、月1回の研究会(※)を持ちながら、原発避難の実態を明らかにするための調査研究を行いました。具体的には、被災時の居住先をもとに原発避難の状況を分類し、各類型について、賠償や公的支援の状況を整理し、避難者に対する聴き取り調査を行いました。また、避難先の支援状況について、全国の都道府県に対して調査を行いました。これらの調査結果を取りまとめたものを、「原発避難白書」として2015年6月に刊行します。
(※研究会開催日:2014/4/16、5/21、6/18、7/16、8/20、9/17、10/15、11/19、12/17、2015/1/21、2/18、3/25)
■上記の調査研究に加えて、原発事故による被災の実態調査のため、栃木県北(那須塩原市、那須町、大田原市)の現地調査を行いました。
③原発事故子ども・被災者支援法に関する情報発信および政策提言
原発事故子ども・被災者支援法および2013年秋に閣議決定された支援法にもとづく基本方針について、意見書の提出をはじめとする情報発信を行いました。また、超党派の国会議員でつくる「原発事故子ども被災者支援法議員連盟」に協力・助言し、健康診断に関する法案作成にも携わりました。
【主な情報発信および政策提言】
■宮城県丸森町筆甫地区ADR集団申立て(271世帯694名)-福島県並賠償を東電が受諾(2014/6/17)
■原発事故子ども・被災者支援法の基本方針改定を求める声明(2014/6/22)
■意見書―震災から4年を迎えて―(2015/3/11)
④関係団体との情報交換
福島原発事故の被災者団体および被災者支援団体と定期的に情報交換を行いました。
⑤SAFLANの活動に関する情報発信
■Twitter、FacebookなどのSNSによる情報発信
■SAFLAN‐TVの配信
活動の成果
宮城県丸森町筆甫地区の住民694人(271世帯)が申立人となった原子力賠償の集団ADR申立てに対し、2014年5月19日、原子力損害賠償紛争解決センターは、請求をほぼ全面的に認める和解案を示しました。6月17日に東京電力が上記の和解案を受け入れる考えを示し、双方が和解案を受諾したことにより、福島県外ではじめて、福島市や郡山市などの自主的避難等対象区域と同基準での賠償が行われることになりました。これについて、申立人は以下のようなコメントを寄せています。
「東電が和解に応じると聞き、大変喜んでいる。放射能は県境を超えているのに、賠償が県境で断ち切られていたことは遺憾だった。自然と共存する生活をしてきたのに、放射能で生きる糧を失った。これまでの被害をやっと分かってもらえたという気持ち。他の県にも苦しんでいる人がいるので、きちんと補償を認めて欲しい。」(50代女性)
「(東電の受諾については)当然のことだと思う。筆甫は、これまでずっと農業をやったり山菜を取って食べて生きていくような場所なのに、事故が起こって、悔しい。微々たるお金で解決できるものではないと本当は思う。東電には、自然を元に戻せないなら、今後も元に戻せるよう努力してほしい。」(池田えり子)
「東電側が賠償を認めたのは大きな一歩。しかし、賠償のほかにも除染の方法や健康調査などさまざまな面で福島県と差がある。国には、そうした面でも県境の壁をなくす政策を求めたい。」(吉沢武志・筆甫地区振興連絡協議会事務局長)
また、SAFLANの会員であり筆甫地区損害賠償弁護団の団長を務めた尾谷恒治弁護士は、「今回の和解は、原発事故の被害が福島県外にも広がっていることを東京電力に認めさせた点において、大きな成果です。今後、放射性物質で汚染されているにもかかわらず東電からの賠償において不当な扱いを受けている福島県県南地域や栃木県県北地域などの地域の賠償についても積極的に取り組んでいきます。」とコメントしました。