2016年08月31日
岩手県内の復興人材育成のための中学校高校大学キャリア教育支援事業
沿岸部・内陸部の中学・高校において「復興」をテーマとしたキャリア教育支援の実施。 地域への愛着や誇り、地域を支える具体的な活動や想い等を中高生大学生が直接大人から聴き考えていく。
震災後、自らの生き方に加えて「復興」などの地域に着目したテーマでのキャリア教育を実施する学校が増えました。中高生が地元を支え心豊かに暮らしている社会人と直接出会い、自らの将来をイメージするきっかけの場を学校の授業の中で創出することで、子どもと大人が学びあい助け合う事が当たり前の社会の実現を目指し取り組みます。
また、環境に左右されないたくましい自分の生き方を持った人材を育成したいと考えます。子どもたちの自己肯定感・相手を尊重する力・地域への愛着、誇り、支えていく力を引き出すことを意識して、プログラムを実施しました。
【未来パスポート】
多様な生き方や価値感を持つ社会人と子ども達が相互に学び合うプログラム。
社会人講師が設置したブースにグループに分かれた児童生徒が訪れ社会人の仕事の内容や学生時代のことなどその方ご自身のお話を伺い、終了後は出会った社会人について感じたことを児童生徒が発表していく流れです。
5月1日 岩手県立盛岡南高等学校/1年生240名対象 大人・学生21名、教員10名参加
7月7日 花巻市立石鳥谷中学校/1年生132名対象 大人・学生25名、教員10名参加
7月8日 花巻市立矢沢中学校/2年生71名対象 大人・学生14名、教員5名参加
9月24日 洋野町立大野中学校全校生徒165名対象 大人・学生24名、教員18名参加
10月21日 岩手県立大東高等学校/1年127名 大人・学生20名、教員15名参加
11月16日 奥州市立水沢中学校/1年生163名対象 大人・学生25名、教員15名参加
12月1日 岩手県立大槌高等学校/1年生79名対象 大人・学生20名、教員10名参加
【かだる】
人と通じ合う楽しさを体感するプログラム。「故郷」をテーマに学生、社会人がグループに分かれた中高生が語り合いました。
10月5日 奥州市立小山中学校/全校生徒218名 大人・学生17名、教員25名参加
3月2日 岩手県立宮古北高等学校/1,2年生37名 大人・学生14名 教員10名参加
【若者応援隊(学生・若者の有償ボランティア)及び未来図書館サポーターの育成】
・県内の大学、若者支援施設へ説明会の案内チラシの設置。
・公共機関へ説明会の案内チラシの設置。
・6月15日 未来図書館サポーター説明会/アイーナ6階 若者8名参加
・6月25日 若者応援隊説明会/アイーナ6階 学生6名参加
・インターン生受け入れ 大学生16名/年間
・育成/若者応援隊、サポーター、インターン生対象に個別オリエンテーションの実施(年間30回)
・座学研修と複数名の人数対象のワークショップの実施 年間10回
・学校現場でのサポート研修(OJT) 9校
【学生・教員・一般向け講座】
12月3日 「模擬未来パスポート」 社会人講師の新規開拓と教員への周知、ボランティア社会人講師同士の交流などを目的に実施し、38名が参加。
3月7日 「おとなのホームルーム」28名が参加。
【ツールの作成】
・募集チラシ、イベント周知チラシなど各種ツール作成
【ホームページでの広報】
実施した内容や成果をホームページのスタッフブログや感想紹介のコーナーに掲載。
プログラムの感想を記入いただく。
中高生の感想:
「何もないと思っていた胆沢町(故郷)を、今日のセンパイ(かだるプログラムでは講師ではなくセンパイと呼びます。)が、豊かな自然とご飯のおいしい素晴らしい場所と褒めてくれ、故郷が誇らしいと感じた。」
ボランティアの大学生:
「沿岸被災地の高校生は、震災があった小学生当事、強烈な震災体験を経て、自分の考えをしっかり持っていた。大学生の自分がいまだ将来に対して漠然としているのは、環境が恵まれていて真剣に考えていなかったからなのかもしれない。」
社会人:
「自分を振り返られる貴重な機会となった。今日であった中学生の幸せを祈る気持ちが芽生えた。」
教員:
「目の前の子ども達の状況が見えづらく、虐待やいじめ、貧困などの現状や保護者の状況、仮設住宅や交通の問題など、教員だけでは解決できないトンネルにはいってしまうような気持ちになることがありますが、こうして外部からの刺激を得られると、子ども達だけでなく、自分達の気持ちも活性化でき、また頑張らなければと感じさせられます。」
大切なお金をご寄付くださって、本当にありがとうございます。
私達は「子どもと大人の学びあいこそが、社会課題解決の鍵となる」信じて活動している団体です。
「震災前から岩手県は自殺も多く、大人達が疲れているように見えるのに、どうやって自分や地域の将来を思い描いたらいいのか」とある高校生に問われました。
私達NPOが考え続けた答えが、そんな時代でも、活き活き生きている大人が沢山いることを直接子ども達に感じてもらうこと。そのためにテレビでも本でもなく、生き方のロールモデルとなるような大人をできるだけ多く子ども達が出会い、学び合うこと。そのことから「未来パスポート」プログラムが生まれました。
一人でも多くの子ども達に自らと地域を考える機会をと学校の授業にこだわって実施していますが、岩手県は土地が広いため、スタッフやボランティア講師、学生の移動費だけでも年間何十万円もの費用が必要です。
効果的なプログラム実施のために、教員との綿密な打ち合わせや現地協力者、ボランティアとの打ち合わせなど、ボランティアでは限界があり、想いと力のあるスタッフの腰をすえた取り組みが重要だと考えています。自立化に向けての課題が山積みの中、ご寄付をいただけたおかげで9校での実施ができました。本当にありがとうございました。
今なお仮設住宅で暮らす中高生もいますし、復興住宅建設に伴う人手不足で、高校に進学しなくても仕事に就ける状況もあることから、子どもたちのキャリアについて新たな課題もあります。
10年後、20年後の復興人材が、自分と地域の将来について、考えるきっかけを数多く持てるように、これからもご支援ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
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