2016年08月13日
陸前高田こども図書館「ちいさいおうち」の運営、発展活動
子どもの読書推進を図るため、こども図書館「ちいさいおうち」を運営、管理をする。図書館活動として本の貸出業務のほか、子どもと本を繋ぐための催し(専門講師によるわらべ唄あそびの講習、保護者や一般の方を対象にした絵本講座など)や、保育所、小・中学校等の訪問(ストーリーテリング、絵本の読み聞かせ等)を行う。
陸前高田市は、市内唯一の図書館が全壊し、5年が経過した現在も尚、子どもたちには充分な読書環境が整っていない。かつ子ども達が安心して過ごせる場所も失われている。
そこで私たちは、教育委員会と協議を重ねた後、一人でも多くの子どもたちの、心の拠り所となる場所を提供しながら、子どもたちが良い本と出会い、物語世界で心を遊ばせ幸福を味わえる時間を重ねて行ってもらえるよう、こども図書館を整備・運営し、活動を行ってきた。それが、子どもたちが自分の未来を信じ、困難を乗り越える力を持てることに繋がると考えているからである。市立図書館が本設置され、館内に心地よい児童室が整備されるまで、陸前高田市の子どもたちの読書環境を守るため活動していく。
①「ちいさいおうち」の開館
開館日数:249日 (4月1日~3月31日)
利用者数:子ども2,198名、一般1977名 〔合計4,175〕
登録者数:子ども294名、一般118名 〔合計412名〕
②「子どもと読書」普及のためのイベント
* 毎月第1、第3土曜日 図書館内でのおはなし会の開催
開催日数:20日(4月~3月)
内 容:参加した子どもたちに合わせたストーリーテリングや絵本の読み聞かせ、
わらべ唄などを行う。
参加人数:子ども44名、大人31名 〔合計75名〕
* ちいさいおうちのたのしい工作教室を3回開催
(1)『ちいさな本をつくろう!』
開催日 : 5月5日(祝日開館)
内 容 :本に関する豆知識やブックトークと「ちいさいおうちオリジナル豆本」づくり
参加人数:子ども3名、大人1名 〔合計4名〕
(2)『立体まんげきょうをつくろう!』
開催日 :7月25日
内 容 :夏休みの工作教室「立体まんげきょう」づくり
参加人数:子ども15名、大人10名 〔合計25名〕
(3)『あんで*あやとり』
開催日 :2月13日
内 容 :かぎ針であやとり用の紐を編み、自分たちの作った紐であやとりをして遊ぶ。
編み物のきっかけを作り、手づくりの楽しさを感じその作品を使いながら
伝承、遊びにふれることを目指した。
参加人数:子ども3名、大人2名 〔合計5名〕
*『夏の夜のおはなし会』を開催
開催日 : 7月31日
内 容 :夜の図書館で、ふしぎな話やこわい話をテーマに、ストーリーテリングや
読み聞かせなどを行う。
参加人数:子ども28名、大人19名 〔合計47名〕
* 絵本についての勉強会を開催
開 催 : 5,6,9,10月
内 容 :「ことば」「かぞく」「絵本の中のどうぶつたち」「実り」などをテーマに年令に
あわせた絵本の紹介や読みくらべをし、絵本への関心をより深める。
参加人数:大人18名
*『うたってあそんでふれあって 楽しいわらべうたあそび』
開催日 :11月7日
内 容 : わらべうたに造詣の深い講師を招き、親子で参加するわらべうたの講座。
言葉のひびきの楽しさや親子の肌と肌のふれあいの大切さを伝える。
参加人数:子ども53名、大人39名 〔合計92名〕
*『ぼくがえらぶ♪わたしがえらぶ♪ちいさいおうちのほん』の開催
開催日 :11月21日
内 容 :「子どもの本専門店・ナルニア国」が開く出張絵本店で、子どもたちが、
ちいさいおうちに置いてほしい本を選び、買い物券を使って“買って”もらう。
あわせて、ナルニア国のベテラン書店員さんによる、おはなし会を行い、
読書推進を図った。
参加人数:子ども45名、大人29名 〔合計74名〕
*『ちいさいおうちクリスマス会』
開催日 :12月20日
内 容 :クリスマスにちなんだ絵本の読み聞かせやストーリーテリング、演奏などを
利用者の子どもたちも演者となり行った。保護者の方たちにも一部の演目や
会場の準備等、協力していただいた。
参加人数:子ども57名、大人44名 〔合計101名〕
③「子どもと読書」の読書推進事業
*陸前高田市内保育園でおはなし会を開催
〔開催:7月 /対象人数30名〕
*子育て支援施設でわらべうた、絵本の読み聞かせ、絵本の紹介
〔開催:4,8月/対象人数:子どもと保護者 延べ20名〕
*陸前高田市立東中学校を訪問し生徒を対象にした子どもの本に関する講話を行う
〔開催:6月/対象人数70名〕
*陸前高田市が行うブックスタート事業、乳幼児健診時の読み聞かせへの参加協力
〔開催:4月~3月、年間29回/対象人数:子どもと保護者850名〕
*陸前高田市が開催する乳幼児学級での絵本の講話
〔開催:6月/対象人数:子どもと保護者40名〕
*市内小学校の見学の受け入れ、ミニおはなし会
〔対象人数:28名〕
*教育委員会主催の土曜学級にて、ブックトークを行った
〔対象人数:5名〕
*陸前高田市立図書館と毎月連携会議を行い、地域情勢や利用者の変化の気づきなどの情報交換を通し、図書館サービスの向上を目指した。
*図書館情報誌を年度初めや長期休みにあわせて市内小学校全児童に配布し、図書館のイベントの案内や図書の紹介を行った。
〔発行時期:5,7,2月/対象人数:各 900名〕
<定量的な成果>
今年度は、貸出者数1,895名(昨年度より7%増)、貸出冊数7,397册(昨年度より13%増)、図書館全体の利用者数4,263名(昨年度より4%増)の利用があり、たくさんの方に利用していただけた。
定期的なおはなし会を20回、子どもと本を繋ぐための催しを11回行った。催しの内容についてよく吟味して企画し、周知方法を工夫したことも効果をあげ、別記の「実施内容」のとおり参加者も多かった。
<活動に対する支援対象者(受援者)からの声等>
借りる本を選んでいると「いい本ばっかりで、えらべないよ!」と嬉しそうに家族に話す子、何度も読んでいる本だけれど「これがいいの」とお気に入りの一冊を胸に抱えて、幸せそうな表情を浮かべる子、スタッフに「これ、いっしょによんで」と絵本を手渡し、読みはじめるとあっという間におはなしの世界に入り込む子、「面白い本ないなぁ」と言っていたのに、スタッフがおすすめの本を紹介していくうちに目の色が変わり「これ借りる!」と貸出カウンターへ駆け出す子、「まだ帰りたくない!もっと居たい!」と言って、時に涙を流しながら家族を引き留める子、「ちいさいおうちは人がやさしいし、面白い本がいっぱいある。‟本の楽園“みたいな場所だ」と言ってくれた子・・・など、どの子も自分の思いのままにちいさいおうちで過ごしていた。
また、催しのご案内をすると、子どもたちが開催を心待ちにしてくれて、申込を始めてすぐに定員がいっぱいになることもあった。催事当日もとても楽しんで参加してくれて、その喜々とした様子に保護者の方々も「あんなに夢中になるとは」と驚くほどだった。
他にも、保護者の方からは「ここに図書館があってよかった」「普通の図書館と違って小さい子どもと来ても安心して過ごせる」「今までどんな本を読ませたらいいか分からなかったけれど、いつも紹介してもらってありがたいです」「ずっとここにいてください!」などのお声をいただいた。
利用する子どもや保護者の方たちからは、子どもたちが心おきなく過ごせる場所があることに、感謝の声をいただいています。楽しい本、心に届く本、知る悦びを叶える本と出会えたと、館内では日々、子どもたちが朗らかに話してくれます。私たちは震災発生の半年後から活動していますが、継続して活動してきたことで子どもたちとの信頼関係が深まり、よりよい図書館活動に結びついていると感じています。あたたかいご支援のおかげで、子どもたちをたくさんの本と繋げられることができました。本当にありがとうございます。
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