活動レポート ~活動実績のご紹介~
子どもサポート基金助成団体レポート
子どもサポート基金の助成先団体の活動レポートをご紹介しています。
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特定非営利活動法人パクト
- 陸前高田市内の子どものための居場所作りの継続実施および子どもと保護者に向けた情報発信を始めとする包括的な支援活動
- 市内4地区での子どもの居場所づくり、『みちくさルーム』の活動を継続実施するとともに、市内の子ども・子育て支援団体とのネットワークづくりを目的とした情報交換会議を定期開催する。その中で得られた情報をもとに、市内の子どもや保護者に向け、遊び場、イベント、子育て支援に関する有益な情報を発信する。
基本情報
活動期間 | 2015年4月~2016年3月 |
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活動地域 | 岩手県陸前高田市 |
支援人数 | 9,417名 |
活動人数 | スタッフ5名、ボランティア271名 |
連携団体 | 神奈川大学 上智大学 学生局 学生センター 聖心女子大学 |
写真
活動の背景/内容
岩手県陸前高田市の子どもたちは、震災により、家族や家、多くの遊び場を失った。震災から5年経過した現在も、学校の校庭には仮設住宅が建ったまま、昼休みや放課後、休日に使うことができず、登下校も徒歩からスクールバスになるなど、限られた時間枠で生活しており、思い切り遊ぶことや学校外で友達や人とふれあうことが少なくなり、運動不足やさまざまな体験の機会が奪われている。
道路には復興工事車両が行き交い、浸水区域や危険な場所が多く、多くの保護者も子どもだけで外出することを不安に感じている。また、低所得で共働きの家庭が多く、親も子どもと向き合う時間が十分にないうえに、震災復興の長期化による様々なストレスを抱えているため、子どもは家族や周囲の大人に心配をかけないように気を遣いながら生活している。
このような状況の中、子どもたちは無意識のうちに「我慢すること」が増え、子どもらしい当たり前のことができずに成長期を過ごしている。時間の経過により、自宅再建できた家庭と未だ仮設住宅で暮らす家庭、保護者の就労状況の変化、地域活動の再開など変化が見られ、家庭環境による格差が生まれている。
「みちくさルーム」では、子どもたちがのびのびと遊び、安心して自分らしく過ごせる居場所を継続的につくることで、震災の影響による子どもたちの心身のストレスを和らげ、健やかに成長できる一助になりたいと考えている。また、子どもたちが普段関わることのない大学生ボランティアと交流しながら、日常では体験できない遊びや工作などを通じ地元に対する良い思い出をつくる中で、生まれ育った地域に愛着を持ち、将来の復興に向け意欲を持つ大人に成長して欲しいと願っている。
⑴ 「みちくさルーム」の実施 【2011年10月より継続】
震災により多くの遊び場、生活環境を失った子どもたちのため、気軽に集える居場所づくりの活動を土曜日・日曜日の午後の2時間、それぞれ月に2〜4回の頻度で地域のコミュニティーセンター、公民館等において、協力大学の学生ボランティアと協働で実施した。活動地区は気仙町、広田町、矢作町、小友町の市内計4ヶ所でのべ1,417名の子どもたちの参加があった。各協力大学はそれぞれの地区の「みちくさルーム」を担当して活動を行い、のべ602名の大学生の参加者があった。
毎回の活動内容は、体を動かす遊びや工作など、子どもの年齢や要望、環境によって大学生とともに検討し、様々な取り組みを行った。ボール遊びや鬼ごっこなどの日常的な遊びから、普段経験できない、竹でできた水鉄砲遊び、模造紙を使ったすごろく遊び、新聞紙ホッケー、季節にちなんだ工作等を実施し、子どもたちが多様な体験を得られるよう心がけた。 また、通常の活動に加え、特別行事として、様々な体験活動を実施した。子どもたちの長期休暇中は、4日間の特別プログラム「楽習会」の実施、7月にドッジボールの日本代表選手によるドッジボール教室、9月に遠足行事で釜石市にある公園にバス引率し、普段の生活圏内では遊ぶことのできない遊具や広場でのびのびと遊ぶことができた。10月には、地元青年部と継続参加している協力大学とともに、秋のミニお祭りを開催した。昨年度に引き続き臨床心理士によるスタッフ・大学生ボランティア向けの研修も実施し、活動の内容や流れ、子どもに接する上でのアドバイスを受けた。昨年度に引き続き、3月には、継続して「みちくさルーム」に関わってくださる4大学の学生が集まり、学生中心に計画と準備を行い、「みちくさルーム学生交流会」を実施した。交流会の第一部では、各大学から「みちくさルーム」での活動報告を発表していただき、第二部では、「活動中、子どもへの対応・安全管理」に関するケーススタディを行い、第三部では、「今後のみちくさルーム 」、「活動への参加者を増やす方法」、「卒業してもできる支援」等、テーマ別に分かれたワークショップを行った。
⑵ 子ども支援ネットワーク会議運営 【2011年11月より継続】
毎月第三木曜日の午後、市内で活動する子ども支援団体や、教育機関、地域の方等が集まり、各団体の活動報告や子どもに関する情報等を共有した。通常の会議に加え、子どものための心理的応急処置(PFA)の研修も行った。研修では、災害などの緊急時に子どもへの声のかけ方やその後のフォローアップについて学んだ。また、震災から5年経過し、被災地でのこれまでの経緯や会議で集めた情報をまとめた冊子を作成した。
⑶ 子ども情報誌「たかたん」の発行 【2013年4月より継続】
子ども支援ネットワーク会議にて、市内の遊び場に関する情報が保護者に十分行き届いていないことが聞かれ、それを受け、市内の子どもや保護者に向けた情報誌を年に5回発行した。主な配布先は市内の小学校、保育所(園)、子育て支援施設、図書館等、のべ8,000名の方々に届けた。情報の内容としては、子どもたちの長期休暇期間に行われるイベント情報、健康に関する情報、絵本の紹介など、乳幼児から小学生、子育てする保護者に役立つ情報誌となっている。
皆様のあたたかなお気持ちのおかげで、子どもたちがのびのびと、自分らしく過ごせる居場所、「みちくさルーム」を継続することができ、誠にありがとうございました。東日本大震災から5年が経過し、当時小学1年生を迎えようとしていた子どもたちは、6年生になりました。小学校生活の中で、校庭を自由に使えないまま、小学校を卒業する子どもたちもいます。本来の子どもたちの姿が見られるようになるまで、長く支えていきたいと考えています。どうか今後とも、東北の子どもたちにお心を寄せていただけますよう、よろしくお願いいたします。