子どもサポート基金 子どもサポート基金一般社団法人Bridge for Fukushima

2016年07月29日

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「かっこいい大人」の話を聞く会

社会課題解決に関心を持った福島県内の高校生約100名が、「かっこいい大人」の基準を自分たちで定義し、基準に則り「かっこいい大人」15名を講師として招くことで、高校生自身の将来の職業選択を助けると共に、現在社会を動かしているリーダーたちとのつながりをつくり、未来の福島を担うリーダーたちを育てる事業である。

基本情報

活動期間
2015年4月~2016年3月
活動地域
福島市を中心に、相馬市、いわき市、郡山市、会津若松市など
支援人数
102名
活動人数
スタッフ4名、ボランティア9名
連携団体
  • 株式会社ホワイトシップ
  • 株式会社福島ガイナックス
  • 留学フェローシップ

写真

  • (4)写真_第2回海外大150713.JPG
    第2回「海外大学へ進学した理由」
  • (4)写真_第4回橋本さん理学療法151228.JPG
    第4回「理学療法士」
  • (4)写真_第7回ソラトブクルマワークショップ160321.jpg
    第7回「ソラトブクルマ」ワークショップ

活動の背景・内容

活動の背景

高校生の憧れとなるよう「かっこいい大人」の働き方事例が、県内の高校生に共有されておらず、福島の復興のために働きたくても働き方がわからないという課題の解決に取り組んだ。福島県立安積高校の生徒(新聞委員会)が130周年記念号で全校生徒960名を対象とし2014年に実施したアンケートによると、「福島に貢献したい」と答えた生徒が7割に上ったのに対し、「将来福島に戻ってくる」と答えたのは3割と、大きな開きがあった。また、同校生徒が2014年に同級生30人に対し「将来の夢」について聞き込みをしたところ、「アナウンサー」「新聞記者」「政治家」など目立つ職業が多く挙げられ、福島での働き方はイメージできないという答えが返ってきた。また、震災前、「福島で働く」という選択肢自体が、あまり積極的な文脈で顧みられることが無かった。高校卒業後、福島県外へ進学・就職で転出した後、彼らを福島へ呼び戻す積極的なインセンティブに乏しかった。震災により「地元のために何かする」という志向の急速な高まりがみられるが、一方でその思いの受け皿となる仕組みが福島県に存在しない。避難指示区域の存在、人材不足など課題を抱える中で、若年層の「福島の復興のために何かしたい」という志向はチャンスであり、取り組むべき喫緊の課題であると考え、「目的達成のため、主体的に行動・実践できる人をつくる」という目標を掲げ、本活動を実施した。

活動の内容

① 関係者へのご案内

(ア) 県立福島高校・橘高校・あさか開成高校・福島工業高等専門学校・福島明成高校・相馬農業高校に、事業のご案内をした。

② コアメンバー10名の組織

(ア) 弊団体にかかわりのある高校生を中心に口コミでの呼びかけを行い、コアメンバーを組織した。

③ コアメンバーの活動開始

(ア) 弊団体職員による月2回の対面メンタリング、およびメール・facebook・LINEでのフィードバックを通じ、コアメンバーたちが「かっこいい大人」の定義をつくった。定義に基づき、コアメンバー自身が「かっこいい大人」招聘に向け、各回ごとの講話の内容・方向性について会議した。

④ 「かっこいい大人」による講話の実施

(ア) 第1回(4/26):「journalism」: Katarzynia Boni氏(フリージャーナリスト)

(イ) 第2回(7/13):「海外大学へ進学した理由」:野地雄太氏(Drury Univ.2年)、大柴行人(Harvard Univ.2年)、野島大嗣(Yale Univ.2年)、森川馨太(Univ. of Tronto2年)、前田智大(MIT2年)、萬一真(King’s College London2年)

(ウ) 第3回(9/22):「サイエンスコミュニケーター」:高橋真理子氏(山梨県立科学館天文アドバイザー)

(エ) 第4回(12/28):「理学療法士/作業療法士の現実」:橋本大吾氏(一般社団法人りぷらす代表理事・理学療法士)・小山和良氏(同法人スタッフ・作業療法士)

(オ) 第5回(1/17):「人の尊厳」:下村靖樹氏(戦場ジャーナリスト)

(カ) 第6回(3/16):「ハーバード大学の学生って、いったいどんな事考えているの?」:高島崚輔氏(Harvard Univ 1年)

⑤ 「ソラトブクルマ」合宿形式でかっこいい大人の話を聞く会(2016年3月20,21,22日)。

⑥ フォローアップ 参加したことでどのような学び、発見があったかをメンタリングする。

⑦報告書の作成

活動の成果

【申請書に示した助成対象期間中の目標】

① 福島県の高校生コアメンバー10名を組織する

② 「かっこいい大人」の定義を高校生コアメンバーが作成する。

③ 講師となる「かっこいい大人」15名が決まる。

④ 「かっこいい大人」15名による講話が実施される。

⑤ 「福島のかっこいい大人」になるための実践活動を始める生徒が10名生まれる。

【自己評価できる成果】

コアメンバー10名の企画会議(skypeなど含め9回)により、かっこいい大人の話を聞く会が6回、合宿形式での話を聞く会「ソラトブクルマ」が1回開催され、通算で102名の受援者(高校生)に対しサービスを提供することができた。特に「ソラトブクルマ」に関しては、2泊3日の開催に際して講師および大学生メンターの参加交渉・移動手配、当日の流れの作成、会場の予約、実施収支計算まですべてを、コアメンバー自身で行うことができた。

 「かっこいい大人」に関する定義等は、高校生により以下の通り定められた。

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■定義:「生き方がかっこいい人。何の職業に就いているかではなく、職業や役割への向き合い方がかっこよくて、尊敬できる人」

■本活動の目的:

「憧れ」の対象になるような素敵な生き方をしている大人の出会いの場を作る。「職業」として沢山の大人と出会う事も重要だが、この企画ではあくまで「生き方」としての多様性を重視して呼ぶ大人の人を決めて行きたい。

■上記理由:

この企画は半年間のスパンで行うが参加高校生が毎回同じというわけでもなく、またすべてのジャンルの職を網羅する事も出来ないため「夢を見つける」ことは出来ないかもしれない。

しかし、この企画に参加した事によって、参加した高校生が、今までの自分が思っていたより、沢山の生き方があるという事を知るきっかけを届け「自分でもいろんな生き方を探求して行きたい!」と思うような変化を作りたい。よって職業として参考になる点、というより生き方として「憧れ」になるような大人の人に来てもらいたい。

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コアメンバーのつくりあげた企画に参加した受援者からの声としては、以下の例の通り、「未知の選択肢との出会い」に関して価値を感じたという評価が多く寄せられた。

例1:「新しい環境に行く上で、自分で自分がわからない状況を打破したく、参加した。今まで見てきた人と全然違う人が多かった。ショッキングだった。だから、あらゆるものを吸収しなきゃと。ホワイトシップの話が、一番自分の見方がガラリと変わった。自分が数年間悩んできたことが、たった数時間で全然変わった。企画の価値を感じた。今後については、今回は良いステップになったから、今後につなげて、自分をわかるための何かをしたいなと思うようになった」

例2:「計画的に人生を送っていかなければならないと思っていたが、ちがう。この職業につきたい!よりも、まだまだ知らない職業もたくさんあるし、やることをみつければよかった。自分を信じて自分の意見を言うことがよかった。」

寄付者へのメッセージ

皆様方からの貴重なご寄付のおかげで、本年度は102名の高校生に対しプログラムを提供できました。いずれの受援者も様々な「大人」とのふれあいから気づきを得て「社会化」の過程を経る中で、自身の将来および地域社会の将来と向き合い、成長してまいりました。また、受援者から「このような取組みを周囲の高校生へもっと広めたい」と好評いただいており、今後も引き続き人材育成・地域活性化へ取り組んでまいる所存です。

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