2016年08月13日
石巻圏内の子どものための遊び場/社会参画活動
震災により遊ぶ場を失った子どもたちを対象としたプレーパーク事業及び、プレイバスによる移動式遊具を使った遊び場活動。そして、子どものまちいしのまき事業での子どもの社会参画活動。
現状は仮設住宅で生活している人が多く、被災者の生活再建が進んでいない。その中で、子どもを取り巻く環境の改善は後回しになっている。文科省による全国学力調査における成績、不登校児童の増加などにその結果が見える。それは子どもの成長において大事な社会性、思いやり、信頼感等の欠如だ。町や社会の再構築が最大の課題だが、将来そこで生きていく人(今の子ども)の意志が生かされていないこと、子どもに必要な遊びが日常の中にないということも現在の課題である。また、被災した地元の小中高生は地元のために「何かしたい」が「何をしたらいいか分からない」という気持ちを持っているが、それが生かされていないことも課題である。
【プレーパーク事業】
プレーパークは、子どもが自分の興味に合わせ、自由に遊ぶ場所を住民主体でつくっていく活動である。
現状は、石巻の住民がまだ生活再建などに追われている状況でもあるので、市民会議が主催して事業を継続している。
すべり台やクライミング遊具を積んだプレイバスを活用し、遊具や起伏がない場所でも楽しく遊べるようにした。また、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会の協力のもと、プレーカーを活用した遊び場づくりも同時に行った。プレーカーでは、工作、けん玉など自由に遊ぶことができる。
○中瀬公園
第2、第4日曜日を基本にプレーパーク活動を行った。
計 8 回 205 人参加
未就学児60名 小学生140名 中学生5名
前半、遊具・芝生の改修工事があり、使えない時期が長かった。工事が終了した後は、萬画館の目の前の広場で活動を継続させた。家族で来場することが多く、親と子・祖父母と子などの交流が多く見られた。
今後、中瀬公園はプレーパーク活動ができるエリアをつくるという計画がある。
○住吉公園
中瀬公園が工事中の第2、第4日曜日。工事終了後は第2日曜日を中心にプレーパーク活動を行った。
計 12 回 135 人参加
未就学児35名 小学生80名 大学生20名
地元では良く利用される公園で、子どもたちも遊び慣れた場所である。また、散歩をする地域の方が一休みするスポットでもあるため、大人はゆっくり雑談し、子どもは遊ぶという「自然な」雰囲気のもと活動することができた。この場所は、近所の小学生が歩いて来られる場所なので、常連になる子どもが多く、暑い時期は手づくりプールなどをつくり遊んだ。大学生などのボランティアも受け入れ、活動を行った。
○夏休みの小学校
夏休みを利用して、小学校の校庭で、プレーパーク活動を行った。
計 8 校 275 人参加
未就学児3名 小学生272名
真夏でとても暑かったため手づくりプール、工作などが中心だった。学校の校庭で行うことで、普段の活動(中瀬や住吉)と違い、小学生だけの参加がほとんどだった。しかし、親が迎えに来ると帰らなければいけなかったり放課後児童クラブの時間に合わせてでないと遊べなかったりといった子どもが抱える時間的制約が浮き彫りになった。
○放課後児童クラブ
秋以降、不定期で活動を行った。
計 10 回 300 人参加
小学生300名
夏休みの小学校での活動に参加していた子どもに児童クラブの子どもが多かったことから、児童クラブからも依頼を受けるようになった。普段児童クラブでは、工作など子どもが自由に発想して遊ぶという環境がつくれないらしく、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会の協力も得ながら、児童クラブ・小学校という環境下でも自由に遊ぶことができるということを職員とともに考え、実践した。
子どもたちは普段、室内で遊ぶことが多く、自由に外へと行けるわけではないので、むさぼるように遊んでいた。
○水明町河川敷
3月から始まった取り組み。
計 2 回 10 人参加
小学生10名
学校でのワークショップで公園づくりのプランを考えた小学6年生の有志5人が中心となり、河川敷の音の広場という公園をキレイにして、遊べるように活動を始めている。
具体的には、「どのような花を植えるか」「小さい子も高齢者も障碍者もみんなが過ごせる場にするにはどうするか」「アスレチックや水遊びの場をどうつくるか」など子どもが主体となって考えている。
次年度以降に、具体的な取り組みを行う予定。
【子どものまち・いしのまき事業】
子どもが主役の子どものまち、今年度で4年目を迎えた。
開催場所は石巻市内中心部商店街。今年度は橋通りをメインに行った。
開催時期は10月3日、4日に決定。9月まではそれに向けての準備期間となった。
計 10 回 2830 人参加
未就学児40名 小学生2600名 中学生100名 高校生30名 大学生60名
4月12日、5月23日 事務局会議
6月20日 キックオフミーティング。
その後、子ども店長会議を4回と中高生会議を2回開催した。
子ども店長になった子どもたちは、会議を重ねる中で、面白いお店の企画を盛り上げていった。例えば、「メイクやコスプレができマンガが描けるお店」や「段ボール迷路をつくってクイズを解く学校」などなど。
イベント当日は、2000人を超える参加者がいて、大いににぎわった。
11月23日に振り返り会を行い、大人も子ども一緒に子どものまちについて話し合いを行った。
その中で、「子どものまち・店長会議が震災によって離れ離れになってしまった友達との再会の場になっている」という声が出てきた。
そこで、12月23日に子ども店長にとっては打ち上げも兼ねたクリスマス会を開催することにした。
概要:
子どもたちの夢や個性を大切に、主体性を活かし、 まちの社会的な仕組みや役割を担うことを通して 創造性、感性、未来志向性などを育む 「まち体験型交流活動・イベント」を開催します。 また、子どもの参画による震災復興まちづくり活動の一環として位置付け、子ども支援に係るNPOや 大学、商店街や企業等との有機的な協働事業として、復興途上にあるかつて賑わいのあった石巻市 中央地区の商店街を有効活用しながら実施します。
目的
① 子どもがまちづくりの主役になる場をつくる
② 職業・社会体験の機会を提供し、子どもの夢・未来を応援する
③ 社会の仕組みや役割を理解し、課題解決する人とまちを育む
④ 商店街等と連携し、まち全体を子どもの居場所にしていく
⑤ 一人一人の遊び心を大切に、年に1回のイベントを楽しむ
急遽場所選定を変えて行った住吉公園でのプレーパークでは、参加人数はそれほど多くなかったものの、常連の小学生たちから「次はいつ来るの?」と何度も聞かれた。同じように夏休みの小学校で活動している際にも、「また来る?」「来年?」などといった声があった。それほど今の小学生たちは自由に遊ぶことに飢えていることが分かる。
子どものまちの振り返りでは、「子どものまち・店長会議が震災によって離れ離れになってしまった友達との再会の場になっている」という声があった。また、参加者の保護者からは「子どもが毎年楽しみにしている。マキー(通貨)を大事に保管している。」という声も聴け、保護者が子どもを見つめる機会にもなっている。
総じて、当会の活動が子どもたちにとって必要なものになっていることが分かった。一つの地域に特定し拠点を持たない代わりに、石巻市全土の子どもたちが集い、交流し、遊ぶ機会を提供できている。
子どもたちがイキイキ育つ活動ができています。震災復興のこれからは、コミュニティの問題に移行していくと思うので、これからもよろしくお願いします。
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