子どもサポート基金 子どもサポート基金特定非営利活動法人ふよう土2100

2016年06月16日

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福島県郡山地区の障がい児のための生活サポート事業

被災した障がい児が、いま生活をしている場所で安心し暮らせるよう「交流サロンひかり」で実施する生活サポートプロジェクトを通して、自発性・自立性を培っていく。障がい者児の生活サポートに努め、できることを一つ一つ積み重ねていく。

基本情報

活動期間
2015年4月~2016年3月
支援人数
250名
活動人数
スタッフ14名、ボランティア27名
連携団体
  • 郡山市障がい福祉課
  • NPO法人オハナオウエンジャー
  • 就労継続支援A型あいメッセージ

写真

  • 夏休みは福島市の果樹園で桃狩り体験.JPG
    夏休みは福島市の果樹園で桃狩り体験
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    子どもたちに個性を大切にした創作活動
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    創作活動でひとりひとりの個性を磨き出す

活動の背景・内容

活動の背景

東日本大震災・原発事故から5年が経過し、避難生活が長期化したことによって、自閉症や発達障害の子どもたちが避難先で安心して長期間暮らせるように生活訓練サポートの場所が必要になってきたことを痛感します。特別支援学校に通う子供たちが増加し、平成27年度は58人増え、1998人となっている。特に知的障害のある児童数は増加している。

その背景には、東日本大震災・原発事故時は幼児だったお子さんの家庭環境が、目に見えない放射能の恐怖に怯えながら生活し、外遊びを制限するなど子どもだけでなく、大人たちも通常の日常生活を過ごすことができなかった。当法人でサービス開始した「放課後等デイサービスがっこ」の利用者の割合を見ると、昨年4月に小学生に入学した生徒が全体の3割を占める状況を分析すると、その影響も計り知れないのではないかと感じています。自閉症や発達障害かもしれないと保護者が感じた時に、その窓口となる場所は福島県総合療育センターです。震災前は新規に利用を希望すると、半年待ちぐらいの状況だったのが、現在ではさらに深刻になり、新規の利用問い合わせにタイムリーにこたえる事ができず、新たに診断を受けるとなると9~10ヶ月待ちの状況が続いており、療育センターで検査を受けるまでにできることの支援が必要だと痛感している。

また、震災以前は福島県立テクノアカデミー郡山校が就労を希望する障がい者の受け皿となっていたが、今年度も募集を停止したという経過もありました。震災前まで暮らしていた被災地より人口がはるかに多い地方都市での日常生活に順応するために、自立に向けた個別のペースに合わせた生活支援の場が必要と考え、今回の事業に取り組んでいる。

【解決したい課題】

「障がい児の被災者家族の支援プロジェクト」を進め、「交流サロンひかり」「放課後等デイサービス事業がっこ」で障がい児支援に努め、障がい児の被災者家族が互いに支え合うネットワークを構築し、障がい児家族の負担軽減、ストレス軽減に努め。特に障がい児が安心して暮らせる場所づくりを目指す。

活動の内容

活動時期 平成27年4月1日から平成28年3月31日

■交流サロンひかりの運営

 障がい児の一時預かりを実施し、障がい者家族の支援に努め、安心して障がい児が過ごせる場所の提供に努める。

・2015年4月1日から、郡山市内の養護学校や特別支援学級に通う子どもたちの受け入れ開始。

・2015年4月 案内チラシの作成

 郡山市内の養護学校に通う保護者や郡山市内の障がい者施設に配布。

 

 また、下記の内容で定期的に開催した体験プログラムには多数の障がい児家族が参加し、できることを積み重ねていった。

 【主な活動】

・5月 果樹園体験

・7月桃狩り体験

・8月カレーづくり体験

・9月おやつづくり体験、音楽コンサート体験

・10月芋煮体験、アート体験

・11月きりたんぽ体験

・12月りんご刈り体験

・1月そば打ち体験

・3月いわきハイジの里山自然体験

 9月26日には、サンライズもとみやを会場に、「みんながキラッフェスティバルと」音楽コンサートを開催。上海から18歳の自閉症ピアニストの周さん、仙台市からリーコーダ演奏者の荒川知子さんファミリーを招き、音楽コンサートを実施。約200人が参加した。体験活動には延べ450人が参加した。

活動の成果

(定量的な成果)

社会・学校では障がいのあるなしなどの様々な要素で分けられ、互いに接する機会の少ない子供たちが、様々な体験学習活動を通じて、ひとりひとりが輝く空間、環境づくりに努めた結果、障がいのある子どもたちが自分自身がしっかりと認められ、自分ができることがあると再発見につながった。

<子ども>

 特別支援学級の担任の先生から相談を受けたケースでは、家がゴミ屋敷化し宿題もできる環境でないので、せめて放課後時はがっこで見てほしいといわれて、小学6年生の男子を預かった。利用期間中は、いろいろなことに興味を持ち、ローマ字書きもできるようになり、パソコンの文字打ちもできるようになった。

 それぞれの個性に応じた、子供たちの発達支援に取り組むことができた。

<親>

 保護者のレスパイトサービスに取り組み、障がい者を育てる親、家族を一時的に一定期間、障がい者の介護から解放することによって、日頃の疲れを回復し、ほっと一息つけるような援助をすることができた。

〈受益者からの声〉

「引きこもり気味の子どもが外に出るようになり、本当に助かっています。」(利用者家族)

「ひかりにいると、ほかの事業所では見せない元気な姿なので、驚いています。おとなしい子がほかの子とわいわい楽しくやっている姿を見ると成長を感じます」(利用者家族)

「ひかりにくると、みんな優しいから楽しい」(子ども)

 

 放課後等デイサービス事業を27年1月にスタートしたことによって、これまでサービスにつながっていなかった生活困窮者家族の子供たちを受け入れやすい環境になり、利用者層を広げることができた。家庭での食生活もままならい子供を預かったケースでは、保護者と親身になって、子どもことを話し合い、生活環境の改善に努め、人並みに規則的な生活が送れるようになった事例もある。

寄付者へのメッセージ

東日本大震災から5年という歳月が経過し、震災後に多く被災地を対象に行われたこども支援活動の助成事業が減少する中、2年間続けて、「子どもサポート基金」の助成を受けることができて、本当に感謝申し上げます。そして、ひとりひとりの寄付者の方々は厚く御礼申し上げます。ささやかではありますが、郡山市内で「放課後等デイサービスがっこ」「交流サロンひかり」の運営を通して、自閉症や発達障害の子どもたちを育てる多くの保護者から、「ほかの事業所で断られていたので、居場所ができて、本当に助かった」「少しずつ子供に変化ができた」「自閉症を理解してくれるスタッフがいので安心だ」といった言葉も寄せられ、社会のために役立つことができたかなと実感しています。震災から5年以上が経過しても、いまだに避難エリアに指定され、生まれたふるさとに戻れない子供たちがいます。その子供たちが、いま暮らしている地域で、安心して暮らせるように微力ながら、全力を尽くして、障がい児家族支援に努めていきますので、引き続きよろしくお願いします。

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