2016年05月25日
飯舘村の子どもたちのための世代間交流による「共育」推進支援活動2015
2013年度から行なっている「ふるさと学習」の継続事業。仮設住宅のお年寄り達と専門家を講師に、中学生が「郷土料理」「民話」「伝統芸能」を実践しながら学ぶことで、長引く避難生活で困難になっている世代間交流の促進と、失われつつある伝統文化の灯を未来に繋ぐための子どもたちの活動を支援する事業。
「日本でもっとも美しい村」連合に加盟する素晴らしい自然の中で、昔ながらの文化・伝統・暮らしが残る三世代同居が当たり前の平穏な暮らしから、避難生活の長期化により、コミュニティ、アイデンティティの崩壊、そして子ども達にとっては故郷の記憶の風化も進みつつある現在、事業の継続により芽生えて来た故郷の文化を継承するという自覚と気概の灯が消される事のないよう、充分なサポート体制をつくり上げる事。
○ふるさと学習2015
飯舘中学校、仮設住宅、伝統芸能保存会等と連携し、飯舘村の子どもたちが村の伝統文化を継承しながら、やがて未来の飯舘村を担っていく「こころの土台づくり」のための支援活動。
◆1年生:伝統芸能「田植え踊り」(毎週木曜日5,6校時)
講師;懸田弘訓(県文化財保護審議会委員・二本松市在住)
伝統芸能演舞者他(伝統芸能保存会)
練習の成果を仮設住宅で披露。村の敬老会、文化祭及び中学校の文化祭では正装して披露した。着付け講習、田植え踊りの歴史等の学習行い、12月には古民家奉納演舞も実施した。
◆2年生:飯舘の昔話「いいたてまでいな紙芝居」
講師;飯野和好(絵本作家・鎌倉市在住)
菅野テツ子(語り部・飯舘村民)
語り部による昔話「おちよ蛇類明神」「火車猫」2話の大型紙芝居を制作。
文字起こし、時代背景等の下調べをして制作し、発声練習も行って、仮設住宅、文化祭で発表。紙芝居のカレンダーの制作、アニメーション動画制作にも参加した。
◆3年生:郷土料理「飯舘の味噌づくり」
講師:中山晴奈(フードアーティスト・東京在住)
仮設住宅等の皆さん(飯舘村民)
初回にフードアーティストの中山さんから、伝統食についての講義を受け、味噌づくりを実施。6月には次年度の後輩のために大豆の種蒔き、苗植えを行い、11月には収穫と脱粒を行った。秋の文化祭では出来上がった味噌を使って350食の振る舞い料理を作り、招待した仮設住宅の方々や幼児、小学生等に振る舞った。仮設住宅訪問時には、飯舘村の昔懐かしい料理300食を作って持っていき、各戸に配りながら村の歴史や昔の暮らしなどの聞き取りを実施した。
3年間の継続により、仮設住宅の方々にとって、中学生の訪問による成果の披露等は最も楽しみなイベントとなっている。引きこもりの方がこの日だけは家から出て来て、踊りに合わせて手拍子を打つ姿に、伝統芸能が持つ力と重要性を再認識させられているが、演じる子ども達は毎年それを肌で感じている。異世代間交流の機会を頻繁に持つことは子ども達の情操に多大な効果があり、豊かな創造性と慈愛の精神が育まれてきた。毎年、各学年からお礼の手紙を頂いているが、今年度はカメラマンを始めスタッフ一同、1学年の生徒全員のコメントが入った素晴らしい色紙を頂き、贈呈式まで設けて頂いた。2015年度の3年生は田植え踊りから郷土料理までを体験した学年で、卒業式の答辞で伝統文化の継承を体験した喜びと誇りを語ってくれた事は、スタッフにとってもこの上ない喜びとなった。
3期に亘り弊会の活動にご支援を頂きまして誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。飯舘村にとって2017年に予定されている「帰村」はゴールではなく、寧ろマイナスからの厳しいスタートになると思われます。しかし帰村に拘らず、「いつかは故郷のために」という子ども達の思いは、やがて未来の福島を築くための大きな力になっていきます。皆様から頂いたご理解とご支援をもとに、今後もスタッフ一同、未来を担う子ども達のための支援活動に邁進して参る所存です。
子どもサポート基金 子どもサポート基金 活動レポート一覧 子どもサポート基金 活動レポート一覧 活動レポート トップページ 子どもサポート基金 活動紹介