2016年06月30日
石巻市の若者の人口流出問題に対して、地域で高校生の地元愛を育てる活動
高校生と企業、行政、地域を繋ぐことで地元における「働く」をより意識したキャリア教育の場を創出します。高校生と企業、行政、地域を繋ぐサポート役として地域団体や大学生が入ることで、様々な考え方を学ぶことができます。その結果、仕事に対する意識の変革や大人とのコミュニケーションが生まれ、地元での就職の可能性が高まります。ここから、将来の“石巻”を担う若者を輩出します。
震災以前からある石巻における若者層の市外への流出が問題となっています。
原因のひとつとして若者の就職に対する意識の問題があり、学校教育の中でリアルな仕事を知る機会が減っていることが挙げられます。現在、学校ではキャリア教育にかけられる時間の減少やマンパワーの不足、就職情報の偏りなどの問題があることが、弊団体のヒアリング調査により挙げられています。
震災以降の復興に向けた動きの中で、将来を担う若者の育成を学校のキャリア教育だけでなく、“地元愛”の育成を通して地域に残る、戻ってくる若者を輩出します。
地元愛キャリア教育プログラム
カフェづくりを通した社会体験“いしのまきカフェ「 」”
2012年よりスタートしたプログラムは2015年度で4年目を迎え、高校生メンバーの入れ替わりや復興に対する意識の変化が見られたため、一旦高校生によるカフェ営業を休止し、地域を知るための活動に従事しました。活動内容は主に、カフェとしてのコンセプトの再設定、チームビルディング、フィールドワークを通しての地域理解、地域イベントでの出店を実施しました。
【参加高校生】 9名
【主なスケジュール】
※月1回のワークショップを実施し、コンセプトワークやチームビルディング、フィールドワーク、イベント出店の準備等を実施しました。
4月 入学式(新メンバー4名を加えて2015年度の活動内容を発表しました)
5月 仙石線開通イベントへの出店
6月 活動コンセプトの決定 「好きにかえる」
7月 石巻青年会議所主催の地域イベント「たからいち」に出店
たからい出店店舗にインタビューしお店の紹介POPを作成
8月 地域イベント「川開き祭り」出店
夏合宿in南三陸 これまでの活動を通して「私たちが地域に対してできること」について
9月 外部講師によるワークショップ「コミュニケーションワークショップ」
10月 地域イベント「サンファンツーリングイベント」出店
11月 地域イベント「仙台学魂祭」出店
12月 以降、高校生は「高校生百貨店」に参加
3月 卒業式 お米農家と協働で「押し寿司 巻きっこ寿司」の試作会
【活動実績】
ワークショップの実施 年間10回
外部講師による特別ワークショップ 年間2回
地域イベント出店 年間8回
学校連携プログラム“仕事みち図鑑”
高校生がまちに出て地域の大人から「働く」や「仕事」について聞くプログラム。2015年度は2校の高校での実施と石巻青年会議所と協働での地域内実施を行いました。
【実施高校と参加高校生】
宮城県水産高等学校 2年生 23名
宮城県石巻西高等学校 3年生 38名
一般社団法人石巻青年会議所 「たからいち」内でインタビュー実施 高校生6名参加
【スケジュール】
・宮城県水産高等学校 8月31日〜9月2日 1コマ100分×3回実施
・宮城県石巻西高等学校 10月5日〜11月16日 1コマ50分×7回実施
・石巻青年会議所 6月23日〜7月5日 放課後インタビューを実施 全24店舗
生産者の想いを伝える“高校生百貨店”
震災から5年が経ち、石巻の企業や生産者も事業の復興が進んできている。事業の再建が進んでいる現状をその商品を通して市外の方々に伝えたいという想いから“高校生百貨店”を企画しました。
高校生百貨店は、高校生がバイヤーとなり地域に眠る良い商品を発掘し仕入れます。その際に、商品に込められた生産者の想いや背景を聞き出し、その想いとともに商品を販売する“高校生百貨店”を市外で開催します。
【参加高校生】20名
【スケジュール】
■第一部
バークレイズ証券株式会社が主催する「復興アントレプレナー」の企画内で、東京販売会を実施。
バークレイズ証券株式会社が小売りについての知識を高校生向けにレクチャーし、石巻の産品を集め東京赤坂にて販売会を実施した。
[協働]バークレイズ証券株式会社(主催)/NPO法人放課後NPOアフタースクール(委託)
/NPO法人TEDIC、かぎかっこPROJECT(現地コーディネート)
11月1日(日) ワークショップ 小売の仕組みについての講座、仕入れ商品の選定
11月7日(土) ワークショップ 収支計画、販売用のPOP作成、接客レクチャー
12月5日(土) 東京(アークヒルズ)のマルシェにて販売会
■第二部
高校生を追加で募集し、高校生百貨店のプログラムを実施。
12月20日(日) オリエンテーション 高校生百貨店の目的説明
近鉄百貨店担当者による百貨店についてのレクチャー
1月10日(日) 取扱商品の選定、地域発信の意義について講師によるレクチャー
1月24日(日) インタビュー練習
1月24日(日)〜2月23日(火) 生産者フィールドワーク実施期間
2月3日(水) 生産者フィールドワーク、近鉄百貨店担当者による百貨店の説明
2月7日(日) 取り扱い商品の決定
2月14日(日) 販売促進方法の決定
2月21日(日) 講師を招いて接客レクチャー、接客練習
販売会実施
・仙台
開催場所 : エスパル仙台店 地下1階催事場
開催日時 : 2月27日(土)、28日(日) 10:00〜20:30
・大阪
開催場所 : あべのハルカス近鉄本店 ウイング館9階催事場
開催日時 : 3月2日(火)〜3月6日(日) 10:00〜20:00
【活動実績】
取扱商品数 約70商品
インタビュー先企業、生産者 36名
■いしのまきカフェ「 」
・自分の良いところも悪いところも気づくことができた。このまちのことが分かって好きになった。
将来戻ってきてこのまちで働きたい。 (桜坂高校 3年 女子)
・人見知りが直ってきた気がする。もっといろんな大人の話を聞きたい。
(石巻工業高校 1年 男子)
・自分の興味があることや好きなことが分かるようになってきた。興味のあることにどんどん
チャレンジしたい。 (桜坂高校 1年 女子)
■仕事みち図鑑
・仕事の苦労もわかったが、その中で楽しみを見つけていきたいと思った。
(宮城県水産高校 2年 男子)
・職業は同じでも考え方や働き方が様々で、色々な考え方を知ることが出来た。
(石巻西高校 3年 女子)
・以前よりも相手の話を聞く力や意見を言う力が伸びた気がする。
(石巻西高校 3年 男子)
■高校生百貨店
・こんな経験は学校ではなかなか出来ないと思った。後輩たちにも参加してほしい。
(好文館高校 3年 男子)
・役場で働く前に石巻を知ることが出来てよかった。自分では動き出せないような大きなアクションが本当にできることがすごい。 (好文館高校 3年 女子)
・石巻を好きになれたし、これからの目標も見つけることが出来た。 (桜坂高校 3年 女子)
・家や学校では表現できない自分を表現できた。これからもずっと仲良くしたい仲間にも出会える
ことができた。 (矢本第一中学校 1年 女子)
私たちの活動を通して、将来石巻を担う若者が少しずつですが育ってきています。高校生の声に耳を傾けながら、より効果のある取組みにしていくために「子どもサポート基金」を使わせていただきました。参加する高校生が昨年度より増え、少しずつではありますが前に進んでいるように感じております。また、2015年度の活動の中で高校生だけでなく、地元の企業や活動団体とのつながりも強くなってきました。今後は、高校生と地域の大人をつなぎながら、地域で高校生を見守り育てていく仕組みを、石巻を拠点につくっていきたいと考えております。本当にありがとうございました。
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