2013年06月27日
石巻市に住む外国人小中学生のためのスタディサポート
震災で両親の母国等に一時帰国(避難)した石巻地域に定住する外国人の子どもたちが、帰国後に日本の学校授業について行けず不安を抱える現状を知り、帰国で生じた学習ブランクと進路や環境変化によるメンタル面のサポートを実施した。石巻地域の外国人小中学生32人(小学生14人、中学生18人)に週3回、1回2時間、4教科の学習場所の提供、指導を実施。帰国ブランクによる遅れを解消できた。開始時に比べ学習意欲の向上が見られた、高校受験対象者4名が志望校に合格できた。
【活動の背景】
状況
・多くの定住外国人が日本での生活に支障を来した。(被災による住居・就業場所の消失や解雇、心的ストレス等)
・石巻市は本震災で一番被害が大きく、産業や学校等公共施設の復興が遅れていた。
・元々マイノリティであり、地域社会に馴染めない外国人は子供と母国等海外に避難した。
・国外避難により、学校授業を受けられず、日本人の子どもたちと勉強に差異が生じた(授業の遅れ)
・生活環境が激変(仮設の学校・住宅、親の失業等による困窮等)し、その影響により学習意欲の低下・進路や将来への不安といったストレスを抱えていた。
課題
・日本語理解が不十分な、外国人両親と勉強や進路の相談ができず、家庭または学校において、精神的に孤立した子どもが多かった。
・外国人の子どもが安心して、勉強できる場所や授業の遅れをカバーし、進路や日常生活の不安を軽減する支援が必要だった。
【活動の内容】
活動趣旨:石巻定住の外国人小中学生の学習支援(授業遅れの解消、進路や受験対策の支援)
活動期間:平成24年11月1日~平成25年3月31日
活動場所:NPO法人国際支援地球村(石巻市蛇田字中埣18-7)
避難帰国による勉強(授業)の空白期間を埋めるため、当団体事務所内の一室を教室として、講師4名で指導を開始した。
教材は教科書準拠のインターネットプログラム「学習クラブ」を中心に小・中学生を指導。
指導科目は、国語、算数(数学)、理科、英語とし、国外避難の間に学習出来なかった範囲を中心に生徒個々の能力や状況に応じた指導を実施。
受験を控える生徒には、受験対策(不得意科目の重点学習、志望校や受験問題の傾向・対策指導)も積極的に実施した。
また、日本語が不十分な生徒への日本語指導の実施、不安やストレスを抱える生徒には相談に乗るなど、勉強以外の面にも配慮した。
生徒やその両親の声
・学校授業の遅れを解消することができつつある。
・授業遅れ以外の分からない範囲が減ってきた。
・勉強に集中出来てよかった(仮設住宅のため、勉強場所が確保できない)
・学年や学校の関係なく、生徒同士の交流が出来てよかった。
・震災の影響で経済的に厳しく、塾に通うことが出来なかったため、学習機会の提供は有難かった。
・宿題を出されていたので、家庭で学習する時間が増えた。
・学習面や生活面での悩み相談をすることが出来て、不安が解消されてきた。
・日本語指導のおかげで、楽しく学校生活が送れるようになってきた。
・東北大学生との交流で刺激を受け、将来への夢を明確にすることができたようだ。
・日本の学校教育や制度について相談ができたおかげで、少しずつ理解できてきた。
活動の成果
・受講生徒全般に学習意欲の復活または向上が見られた。
・スタート当初に比べ、外国人親の学校制度への理解度が高まり、子供との確執が小さくなってきた。
・日本語の理解不足が外国人親または子供の学校制度理解の障壁となっていることが浮き彫りになった。
・潜在的な学習障害の疑いがある生徒を発見できた。
・高校受験合格者4名(石巻高等学校2名、石巻商業高等学校1名、石巻好文館高等学校1名)
<寄付者へのメッセージ>
被災地 石巻に暮らす外国人とその子供たちの現状を理解し、本活動を支えて頂きまして、本当に有難うございました。東日本大震災復興支援財団様を通じ、多大なご支援をくださった寄付者の皆様のおかげで、本活動が遂行できたこと、心より感謝申し上げます。地域社会に馴染めない外国人とその家族が震災で厳しい状況に置かれていることは未だに変わりありませんが、少しずつ良い方向に向かっております。活動当初に比べ参加している子供たちにも笑顔が増え、明るさを取り戻しております。そんな子供たちのために、学習に集中できる環境を作ってあげる事は将来に夢や希望を与えるものと確信しております。短期間で解決できる問題ではなく、また1団体でできる事もほんの僅かですが、継続していくことが大事だと思います。今後とも、ご支援頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。
子どもサポート基金 子どもサポート基金 活動レポート一覧 子どもサポート基金 活動レポート一覧 活動レポート トップページ 子どもサポート基金 活動紹介