2013年07月12日
岩手県上閉伊郡大槌町、釜石市の子ども達と子どもを取り巻く大人達へのこころのケアプロジェクト
地域住民と一緒に子ども・保育士・保護者を対象とした癒しプログラムを考え、地域住民が主体となったストレス解消できる場作りをサポートする。又、地域と遊び場を繋ぐ2種類の外遊びサポートバスを運行し、子どもが自由に遊び場に行ける環境作りを行う。さらに地域の中での遊び場作り、保育所移転に伴う地域住民による園児用ロッカー制作活動を行う。
<活動の背景>
岩手県上閉伊郡大槌町・釜石市内の多くの保育施設では、長期間に渡る仮設園舎での保育が続いている。園児の中には急に大声で叫び、暴れる等の症状が出たり、保育士の中には疲労により仕事を休みがちになる者が急増し、仮設住宅に住む保護者の中には保育に疲れ育児放棄する親も増えている。震災から1年半経った今でもなかなか生活環境が改善されない中、特に保護者や子どもを預かる保育士の疲労度はピークに達しているとの声もある。
又、大槌町・釜石市内には園庭のない保育施設が2か所あり、十分な保育環境が整っていない。さらに、同地区は震災により大半の公園を失ったことから、子ども全体への遊び場が不足している。
以上より、子ども・子どもを取り巻く人を対象としたストレス発散の場の提供や、園外保育の場の提供・遊び場の提供が現状課題である。
又、大槌町立安渡保育所は津波で被災を受けたため、元安渡小学校校舎を一時的に間借りして保育を行っている。安渡小学校跡地には現在、約30 世帯の仮設住宅があり、校舎の一部は公民館として使用されている。現在、元安渡小学校校舎は震災による建物の耐震性弱化と老朽化の問題がある。それに伴い、安渡保育所は新年度から寺野地区に移転する。しかし、経済的理由から移転に伴う必要備品が全て揃うか不安が残る。所長主体で移転先の保育環境整備に早急に取り組む必要がある。
<活動内容>
○アートセラピー
活動時期: 2013年1月~3月
活動内容: アートセラピーとは色彩心理士を招き、園児に大きな紙に好きな色で自由に絵を描かせたり、粘土で好きなものを作らせたりする活動である。この活動は子どもが創作活動の中で自由に自分自身を表現し、気持ちを発散してもらうことを目的とする。当団体は2012年7月から同対象施設において継続して実施している。
活動実績: 大槌町内3カ所の保育施設において全5回実施。釜石市内シープラザにおいて『子どもの絵が語る心の記憶』展覧会実施。
○リラックス会
活動時期: 2013年1月~2月
活動内容: この会は震災後から子どもを守るために必死に保育を続けてきた対象者が保育疲れを癒すことを目的とする。岩手県内(特に大槌町、釜石市)の子どもを取り巻く人達が主体となって当会を企画し、各々交流しながら、気軽にお互いの悩み相談や情報交換をできる場作りをする。
活動実績: 大槌町にて『子どもと発育発達そして支援~遊ばせ上手は子育て上手~』講演会2回実施、大槌町にて『桜舞太鼓 in マスト』実施
○園外保育サポートバス
活動時期: 2013年1月
活動内容: 釜石市内の園庭のない保育施設に対し、地域の公園・施設へ遊びに行くバスを運行し、外遊びの機会を提供する。本企画は外で遊ぶことによって子ども・保育士が心身共にリフレッシュすることを目的とする。行先と行程は各保育施設主体で企画する。
活動実績: 社会福祉法人釜石愛育会鵜住居保育園を対象に2回実施。行先は釜石市内室内遊び場と公園。
○あそび場バス
活動時期; 2013年1月~3月
活動内容: 被災地での遊び場不足に伴い、親子と地域の遊び場を結ぶバスを運行する。同時に親子協働企画を実施する。普段仮設団地内で過ごす親子が気軽に自然の中の公園へ出向き一緒に遊んだり、体験したりすることによって日頃のストレス発散し、親子の絆を再確認することを目的とする。
活動実績: 大槌町、釜石市の親子を対象に釜石市こすもす公園にて『親子ピザ作り体験ツアー』を3回実施、大槌町里親の会を対象に大槌町ベルガーディアへバス運行2回実施、大槌町の小中学生を対象に釜石市こすもす公園へバス運行2回実施
○みんなのあそび場
活動時期: 2013年1月~3月
活動内容: 大槌町内で遊び場が不足していることから、仙台からプレーリーダーを定期的に大槌町に招き、大槌町の小中学生を対象に子どもに安心して思いっきり遊べる機会を提供する。活動場所は大槌町仮設校舎グランドと釜石市こすもす公園にて実施。
活動実績: 大槌町仮設校舎グラウンド1回実施、こすもす公園2回実施
○大工さんと作る僕たちのロッカー
活動時期: 2013年2月~3月
活動内容: 大槌町立安渡保育所の園児と保育士が移転先の仮設園舎で使う園児用ロッカー(20人分)を地元の大工と一緒に制作する。目的は以下3点となる。①今までは一方的に支援を受けるばかりであったが、今回園児が自ら使うロッカーを地元大工と一緒に制作することによって、子どもの自立心の形成を試みる。②地域の大人と子どもが一緒に活動することによって世代間交流が実現できる。③外での活動が限られている中、園外保育の一環として子どもの創造力や豊かな感性を育むことに貢献する。
活動実績: 制作活動16日間実施、納品完了
外部の専門家と連携しながら多方面からアプローチしたことにより、地域の子どもや子どもを取り巻く大人を対象により良いこころのケア活動を実施できた。しかし、震災から2年が過ぎ、地域住民だけでなく支援者にも疲れが出始めている。故に、今後は支援者向けのこころのケアも必要だと感じた。又、上記活動において多くの地域住民を企画・運営に巻き込むことに成功し、住民主体で活動することができた。このように住民と肩を並べて活動したことによって住民の活力を肌で感じることができた。故に、今後の被災地の復興支援において地域のリソースをいかに有効活用するかが重要になってくると感じた。
<寄付者へのメッセージ>
この度は子どもサポート基金第三期の助成を賜りまして、誠にありがたく心から御礼申し上げます。貴財団による寄付金により当団体は被災地において幅広いこころのケア活動を実施することができ、多くの方から感謝のお言葉を頂戴することができました。又、貴財団職員は当団体が現場の状況に応じて支援内容を変更することを認めてくださったりと、現場で動く私達のことを第一に優先して柔軟に対応してくださいました。この結果、当団体は地域住民にとって最善の支援を提供することができました。これもひとえに貴財団のご協力の賜物です。今後とも、なにとぞご支援、ご指導のほど宜しくお願い申し上げます。
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