活動レポート ~活動実績のご紹介~
子どもサポート基金助成団体レポート
子どもサポート基金の助成先団体の活動レポートをご紹介しています。
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>2013年度第4期
特定非営利活動法人はらまち交流サポートセンター
- 南相馬市の未来を担う子どもたちと、市外の子どもたちのスポーツ・農業交流支援事業
- ① 震災以前まで活発に行ってきた、南相馬の少年野球を中心とした子どもたちと、市外の子どもたちで継続的なスポーツ交流を再開し、健全な心身を培ってもらう
② 震災後に連携が始まった、相馬農業高校と京都農業高校、首都圏の農学系大学生が、協働で南相馬の農業に取り組み、農業を通じた新たな交流事業を展開する
・震災直後の救援物資を運搬
震災直後3カ月間、連携している猪苗代町、企業から南相馬に、住民ネットワークを活用したニーズに合った物資の提供
・避難者の受け入れ
指定管理をしている市内の馬事公苑を活用した避難者50名程度の受け入れ
・ 震災前から防災ネットワークの繋がりがあった東京都杉並区との連携
被災経験の共有による児童の防災意識向上、「農」を通じた都市部との交流事業
・ボランティア等の若者の受け入れ支援
南相馬市ふるさと回帰支援センターと協働し、都市部から大学生をはじめとした若者の1000名以上のボランティアの受け入れ実施。また、これまでに4回開催している、 南相馬市ふるさと回帰支援センター主催の「ふるさと復興会議」や、菜の花プロジェクトなどの「交流事業」に、大学生を計画段階から参加してもらうため受け入れ支援
・南相馬市を中心とした若者農業ネットワークを構築
農業の復興を通じて、東京農工大「被災地応援隊」所属の約40名の大学生と、相馬農業高校、京都農芸高校の交流を支援し、若者農業ネットワークを構築
基本情報
活動期間 | 2013年4月 ~ 2013年9月 |
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活動地域 | 福島県南相馬 |
支援人数 | 30 |
活動人数 | スタッフ 2名、ボランティア 10名 |
連携団体 | 1.NPO法人菜の花プロジェクト 2.相馬農業高校 3.京都農芸高校 4.東京農工大学 5.秋田国際教養大学 6.南相馬市ふるさと回帰支援センター |
写真
活動の背景/内容
福島県南相馬市は、東日本大震災において、津波による沿岸部の被害が漁村、農村集落を中心に甚大であり、かつ小高区では地震そのものによる建築物への被害も深刻であった。私どものNPO事務所も沿岸部に立地しており、諸資料やパソコンはもとより、事務所ごと津波によりすべて流失した。さらに、原発事故の影響で平成24年4月中旬に、ようやく市全域への立ち入り制限が解除されたが、本市の人口も震災以前は約7万1千人だったのが、現在では約6万1千人に減少しており、特に子どもの市外移住が顕著であり、深刻な状況である。放射能の影響で、食品系農産物を中心に厳しい生産・出荷状況にあり、主産業であった農業の先行きが心配される。交通面について、東京から南相馬市へ車で向かう経路は、東京-いわき-南相馬を結ぶ予定であった常磐自動車道が原発事故の影響で不通になっている。そのため、福島市近辺まで北上し、そこから飯舘村へ迂回しなければならず、関東方面との交通事情が極度に悪く、震災以前より交流人口が激減しているため、交流人口拡大が求められる。
以上の南相馬で生活している子どもたちは、震災以前のようにスポーツを行おうにも、まず人手も足りず、放射能の影響が少ない地域においてもスポーツ離れが進んでいる。子どもによっては引きこもりがちになり、心身ともに不健全な状況が垣間見られる。また、震災以前には本NPOが調整役となって、杉並区などの関東の子どもたちともスポーツ交流事業を活発に行ってきたが、現在では活動規模も縮小しており、継続の難しい状況に置かれているため、早急に対応しなければいけない。
南相馬市原町区に立地する相馬農業高校生ついては、震災以降に校舎自体も一時移転し、現在では元の校舎に戻ったものの、十分な農業実習が行えていない。最近では、農業に対するやりがいや楽しみを感じる機会も減っているとの意見もあり、除染事業も農地においては進んできているものの、南相馬の今後の農業を担っていく若い世代の農業離れが進んでいくことは、南相馬市にとっても、農業高校生自身にとっても大きな損失につながると考える。どうにかして農業に携わるきっかけを作り、将来に向けたやりがいや楽しさを培って欲しいと、心から願う。
2013年5月4日~7日・・・菜の花花見・交流事業
南相馬市原町区雫(しどけ)の菜の花畑にて「お花見会」を開催した。参加者は、昨年度よりこの菜の花畑ができるまでに土壌サンプル採取、がれき拾い、 種まき、追肥、除草作業等に携わってきた相馬農業高校生、農家さん、東京農工大、センター会員の方々等50名以上の方が参加した。高校生たちも大いに楽しんでおり、菜の花畑を駆け回っていた。
2013年7月15日・・・菜種の収穫実施
菜種の収穫は、相馬農業高校の高校生40名が主体となり、収穫および脱穀を行った。東京農工大学の学生をはじめとした、大学生が10名以上も参加し、地元農家さん3名の協力のもとで農作業のレクチャーを含め、南相馬市の農業について交流ができた。収穫は、種がはじけ飛ばないように慎重に行い、脱穀は、足踏みしたり手でたたいたりと、体力をかなり消費する作業であったが、その分、高校生たちに「農業を自分たちで行った」達成感を実感してもらえた。
2013年8月3日・・・菜の花学会参加
菜の花学会には、相馬農業高校から高校生10名が参加し、自分たちが行っている南相馬市での菜の花栽培の成果報告を行った。今回の菜の花学会が、相馬農業高校にとって、初めて自分たちの活動を、外部に向けてしっかりと発表する機会であり、高校生たちはかなり緊張していた。しかし、発表は素晴らしいものであり、彼らの活動がしっかりと伝わり、会場にいた皆さんに大きな反響を与え、発表後盛大な拍手と、たくさんの質問をいただき、大成功であった。発表後は、高校生も、笑顔が絶えず、彼らにとっても、自信を得る良い機会であった。
2013年8月15日・・・阿佐ヶ谷少年野球交流試合
交流試合は、「南相馬少年野球チーム」と「杉並の4つのチームから構成される混成チーム」とで行われた。南相馬の野球少年・少女たちは、元気一杯に塚山公園運動場のグラウンドを駆け回った。試合は惜しくも負けてしまったが、野球を始めたての子たちが良いプレーを出すなど,収穫も多かった。また,初日の交流会では,敵チームではあるが,同じ野球が好きな同世代として、仲良く交流していた。南相馬の野球少年・少女たちにとって、練習・試合環境が整わない中、この交流試合は、全力でプレーできる貴重な機会であった。
2013年8月21日・・・相馬農業高校・京都農芸高校交流会
交流会は、「ふるさと復興会議」の農業高校版として、両校による「若手農業会議」を開催した。相馬農業高校は、今までの菜の花の栽培と収穫を振り返り、今後も今回の菜の花栽培で関わってきた方々と南相馬市で農業を続けていきたいという志を発表した。京都農芸高校は、今回の菜の花を通した活動から生まれた様々な絆を大切にし、今年度の文化祭等で、相馬農業高校が生産した加工食品を販売したいという意見が発表された。今回の交流会で、高校生たちの農業を通じた繋がりが形になりつつあり、また、高校生自らが、相互に様々な取り組みを行おうとしていることがわかり、有意義な若手農業会議であった
今回の活動で、最も大きな成果は、相馬農業高校と京都農芸高校の交流によって生まれた、高校生同士の自発的な意識の芽生えと、南相馬市で農業を実施したことで、高校生が「自分たちの地域で農業をやっていける」自信を持てたことであった。現在では、今回の交流の成果として、相馬農業高校と京都農業高校の両校の生徒たちが、自発的に交流イベントをやっていこうと、すでに動き出している。
今回の活動には、高校一年生から三年生の全学年から、参加者がおり、各学年の生徒からそれぞれ今回の活動について、感想をもらうことができた。
一年生と二年生は「先輩たちが始めた農業と、同じ専門の京都農芸高校との交流を、自分たちも続けていかなくちゃいけないと思った。先輩の活動を見てると難しそうだと思ってしまうが、努力していきたい。」という感想をいただいた。
三年生たちからは「不安もあったし忙しかったけど、ここまでこれた。自分たちは卒業してしまうが、後輩たちがやる気があって安心している。卒業しても関わりたい。」と感想を頂いた。
また、両校の先生方からも、お礼のメッセージをいただき、私たちも彼らに負けぬようより一層、支援を継続していこうと意識が高まった。
まず、私たちの活動をご支援していただいたことに深くお礼を申し上げます。今回の活動は、南相馬市において、子供たちが存分に遊べない、学べないといった問題を解決すべく始まった活動でありましたが、ご支援をいただけたおかげで、子供たちに遊びと学びの機会を作ることができました。何よりも大きな成果として、震災後から交流があった相馬農業高校と京都農芸高校の生徒たちが、自ら交流を続けて、もっと農業についてお互い学びあいたいという段階にまで、両校の交流が深まってきたことです。まさに、これから、若者たち同士の、若者たち自身による交流が始まるところです。ここまでの道のりは、長いものでしたが、私たちは、今後も彼らの自主的な交流と活動を支援していきます。
今回は、南相馬市の子供たちのためにご支援していただき、誠にありがとうございました。今後の、元気に活動するようになってきている子供たちのますます活躍に、ご注目していただければと思います。