子どもサポート基金 子どもサポート基金こども∞感ぱにー

2015年07月01日

よっこより_カプラ積木をどこまで積み上げられるか挑戦中(左側は保護者).jpg

石巻市鹿妻地区の子どもとその家族のための心の居場所づくり

①遊び道具を台車に乗せて公園に運び、小学生の他に未就学児の親子や地域住民も対象とした放課後あそび場を開催。 ②未就学の親子を対象としたあそび場を開催。遊びと母親同士のコミュニティの場を提供。 ③放課後室内あそび場の開催。遊びの他、宿題やスタッフと談話できる時間と空間を提供。 ④親子が上手にコミュニケーションを取るためのワークショップ「コモンセンス・ペアレンティング」の開催

基本情報

活動期間
2014年10月1日~2015年3月31日
活動地域
宮城県石巻市鹿妻地区
支援人数
延べ806名
活動人数
スタッフ3名、ボランティア2名
連携団体
  • 社会福祉法人 石巻市社会福祉協議会
  • 石巻市教育委員会 生涯学習課
  • 鹿妻第2町内会

写真

  • よっこより_アルバイト(中央)の周りには子どもたちが寄ってきます.jpg
    よっこより_アルバイト(中央)の周りには子どもたちが寄ってきます
  • 鹿妻東公園_小・中学生一緒に野球で盛り上がりました.jpg
    鹿妻東公園_小・中学生一緒に野球で盛り上がりました
  • 未就学児_ランチ持ちよりあそび場。この日に自主保育サークルの提案をしました.jpg
    未就学児_ランチ持ちよりあそび場。この日に自主保育サークルの提案をしました
  • 未就学児_遊具の取り合いをしながらも仲良く遊びます.jpg
    未就学児_遊具の取り合いをしながらも仲良く遊びます

活動の背景・内容

活動の背景

●活動地域の状況

①石巻市鹿妻地区は、県営・市営住宅(8棟約300世帯)が立ち並ぶため、両隣りの学区と比較すると、この学区の鹿妻小学校に通う児童数は374名と150名以上多い。この数に比例して、震災後共働きとなった両親や県営・市営住宅に住むひとり親家庭の子どもが多いのがこの地区の特徴である。(2013年小学生の利用人数は107名。家庭事情を話す子どもの殆どが共働きまたはひとり親家庭。23名)

2013年5月より開催しているあそび場にはこれらの子ども達が多く集う傾向にあるが、遊びを通じて家庭や学校での悩みをプレーワーカー(※)に話す子どもが増えている。これは常時同じスタッフを配置する事で、本会の「あそび場に来れば話を聴いてくれるおとながいる」という子どもの安心感と信頼度が増し、『第三の居場所、第三のおとながいる場所』の必要性を感じていた。

2013年下半期は延789名が参加した。

②未就学児をもつ母親が日中一人で子育てをしているケースが多い。また、震災後子どもを遊ばせる公園が少ないことから、安心して遊ばせられる場所がほしいという保護者の声をよく耳にしたため2013年7月より未就学児対象のあそび場を開催。2013年下半期は10組延126名の親子が利用した。

③子どもから、親が家で厳しく接する様子や親からは「子育てのストレスから暴力を振るってしまう」「震災後、忙しさのあまり子どもにイライラしてあたってしまう」という声を直接聞くことから、子育てに悩みを抱えその解決法を模索している親が多いことやその環境下で生活をしている子どもがいる事がわかる。

●解決を目指した課題

①震災後、家で一人過ごす子どもや、外遊びをしなくなった子どもにあそび場を提供するとともに、家庭や学校での問題を話せるプレーワーカーを常時配置し、今後も関係を深めることで多くの子どもが抱えるストレスを緩和できる環境づくりが必要である。

②引きこもりがちな未就学児親子が安心して遊べる環境を提供するとともに、母親同士が出会い新たなコミュニティを構築するための環境づくりを今後も継続していく。また、プレーワーカーがコーディネート役となり、自主保育サークルを設立し、母親同士の出会いの場と情報交換の場を構築していくことで新たなコミュニティをつくっていく必要がある。

③親がストレスを解消するために、子育て相談窓口や子どもと上手にコミュニケーションを取るための技法を伝授する機会を必要とする。

※当会では、子ども・親・地域をつなぐコーディネーターを行うスタッフを“プレーワーカー”という

活動の内容

①小学生を中心とした「放課後あそび場」開催

○鹿妻東公園にて屋外あそび場:プレーワーカー3名配置
ボールや水鉄砲、昔遊びなど約50種類の遊び道具を持って出向き、やりたい遊びが自由にできる他に、プレーワーカーが子ども達の悩みや問題の相談にのる時間と空間の提供を行う。これにより子ども達が心身ともに安心・安全に過ごせる環境を作る。

毎週月曜日 15時~17時(振り替え休日の場合は10時~16時)

開催数と利用者数:24回、子ども延べ303名、おとな延べ33名

○本会事務所内のフリースペースにて屋内あそび場「よっこより」:プレーワーカー3名配置

室内で宿題や読書、手芸やゲームなどができる他に、屋外あそび場と同様の目的でプレーワーカーを配置する。

毎週金曜日 15時~17時

開催数と利用者数:26回、子ども延べ157名、おとな延べ6名

 

②親同士の交流の場と未就学児対象のあそび場開催:プレーワーカー2名配置

ボールやおままごと、積木など約50種類を持って出向き、あそび場を開催すると同時に、プレーワーカーが子どもと遊んでいる間、親同士はお茶っこしながら歓談や子育てについての話ができる環境を提供する。時にはプレーワーカーは橋渡し役となることで、引きこもりがちな親に新たなコミュニティが生まれ、ストレスの緩和や心の安定を図る事ができる。

   鹿妻東公園:毎週月曜10:00~12:00

開催数と利用者数:23回、子ども延べ180名、おとな延べ123名

 

③子育て相談とコモンセンス・ペアレンティングワークショプ(以下CSP)開催:担当
○子育て相談:随時受け入れ 担当:田中(保育士)

当会の応接室にて、相談時間最長1時間で受け入れる他に、電話やあそび場開催中でも相談に応じる。

2014年10月~2015年3月までの相談件数:9件、4名

○CSPワークショップ 講師:田中

1回が6セッション+振り返りのプログラムを「初級コース(第1・2・3セッション)」「応用コース(第4・5・6セッション+振り返り)」に分けて6回開催。

   開催場所:本会事務所   開催回数:6回 26名

④上記3つの活動のチラシと10月、1月にあそび場の紹介と活動報告を目的に会報誌を作成。鹿妻・渡波地区を中心とした各所に配布し(鹿妻は約300部)、あそび場を必要とする人への告知とともに来所する保護者や近隣の住民向けの報告書として活用した。

活動の成果

①常連の子どもの一人に、他の子どもに暴力や暴言をはき続ける小学生高学年がいるが、家庭環境を聴くと、母子家庭で生活費を稼ぐために夜の仕事をしており、子どもは一人で過ごすことが多い。また母親に彼氏がおいて朝帰りの時は一人で起きて学校にいくこともあるなど、子どものストレスが蓄積されている事が分かったため、家を訪問し母親に子どもの状態と気持ちを伝える機会を作った。

その後子どもから、母親の朝帰りは少なくなり、夜も一緒に過ごす時間を増えたと聴き本会スタッフも安心していた。一日あそび場(※)で昼食を一緒に食べたある時、いつもはコンビニのお弁当を買ってきていたが、手作りのお稲荷さん弁当を持ってきた事があった。本人は「こんなに食べれねーよ」と嬉しそうに言いながらスタッフにおすそ分けをしてくれた。スタッフの橋渡しにより親子関係の修復が図ることができた。

他にも、母子家庭親子で来所し、母親はスタッフと談笑しながら子どもが遊んでいる姿を見守る光景や、スタッフに相談してきた問題を保護者に伝え、親子間の調整を図るなど、保護者と本会との関係が深まってきたことが分かる。

※あそび場開催日が学校行事の振り替え休日の時は10時~16時まで開催しており、子ども達と昼食を食べられるよう昼休みを解放している。

 

②自主保育サークルを立ち上げた事で母親同士の関係が深まった。あそび場開催時以外にも一緒に時間を過ごす交友関係も生まれたという話を聴く。この輪は今後も広がっていく事が、来所する親子が増えている事から予測する事ができる。

 

③CSPに参加した保護者からは「目からうろこが落ちた」「子どものしつけの概念が間違っていた」「これを実践することで子育てが楽になる」との声をいただいた。

 

④年4回発行している(今回の助成期間中は2回)会報誌は、保護者や地域の方もとても楽しみにしてくれており「子どもが楽しんでいる姿がよくわかる」「毎回楽しみにしている」と、活動報告を観て多くの感想をいただいている。

 

寄付者へのメッセージ

皆さまからの温かいご寄附により、本会では石巻市鹿妻地区の親子にあそび場を継続して提供することができました。子どもから参加費を取らない事業では、このような助成金制度はとても必要です。心から感謝申し上げます。復興までの道のりはまだまだかかりそうですが、これからも被災地の活動を支えてくださり温かく見守っていただければとても嬉しいです。

本会の活動はHPやブログで報告していますので、よければご覧になってみてください。

ありがとうございました。

子どもサポート基金 子どもサポート基金 活動レポート一覧 子どもサポート基金 活動レポート一覧 活動レポート トップページ 子どもサポート基金 活動紹介