2013年07月10日
宮城県石巻市の小中学生のための教育支援活動
被災した塾講師が指導するアフタースクール 志望校合格を目指すウィンタースクール 地元農家漁師と協力して行う農業漁業体験 地元の食材を使って命の大切さを知る料理教室 自然の中でデジタルツールを使い記録・編集するITキャンプ 冬の登山で生きる力を育むウィンターキャンプ 雄勝の未来を提言する雄勝中3年生の決意表明式 雄勝の人を取材する新聞記者体験 動物をいたわる心を育む乗馬体験教室 理科のおもしろさを知る理科実験教室 上記内容のプログラムをのべ1650名の石巻の小中学生に提供した。学習支援については雄勝中学3年生全員が志望校に合格。農業・漁業体験や料理教室では豊かな自然の中で育まれる命の大切さを知り、地元石巻の魅力の再発見につながった。ウィンターキャンプでは自然と共生し生き抜く事を体感。ITキャンプで撮影した雄勝の映像はベルリン国際映画祭in仙台で上映された。決意表明式ではこどもたちに故郷・雄勝の未来を考えるきっかけをつくった。
【2012年10月】
●ITキャンプ×観音寺
10/7~8に石巻市河北地区の皿貝にある観音寺にてITキャンプを実施。石巻市内の小中学生11人が参加し、初日は裏山を散策しながらiPhoneやiPadで動画を撮影。その後、3分にまとめる為に構成を考え、編集をした。里山では手つかずの自然の中で沢を探したり、杉林の巨木に驚き、キノコやクモ、イモムシなどを発見しては撮影していた。お寺の本堂にセッティングした編集ステーションではそれぞれが構成を考え、編集スタッフとPCを使って編集。翌日は11人それぞれが作品を発表し講評を行った。また、2日目は早朝から座禅や読経、掃除を本堂で行い、こども達は朝日と共に一日のはじまりに感謝をしていた。観音寺の住職からは「まさに新しいかたちの寺子屋だ」と評価され、参加者した中学2年生の参加者は「自分の視点だけじゃなく、いろいろな視点から風景を見ると、違うものが見える」と、すばらしい気づきを得ていました。
●船越小学校農業体験
1ヶ月前につるあげしたさつまいもをいよいよ収穫する事になった船越小との農業体験。総合学習の一環として生徒8名が参加。2人1組になり、茎と葉をカマで切る役と、イモを掘り出す役に分かれて作業した。掘り出すのに苦労していたが、時間と共にたくさんのさつまいもを収穫し、満面の笑みを浮かべていた。こどもたちからは「イモほりって宝物探しみたいで楽しいね」「イモが土のなかで縦にはえるってこと、はじめて知りました」という声があがり、先生からは「こどもたちにとって本当にいい経験となった」と感謝の言葉をいただいた。
●大須小学校漁業体験
石巻市北上町の十三浜にて漁業体験を実施。現在雄勝に残る唯一の大須小学校の総合学習として、全校生徒にあたる10名のこどもたちが参加した。この日は生憎の悪天候。海が荒れ、船で海に出ることはできなかったが、ホタテの養殖の仕組みを漁師から教わり、獲れたてのホタテを捌いて食べた。はじめて生きているホタテを捌いたこどもたちは目をキラキラさせていた。 5年生の参加者は「ホタテの捌きを教わって、自分でもうまくできてよかった。普段は見れない漁師の仕事が見られてよかった」と喜んでいた。ホタテが嫌いと言っていた5名が生でホタテを食べれるようになり、命を頂く事も実感したようだった。
【2012年11月】
●理科実験教室
11/24に「理科実験教室」を開催。午前を小学生の部、午後を中学生の部にわけ、合計18人のこどもたちに参加してもらった。 重曹からにおいや色をつけてオリジナルの入浴剤をつくる「バスボムづく り」など、5つのテーマそれぞれの実験にこどもたちは興味津々で、はじめから終わりまで笑いと驚きの声が絶えなかった。小学校3年生の参加者は、「どの実験も楽しかったし、説明もわかりやすかった。もともと理科は好きだったけど、もっと好きになった。またやりたい。」と話してくれた。
●料理教室(第1回雄勝キッチン)
料理体験教室「雄勝キッチン」を11/10に開催。 初回となったこの日は、料理に「慣れる」「楽しむ」「おもてなしの心を持つ」ことを目標に、石巻市内のこどもたち10人が、鍋料理研究家の真鍋さん・料理道具コン サルタントの荒井さんに教わりながら「カレーおでん鍋」「スイートポテト」づくりを実施。雄勝産のホタテ・牡蠣・秋鮭、石巻産の豚肉、当団体の畑で収穫したネギや白菜など、地元の食材をふんだんに使い、ハウス食品株式会社さまから提供して頂いたカレー粉で味付け。お客さん役として参加して頂いた保護者・近隣のみなさんに手料理を振る舞った。今回はじめて雄勝アカデミーのプログラムに参加した小学校5年生は、「とても楽しかった。うちに帰ったらお母さんに作ってあげたい。」と喜んでいました。
●ウィンタースクール
高校受験に向けた冬期講習、ウィンタースクールが23日にスタート。 株式会社ベネッセコーポレーションのご協力のもと、雄勝中学校の3年生10 名に対して4時間の高校受験対策授業を実施した。個別カウンセリ ングでは現在の成績と志望校とのギャップを教え、それを埋めるための具体策を提案。参加した児童からは「苦手科目の克服方法を教えてもらい、とても勉強になった」と良い刺激を受けていた。
【2012年12月】
●ウィンタースクール
12/15に株式会社ベネッセコーポレーションと、憧れの職業の方の話を聴く「夢ゼミ」を開催。第1回目のゲストは看護師。石巻で働く2人から「看護師の仕事の楽しさややりがい」、「中学生の時にどのようなことを考えていたか」、「看護師になるためにはどうしたらいいのか」などの話をしていただいた。雄勝中3年生の参加者は「元々看護師に興味があった。今日の話を聴いて、看護師になりたいという思いがより強くなった」と話していた。
●料理教室(第2回雄勝キッチン)
12/23に2回目となる「雄勝キッチン」を開催。今回は11名が参加し、クリスマスにちなみローストチキン、ジンジャークッキー、ティラミスをつくった。講師の荒井さんからは料理を作る「道具の大切さ」や「クリスマスの文化」を伝え、鳥を丸ごと1羽鉄鍋に入れローストした。「料理を作る道具の大切さを学べた。ティラミスを作るのは簡単だったから家でも作ってみたい」と、小学校4年の参加者は話していた。保護者も招待した賑やかなテーブルで、出来上がった料理を堪能。思い出に残るクリスマスパーティとなった。
●ウィンターキャンプ
12/25-27日に宮城県栗駒山の麓にある花山で、9人の小中学生とウィンターキャンプを開催した。寒波により例年よりも多い雪の中、自然・仲間・自分をテーマにした2泊3日のプログラム。初日は水汲みや火起こし、野外炊飯、雪かき、テント泊なと生活する為に必要な環境を自分たちで作り上げた。2-3日目は雪山登山と雪中キャンプに挑戦。着替えや寝袋に加え、食料・炊事道具・テントなど、班の装備をみんなで分担して担ぎ・登山。ボストンバックいっぱいに詰め込んだ装備と膝の上まで雪が積るコースに、途中で涙を流す場面もあったが、お互い励まし合い、無事目的地の国立花山青少年自然の家まで歩いた。 普段の生活からかけ離れた、過酷な環境下での3日間で想像以上のたくましくなった参加者。 「荷物が重くて雪山を登るのは大変だったけど、もっとやりたかった」、「火を起こして自分たちでご飯を作ったことが思い出に残った」、「普段は水道を使っているから、水を汲んでくる体験が印象的だった」など振り返った。
【2013年1月】
●ITキャンプ×雄勝
1/19~20日に2回目のITキャンプを雄勝で開催。 小学校や中学校の旧校舎の取り壊しが決まり、街が無くなってゆくタイミングに「雄勝のいまを記録に残す」ことをテーマに実施。雄勝小の生徒14名が自分たちの目で見て、感じた町のいまを未来に残すことをコンセプトに、雄勝の山と海が繋がる素晴らしい自然や、旧硯会館、旧総合支所、仮設商店街、雄勝小学校旧校舎など町に残る建物をiPhoneやiPadで撮影。おがつアカデミーに戻り、3分間の作品にまとめるために構成を考え編集。それぞれの想いを込めた14の作品を上映し、振り返った。雄勝の海の映像を多く取り入れた、漁師の息子で雄勝小4年生の参加者は、「やっぱり自分は海が好きなんだな」と編集をしながら話していました。他にも「はやく復興して欲しい」と映像を通じ雄勝の「今」を認識し郷土愛を高めた2日間となりました。
●雄勝中3年生による決意表明式
1/6に雄勝中学校3年生8名がおがつアカデミーに集まり、受験前の「決意表明式」を開催した。まず最初に、合格祈願の神社として有名な地元の釣石神社に初詣。その後おがつアカデミーにて志望校合格への想いを込めた書き初めを行った。 決意表明式では「高校入学後に何をやりたいか」、「10年後はどうなっていたいか」、「10年後の雄勝をどうしたいか」という3つのテーマについて考え発表。生徒たちからは「雄勝のいいところは、海と山がたくさん!」 「10年後は海外にも認められ、渡来人がたくさん来る雄勝になる」といった意見が出ていた。これからの雄勝の復興を担っていく彼ら彼女らは、雄勝と自分の未来に対する想いを、時に笑いながら、時に真剣に話していた。目の前に迫ってきた高校受験で頭がいっぱいの中、受験の先に将来自分がやりたいことがどう雄勝の復興に結びつくのかを改めて考えるよい時間となった。
●記者体験ワークショップ(第1回)
1/13に一般社団法人キッズ・メディア・ステーションと石巻で2万部を発行する「石巻日日こども新聞」の記者ワークショップを開催。取材のいろはを学ぶために、雄勝町の名振地区で震災後、魚網を使ったミサンガを作っている大和美代子さんを取材。大和さんを第三者にわかりやすく伝えるために、自分たちで質問をし、写真撮影を行った。
【2013年2月】
●ウィンタースクール
2012年11月から実施していたウィンタースクールが2月26日に終了。 株式会社ベネッセコーポレーションと株式会社栄光協力のもと、受験勉強に励んでいた雄勝中学校3年生のうち、5名の生徒が宮城県公 立高校入試前期試験で見事志望校に合格。合格した伊藤浩哉さんは「合格してすごく嬉しい。でも、この後に控える期末テストも頑張らないと。」と、中学最後の定期試験に向けて、引き続きアフタースクールに通っ て勉強する意気込みを見せてくれた。
●漁業体験@十三浜
2/16に北上町十三浜で漁業体験を開催した。石巻市内の小学生8名がワカメの収穫に挑戦。ロープいっぱいに育った大量のワカメに驚きながらも、ナイフで一本一本切り取り、陸上でしゃぶしゃぶにして食べた。荒波にもまれた肉厚のワカメにこどもたちは舌鼓をうっていた。「寒かったけど船は楽しかったしワカメはおいしかったし、またやりたい!」と感想を話してくれたのは大谷地小学校6年生の菊池一輝さん。世界三大漁場の1つである三陸沖で獲れる海の幸の魅力を感じ取ってもらう1日となった。
●記者体験ワークショップ(第2回、第3回)
1月の第1回に続き、記者体験教室を開催。 第2回となった2月3日は、,震災後から雄勝診療所で雄勝住民の医療を支えている小倉健一郎先生をゲストとしてお招きし、仕事内容や雄勝に来たきっかけについてインタビュー。2月17日の第3回で、インタビューした内容を第三者に適切に伝わるよう自分たちで考えて構成・編集した。二俣小学校5年生の千葉秀さんは「インタビューはできたけど、記事にするのは難しかった」とふりかえり。こどもたちが書いた記事は、3月11日発行の石巻日日こども新聞に掲載された。
●料理教室(味噌づくり体験、第3回雄勝キッチン)
2/23に味噌づくり体験を実施。味噌を仕込む時期として最適な時期に3人の小学生と約60kgの味噌を仕込んだ。地元の湧き水で大豆を煮込み、すり鉢や一升瓶などつぶし、麹と塩を混ぜ木桶に漬けた。普段何気なく食べている味噌がどのようにして作られるか、麹の力などを実感していた。参加した2人の小学5年生には卒業の来年、完成する味噌を心待ちにしていた。
翌24日には、3回目となる「雄勝キッチン」を開催。参加した13名がつみれ団子鍋といちご大福に挑戦。参加者が皆初めてだった魚捌き。鰯の頭を落とし、内蔵を取り出す作業は魚に謝りながら捌く一面も。「雄勝のこどもならこれくらいやらないとダメ」と仲間から励まされ、懸命にイワシを捌き、命をいただく事を実感していた。 すり鉢とフードプロセッサーを使いつみれを作り、人の手で作る料理の美味しさを痛感。小学校4年生申参加者は、手渡したレシピを持ち帰り「家でも作りたいから、今度食材を買ってきたい」と話していた。
【2013年3月】
●アフタースクール
宮城県立高校の後期試験合格発表が3/13にあり、雄勝中3年生全員が志望校に合格した。9日の卒業式で生徒会長の伊勢直也さんは「絶望を共に乗り越えた仲間、雄勝中生とともに過ごした日々の思い出を胸にしまい、これからは自分自身で新しい道を切り開いていきたいと思います。3年間支えてくださった多くのみなさまへの感謝の気持ちを忘れず、また、雄勝中学校の生徒であったことを誇りに思い、志を高く持ち、たくましく生きていくことを心に誓い、答辞といたします。今まで本当にありがとうございました。」と述べ復興への思いを伝えていた。そして29日にはアフタースクールの修了式を実施。教室として一年間使った仮設住宅の集会室を、感謝の気持ちを込めて大掃除。その後、おがつアカデミーにて修了証を授与し、一年間生徒たちの勉強を見ていた講師や当団体のスタッフから、生徒たちに対して「雄勝の未来をいっしょにつくっていこう」と最後のメッセージを送った。
●乗馬体験教室
3/3に北上町十三浜秋丸で、NPOりあすの森と乗馬体験教室を開催。馬厩舎掃除や手入れとして馬のブラッシングを体験。繊細な生き物を育てる経験をし、1人1人乗馬に挑戦したあと、自分たち で持って来たニンジンを馬に食べてもらった。最初馬に乗った時はその高さに怖がっていたが、何度もチャレンジする事で、 「もう怖くない!楽しい!」、「馬って人を背中に乗せて歩いてくれてすごいな!」と、馬と人との関係や馬への感謝を感じていた。
●料理教室(第4回雄勝キッチン)
3/23に銀座「ラ・ベットラ」の落合務シェフと料理教室を開催。23人の小中学生が、落合シェフ直伝の魚介ラグーソーススパゲティ、豚のタリアータに挑戦。イカ・ホタテ・エビを刻んだり、豚肉を焼いたり、短時間で本格的なレシピを見事に調理しシェフを驚かせていた。今回初めて料理教室に参加した飯野川第2小学校の高城寿理さんは「普段作ったことがないイタリア料理はめったにできない体験だった。」と喜んでいた。
・「勉強と共に、仲間や講師・スタッフと日々集まる事ができるのがよかった」(中学2年生)
・「映画を撮影しているようで、普段見ている町とは違うように見えた」(小学5年生)
・当団体が雄勝で実施するプログラムに参加することがきっかけで、震災後はじめて雄勝に戻り、以後毎週のように参加するようになった児童がいた。
・「震災前の日常を取り戻すことができ、生活も安定した」(アフタースクールで指導をする講師)
・「アフタースクールのおかげで勉強する習慣が身についたと話していました。いまでも学校から帰ってきたら、部活でどんなに疲れていても課題に取り組んでます。」(中学3年生徒保護者)
<寄付者へのメッセージ>
いつもご支援いただき誠にありがとうございます。
皆さまのおかげで被災した石巻のこどもたちにたくましく生きる力を育む機会を差し出すことができました。雄勝の状況はまだまだ厳しいですが、地域の方々と教育を通じたまちづくりを今後も続けてまいります。
引き続き、変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
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